アレルギーの新しい発見

東です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 
アトピー性皮膚炎をはじめとするアレルギーの研究は、各所で行われていますが、今月の最初に、理化学研究所から発表された記事を、今日は紹介したいと思います。

 

●アレルギー発症を決めるゲノム領域「HS2」を発見
-アレルギー発症メカニズムの本質を解明、新たな治療の実現へ-
http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2010/101206/

  
私たちの体には、細菌やウイルスなどの異物の侵入を食い止める「免疫」というシステムが備わっています。この免疫システムは、体を守る働きを持つ一方で、アレルギーや免疫不全などの厄介な現象をもたらします。アレルギーは、Th2細胞と呼ばれるヘルパーT細胞が司令塔として働き、IL‐4やIL‐13などのサイトカインを産生して、一連の免疫反応を引き起こすことで生じます。血液中のナイーブT細胞が、アレルギーの基となる花粉などの抗原(アレルゲン)に接すると、 Th2細胞へと分化します。これまで、Th2細胞への分化にIL‐4が関与し、転写因子GATA-3がアレルギーを発症する分子であることが知られていましたが、そのメカニズムの詳細は謎のままでした。

免疫・アレルギー科学総合研究センターのシグナル・ネットワーク研究チームらは、既知の遺伝子配列(ゲノム領域)HS2をIL-4の遺伝子座の中に発見し、 GATA-3がHS2に結合することでIL-4遺伝子の発現スイッチが入るという、アレルギー発症のメカニズムを解明しました。同時に、既知の遺伝子配列CGREがIL-13の遺伝子座に存在することも発見し、 GATA-3がこのHS2とCGREに結合することでIL‐4やIL‐13の発現を別々に制御していることを明らかにしました。

この発見で、GATA-3によるサイトカイン遺伝子の発現制御そのものが、私たちが悩まされるアレルギー発症のメカニズム本質であることが分かりました。この成果を基に、新しい視点に立ったアレルギー治療や個人個人の異なる体質を理解することができると期待できます。

 
難しい言葉が多く、分かりづらいかもしれませんが、簡単に要約すると「アレルギーの症状を引き起こしている免疫であるヘルパーT細胞のⅡ型を作り出す仕組みが、遺伝子レベルで発見された」ということです。
つまり、アレルギーの症状を引き起こす免疫機能の発現の仕組みが、遺伝子の中に書き込まれているということは、該当遺伝子を操作することができれば、アレルギーそのものの治療に役立つのでは?ということでしょう。

問題があるとするなら、これはアレルギーの本質的な原因というより、症状を引き起こす「結果」の方への対応となるため、アレルギーを体が必要とした「原因」の解決がなされておらず、そこから生じる可能性がある異常状態を警告するための「信号」だけ失うことが、本当に「正常」な状態かどうか?ということがありますが、少なくとも、免疫反応から生じる炎症を、元から抑えることにはつながるかもしれません。

今後、この研究がどのような成果につながるのか分かりませんが、いろいろな研究がなされていることは良いことであり、見守りたいと思います。

 
おまけ★★★★博士のつぶやき

このIL-4がTh2の発現に関わっていることは昔から知られておったことじゃ。
じゃが、同時にTh2に関わる、つまりIgEの産生に関わるIL-4を、免疫抑制剤が増強させる論文が発表されておることは、あまり知られてはおらん。
こういった「アレルギーの仕組みを解明する」研究はもちろん大切じゃが、これが治療の現場に役立つ形で降りてくるためには、相当な年月が必要じゃ
同時に、現在の臨床の現場で「すぐに」役立つような、患者のための研究も行われて欲しいところじゃの。