石鹸と界面活性剤の話(1)

昨日までは、医薬部外品のことについて、話を書いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
今日は、同じように問い合わせが多い、「界面活性剤」のことについて話をしたいと思う。
先日も、ある読者の方から、相談ダイヤルに、「ある石鹸のメーカーに問い合わせをしたら、『アトピーの肌に界面活性剤は良くないから、ボディソープではなく、当社の純石鹸を使った方が良い』と聞いたのですが、ボディソープより石鹸の方が肌には良いのでしょうか?」という問い合わせがあった。

はなはだしい間違いの説明じゃ!

なぜ間違いかと言うと、「純石鹸も界面活性剤」だからじゃ。
ここで、まず界面活性剤とは何かについて述べよう。

界面活性剤とは、本来、混じり合わない水と油をつなぐ「中間物質」のようなものじゃ。
水となじむ「親水基」、そして油となじむ「親油基」の両方を持っておる。
イメージで言うと、片方の手で水をつかまえ(親水基)、もう一方の手で油をつかまえることで(親油基)、水と油が混じり合った「状態」を作り出すことができる、というわけじゃ。

食品でいうと、マヨネーズが代表的じゃろう。
マヨネーズは酢と油を混ぜて作るのじゃが、水分である酢と油はもちろん混ざらない。そこで、卵黄を加えることで、卵黄に含まれる界面活性成分が酢と油の両方をつかまえ、「混じり合った状態」にすることができる、ということじゃ。

このように、界面活性効果を持つ物質が全て「悪者」であることはない。
先の例で述べたように、卵黄は、アレルギーがある人などにとっては良くないかもしれんが、大多数の人には逆に栄養素となるものじゃからな。

ここで、石鹸の話に戻るが、汚れには水溶性の汚れと油溶性の汚れがある。
水溶性の汚れについては、水洗いで落ちるが、油溶性の汚れは水では落ちん。
油は当然ながら「親油基」を持っておるのじゃが、「親油基」を持つ物質は同時に「疏水基」という水をはじく性質を持っておるからの。
では、どうすれば油溶性の汚れを落とすことができるのかというと、親油基を持つ物質で落とす必要がある。
化粧などを落とす際には、クレンジングを使うのが一般的じゃが、クレンジングは多くが「油」でできておる。
油を使うことで、肌についた化粧を油にひっつける。すると、油に化粧がひっつくことで、肌から化粧の成分が「浮く」ことになる。
この浮いた化粧の成分を洗い流すことで、化粧の成分が落ちるというわけじゃ。
じゃが、普通、汚れを落とす際には、水溶性の汚れも油溶性の汚れも一度に落とした方が楽じゃ。
そこで使われるのが、「界面活性剤」ということじゃ。
水溶性の汚れも油溶性の汚れも、一緒にひっつけることができ、同時に落とすことが可能、ということじゃ。
なお、界面活性剤は、親水基と親油基が半々で持っておるため(厳密には違うが、イメージとして)、それぞれの汚れを落とす力は、単独のものより弱い(クレンジングオイルよりも石鹸やソープの方が油汚れを落とす力が弱い)ということがあるから、化粧汚れなどは、先に述べたように、専用のクレンジングがある、ということになる。

石鹸の作り方を簡単に言うと、油とアルカリ水を混ぜて「けん化」という反応を起こさせてつくる。
油の成分は、グリセリンと脂肪酸でできておるのじゃが、この中の脂肪酸とアルカリ水を反応させることで、界面活性効果を持つ、脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウムが作られる。
この脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウムだけで添加物を含まない石鹸が一般的に「純石鹸」と呼ばれるものじゃ。

何が間違いなのか、ということが、これで分かったじゃろう。
合成であろうと天然だろうと、ソープだろうと石鹸だろうと、汚れを落とす「親水基」「親油基」の両方を持つ物質を含むものは、全て「界面活性剤」であることに違いはない、ということじゃ。

石鹸がボディソープより安全だとするホームページなどでは、石鹸の成分は基本的にアルカリ性のため、弱酸性である肌に触れても中和され、吸収されないという理由を述べておるものも見かける。

もちろん、界面活性剤の中には、卵黄のように食品として利用されるものや工業用の毒性があるものもまで種類も多く、その物質そのものの「安全性」という部分は異なるかもしれん。
じゃが、ことアトピー性皮膚炎に対する影響で考えるならば、問題となるのは「油分を落とす」という効果のことじゃ。

長くなるので続きは明日じゃ。

 

おまけ★★★★中田のつぶやき

今日のブログにあったように、一般の人で、界面活性剤は悪いからソープは良くないが、石鹸は安全、と捉えている人は意外と多くおられます。
でも、「界面活性剤」という部分だけで考えるならば、石鹸こそが「界面活性剤」の塊だと言えます。
毒性の問題などで界面活性剤の種類による違いや安全性を述べるのは間違いではありませんが、「界面活性剤だから良くない」というのは、「誤った情報」を伝えていることになりますので、聞く方も注意した方が良いでしょう。