基準値内であれば安全?

月一、ブログを担当している西だ。

 

 

 

 

 

 

 

 
先日、ある化学物質の専門医の方と話していた際に、お聞きした話題を紹介したいと思う。

ある化学物質の患者の方(Bさん)は、衣類に加工されているホルマリンにも反応している状態だった。
これまでは、ホルマリン自体は、何度も洗うことで取れていたのだが、最近、フリースで有名な某大手メーカーの衣類を購入したところ、何度洗っても、皮膚に刺激を感じ、着れない状態になった。
最初Bさんは、自分の化学物質過敏症が悪化したためではないかと思い、去年、同じ某大手メーカーで購入したフリーズを着てみると、特に症状が悪化しない。
そこで、その某大手メーカーに聞いたところ「今年から製造する工場が移転したのだが、これまで洗えば取れるホルマリンで加工処理していたのを、洗っても取れないホルマリン加工に変えた」という話をされたそうだ。
さらに、某大手メーカーの担当者いわく、「ホルマリン使用は国の基準を守っているので、安全で問題ない」ということだった。

Bさんは、「基準値だから安全だとは言い切れないのでは?」と思ったそうだが、まさしくその通りである。
何が問題なのかと言うと、ここでその某大手メーカーが言う「安全な基準値」とは、「生命に対して直接的な影響を与えない数値」に過ぎない、ということである。
Bさんのような化学物質患者にとってみれば「健康に対する安全な基準値」ではない。
だが、法的には、健康に安全でなくても、直接、生命に危険を伴わなければ、使用してよい、と言っているわけである。

これは、化学物質過敏症の患者だけの問題ではない。

アトピー性皮膚炎の場合も、その根本の原因の一つは、摂取する化学物質にあるとされているからだ。
確かに、巷にあふれる「化学物質」のほとんどは、「生命に直接害を与えない」基準で使用されているかもしれない。
だが、直接、生命に害を与えなくても、健康そのものには害を与えているのであれば、その度合い次第では、生命にも間接的に害を与えることもありうる。

また、アトピー性皮膚炎の治療として、現在、皮膚科学会から「公認」されているステロイド剤やプロトピック軟膏も、同じように、「皮膚科学会側の理論から見た安全性」を基に使用されている。
「患者側の理論から見た安全性」を考慮している状況とはとても言えない。

例えば、先日、あるプロトピック軟膏を使用しているCさんに聞いた話だが、Cさんは、主治医の先生に、プロトピック軟膏と発がん性の問題、そして厚生労働省が患者に発がんのリスクを伝えて処方するように出した通達のことを聞いてみたそうだ。
すると、驚くべきことに、対応した医師は「厚生労働省の通達は知っているが、患者に不安を与える情報は治療がしにくくなるので伝える必要はない」と答えたそうだ。
また、「発がんの問題」については、「まだ発がん自体が大きな問題とまではいたっていないから、現状では無視してよい」という答えだったそうだが、処方される立場の患者からみると、この言われ方はどうかと思う。

簡単に言ってしまえば「処方の邪魔になる情報は伝えない」「ガンが発生するリスクはあっても、世間的な問題になっていないから処方して良い」ということだ。
この医師は、ある疾患に罹患した際、患者の立場で医師からこのような説明を受けても、平然と許容できるのだろうか?

「基準値」たるものを盾に、その商品(薬)を供給する側の利益だけを考えた「行動」は、大変残念なことだ。
その商品(薬)を使用する側の利益も、そこには存在しなければならないし、使用する側は、それこそが求めているものであるはずだ。

世の中に存在する「基準値」の全てが、「使用する側」のことを考えていない、というわけではないが、中にはその基準値とは「供給する側」の利益を考えて「設定」されていることがあることを、「使用する側」は知っておいた方が良いだろう。

 
おまけ★★★★博士のつぶやき

この「基準値」の問題は難しい側面を孕んでおることは確かじゃ。
対立するAとBがあった場合、Aにとっては「正しい基準値」であっても、Bにとっては「正しくない基準値」であるとき、そこに関わるCにとって、自分がAの立場かBの立場かを知ることが難しいからじゃ。
ただ、「生命維持」と「健康維持」とは、患者側にとっては、「非常に近い言葉」だと受け止めることがほとんどだと思うが、治療を行う側、商品を供給する側にとっては、「全く違う言葉」であることは知っておいた方が良いじゃろう。
そして、ネットなどで情報を得ることが可能な時代なのだから、医師側・メーカー側が発信する情報をうのみにするのではなく、「自己防衛」という意識も持つようにしたいところじゃ。