【Q&A】グリチルリチン酸の皮膚からの吸収は?

一昨日、昨日と、グリチルリチン酸のことについて書いたのじゃが、ブログの読者からメールで質問をいただいたので、今日は紹介したいと思う。

 

 

 

 

 

 

 
●Yさんからの質問

今日の博士のブログを読ませていただきましたが、私もグリチルリチン酸入りのスキンケアアイテムを使用していました。
以前もグリチルリチン酸のことが、博士(?)のブログで書かれていたときに、化粧品メーカーに問い合わせたところ、「グリチルリチン酸は、グルココルチコイド(糖のついたステロイドのようなもの)の種類のため、皮膚からは直接吸収されにくく、ステロイド剤のような副作用はありません」という説明を受けました。
不安はあったのですが、その化粧品を使用すると、確かに痒みが和らぐため、そのまま使い続けていましたが、最近、痒みや赤みが抑えられないように感じてきていて、気になっていたところに、今日のブログを読みました。
グリチルリチン酸は、化粧品で使用すると、吸収されないから安全、というのは間違いなのでしょうか?
教えてください。

 
Yさんこんにちは。
まず、質問いただいた件じゃが、「グリチルリチン酸は化粧品で使用すると、吸収されないから安全」というのは、結論から言うと「間違い」じゃ。

これは、主作用と反作用の関係を考えて見ると分かるじゃろう。

医薬品だけではなく、何らかの有効成分を含むとされる化粧品の場合、その有効成分の主たる目的が「効果」の部分になる。
この、本来の目的の効果は「主作用」と呼ばれる。
例えば、花粉症の薬で抗ヒスタミン剤の場合であれば、鼻腔内でのヒスタミンを抑えることでくしゃみや鼻水などの症状を抑える効果じゃ。

ところが、薬や化粧品の有効成分は、「一つの働き」のみではとどまらない。
目的としていない「効果」も伴うことになる。
本来の効果である「主作用」に対して、目的としてない効果は「反作用」と呼ばれ、一般的には「副作用」として理解されることが多い。

実は、この「主作用」「反作用(副作用)」とは、単に呼び方の問題で分けているに過ぎず、全てはその成分が持つ効果じゃ。
使う側の都合で、有効なものを「主作用」、本来必要としないのに現れてしまうものを「副作用」と表現しているだけじゃ。

先の花粉症で使われる抗ヒスタミン剤の場合、副作用で有名なのは「眠気」じゃろう。
中には、夜、眠りやすくするために「抗ヒスタミン剤」を服用する人もいるらしいが、その人の場合は、「眠気」が主作用(目的とする効果)で、ヒスタミンを抑える効果は「副作用」(目的としない効果)ということになる。

このように、主作用と副作用は、単にベクトル(目的としたものかどうか)の違いに過ぎんことが分かるじゃろう。

なぜ、主作用と副作用の話をしたかというと、主作用も副作用も、その成分が持つ、複数の効果に過ぎず、主作用だけ受けて副作用は受けない、ということは事実上、あり得ない、ということだからじゃ。

本来、複数の作用を持つ物質で、主作用の影響を受けたのであれば、必ず副作用の影響も受けておるし、もし、副作用の影響を受けていないのであれば、それは「主作用」の影響も受けておらん、ということが言えるじゃろう。

グリチルリチン酸も同じで、確かに、皮膚から吸収されづらいかもしれんが、「されづらい」というだけであって、「吸収されない」ということを意味しておるわけではない。
また、正常な肌の場合、皮膚バリアがしっかりしておるので、高分子の物質を含めて皮膚下に到達することは考えづらいかもしれんが、ダメージを受けた肌の場合、角質層内への侵入は容易に許すことになるから、ダメージ肌に使用した場合は、体への影響はより受けやすくなる。

特にYさんの場合、使用することで痒みが緩和されたのであれば、グリチルリチン酸が持つ「抗炎症効果」、つまり「主作用」の効果を受けれたわけであり、それは体に吸収されたことも同時に意味する。
そして、「主作用」の影響を受けたならば、残念ながら、他の作用、「副作用」の影響だけ避けることは、先に述べた「主作用」「反作用」の関係から、不可能ということじゃ。

皮膚のバリア機能が正常ならば、確かに、影響を受けないことはあるかもしれんが、この場合、グリチルリチン酸が持つ抗炎症効果も、受けれないことになる。
つまり、その化粧品を使用する「意味合い」がない、ということでもある。

効果が見られれば、副作用の心配をしなければならんし、副作用の心配がいらないのであれば、主作用(効果)の影響も受けれず意味がない、ということで、いずれにしろ、アトピー性皮膚炎の人が使用する「必要性」が薄い、と言えるじゃろう。

もちろん、抗炎症効果がしっかり見られ、副作用の影響もしっかり把握し理解して、万一、副作用が見られても自己責任で甘受できるならば良い。
じゃが、ステロイド剤のリバウンドと同じような副作用を受けたくはない、というのであれば、できるだけ「免疫抑制作用」がある物質の使用は避けた方が無難と言えるじゃろう。
特にYさんの場合、最近、効果が見られないということじゃが、ステロイド剤の場合、長期連用により、皮膚においてステロイド剤を吸収するための受容体が減少することがエビデンスで明らかになっているのと同じようなことが起きておる可能性もある。

もし、感染症の症状が、現在、見られるようであれば要注意と言えるじゃろう。

グリチルリチン酸は、化粧品として使用できる原料じゃが、「免疫抑制作用」を持つ物質であることを忘れないようにして欲しいところじゃ。

Yさんが、いち早く回復されることを祈っておる。

 
おまけ★★★★南のつぶやき

あとぴナビに、「使用していたスキンケアアイテムを変えたところ、赤みが増えた。これは、その化粧品が合っていないからではないのか?」という相談をいただくことがあります。
その際、今まで使用していたスキンケアアイテムを聞くと、グリチルリチン酸が配合されているものを使用していたケースがよくあります。
ステロイド剤と同じように免疫抑制作用で、痒みや赤みを緩和させていただけなことを知らずに使って、中断後のダメージを受けてしまうケースがあるので、今、使用しているスキンケアアイテムに、グリチルリチン酸が配合されていないかは、ぜひチェックして欲しいと思います。