アトピー性皮膚炎の治療とステロイド剤(1)

昨日の大田君のブログにも書かれておったが、11月12日を「いい皮膚の日」として、今月は皮膚の月間となっておる。

 

 

 

 

 

 
そのせいか、新聞記事などでも、アトピー性皮膚炎の記事をちらほら見受けるが、先日、朝日新聞に6回連載で、アトピー性皮膚炎の記事が掲載されておった。

 
●第一回 皮膚 大人のアトピー:1 顔の湿疹、薬で一時消えた
https://aspara.asahi.com/column/kanja/entry/nbR82DIpIV

 
無料の会員登録をすれば誰でも見れるので、興味のある人は読んで欲しい。
第二回以降は、第一回の記事下から読むことができる。

 

・大人のアトピー:2 ステロイド、効かなくなった
・大人のアトピー:3 ステロイド中止 みるみる悪化
・大人のアトピー:4 即入院、再びステロイド治療
・大人のアトピー:5 悩む人のため闘病経験生かす
・大人のアトピー:6 薬の強さ・量、症状に応じて
 
 
抜粋を載せられないので、内容を簡単に説明すると、一度は脱ステを試みたアトピー性皮膚炎の患者が、状態の悪化に伴い、再度、ステロイド剤治療を行い、今は症状をコントロールしながら日常生活が送れておる、という内容じゃ。

この記事だけを読むと、「ステロイド剤はアトピー性皮膚炎の治療として安全な治療だ」と思う人がほとんどじゃろう。
じゃが、ここでは患者側に大きな誤解を招く要因が潜んでおる。

それは、「ステロイド剤の治療は、アトピー性皮膚炎の治療」と読み取ってしまう、ということじゃ。
じゃが、正しくは、「ステロイド剤の治療は、アトピー性皮膚炎の症状の治療」じゃ。

ぱっと見、同じ意味合いに思うかもしれんが、この二つは全く異なるものじゃ。
なぜなら、「アトピー性皮膚炎の治療」ということは、目的は「アトピー性皮膚炎の治癒」にあるが、「アトピー性皮膚炎の症状の治療」ということであれば目的は、「痒みの治療」ということになるからじゃ。

つまり、前者は治癒後は「その治療は必要ない」ということになり、ステロイド剤が抱える副作用の問題も心配いらない。
じゃが、後者はアトピー性皮膚炎そのものの治療ではないため、症状を「抑え続ける」ために、ステロイド剤を「使い続ける」ことが必要となる。

記事に登場された方は、再開したステロイド剤の治療により、症状をコントロールできるようになった。
じゃが、ステロイド剤は使い続けなければならない状態じゃ。
再び、ステロイド剤が「効かなくなってきたとき」には、ではどうするのじゃろう?

ここに、アトピー性皮膚炎に対するステロイド剤治療が抱える大きな問題点が存在しておる。

では、その問題が何かと言うと「治癒が可能なアトピー性皮膚炎の治療を妨げている」ということじゃ。
長くなるので、続きは明日じゃ。

 
おまけ★★★★西のつぶやき

今回の記事に登場される方は、ステロイド剤治療により日常生活が普通に送れることで、QOLが維持されることになり幸せな生活を送っている。
そういった点だけ見れば、ステロイド剤治療を受け続けることは十分に意味があるだろう。
だが、そのQOLの維持は、「一過性」のものであることを記事は伝えていない。
ステロイド剤そのものは、皮膚のステロイド剤に対する受容体の消失、という問題もあり、いずれは効かなくなっていく。
すると、より強いステロイド剤に変わり、最終的には内服や注射などにまで移行することも考えられ、そういった実例は数多い。
過去の事例を見る限りにおいて、自分がステロイド剤を再び使えなくなったとき、患者は、その治療に対する「後悔」を抱くことがほとんどだ。
そこには、患者自身が自ら選択したことに対する「自己責任」という部分が存在するが、そもそも患者自身に、ステロイド剤を使用したことによるQOLの維持が「永続的なもの」と誤解させている医師側にも責任の一端はある。
ステロイド剤の安全性を実証するための臨床試験は、ほとんどが3カ月程度のものだ。
年単位での臨床試験が行われたこともなく、逆に年単位で使用した患者の副作用の報告が数多くあるにも関わらず、治療を行う医師は、長期間の安全性を強調している「事実」を承知した上で、患者自身が、「アトピー性皮膚炎を治す治療を目指す」のか「アトピー性皮膚炎の症状を抑える治療を目指す」のかを良く考えてほしい。