【Q&A】副腎機能とステロイドについて(1)

今日は、ブログのコメント欄にいただいた質問にお答えしたいと思う。

 

 

 

 

 

 
●MMさんからのご質問

初めまして。質問させていただいて宜しいでしょうか。
最近、血液検査で副腎機能が著しく低下しているとの結果が出ました。
・コルチゾール:3.6
・ACTH:5.7
脱ステ後もう十年以上も外用内服共にステロイドは断っているのですが、
数年前から独自処方の漢方薬を飲み続けていました。
その漢方薬の影響でこの低い数値になったのか、もともと低い数値だったのか、
漢方薬を飲む前にこの種の検査をしなかったため今ではわかりません。
そこで質問なのですが、一旦ここまで低下してしまった副腎機能は、外部からのそういった
ステロイド様のものの供給を断つことで多少なりとも改善していくものなのでしょうか?
もし、漢方薬の影響で低下したわけではなく、もともとこの低い数値だったとしたら、
脱ステ後十年以上経った時点でも副腎機能が低下した状態だったということになるのですが、
そのようなことは可能性としてありえるのでしょうか?

 
MMさん、こんにちは。

ステロイド剤の長期連用による副腎機能低下については、知りたい人も多いと思う。
コルチゾールの正常値は、「早朝安静時7.1~15μg/dl」じゃ。
そして、ACTHの正常値は、「早朝安静時7.1~53.8pg/ml」じゃ。
MMさんの数値は、両方とも、かなり低い状況ではあると思う。
MMさんの場合、可能性があるのは、次の四つじゃろう。

 

1.脱ステ前に使用していたステロイド剤の影響
2.副腎機能の器質的な異常
3.漢方薬の影響
4.検査のタイミングによるもの

 

まず、「1.脱ステ前に使用していたステロイド剤の影響」じゃが、内分泌機能の関係から考えると、これは考えにくい。
外からホルモンを与えることで、自分で作り出す機能が低下することは「ネガティブフィードバック」というが、この現象が起きるのは、服用や注射を長期間続けた場合じゃ。
MMさんが、ステロイド剤の服用を長年行ったとすれば、使用を中断直後には、ACTHが低下した状態に陥ることはあり得るかもしれん。
しかし、コルチゾールは重要なホルモンじゃから、血液中の数値が低くなれば、副腎委縮等でコルチゾールが作れない状況があったとしても、コルチゾールを作り出すためのホルモンであるACTHは高くなるはずじゃ。
実際、アジソン病などによってコルチゾール値が低下した場合には、ACTHは増加することになる。
また、コルチゾールが低下した状態が十年も続いた場合、他の自覚症状(全身倦怠感、脱力感、筋力低下、体重減少、食欲不振、低血圧、低血糖、精神症状(無気力、不安、性格変化)、色素沈着(皮膚、粘膜、爪、舌、口腔粘膜など)、女性の場合は月経異常、体毛脱落など)が見られるはずじゃ。
副腎機能そのものに異常がなければ、機能が低下したとしても、一定期間で回復する可能性は高い。

 
次に「2.副腎機能の器質的な異常」じゃが、上記と同じ理由で、自覚症状がないのであれば、可能性は高くはないじゃろう。
おそらく、血液検査を行った病院でも、数値が低値である以上、器質的な異常は疑ったと思うが、再検査等を勧められておらん場合には、そういった可能性を低く考えておると思う。
コルチゾールが低値を示す疾患であるアジソン病の場合、ACTHは普通、高くなるはずじゃからな。
ただし、先に述べた自覚症状を現在、伴っている場合には、精密検査は行った方が良いかもしれん。
また、その場合、その器質的な異常の原因がどこにあるのかは、しっかり診てもらった方がよいじゃろう。

  
「3.漢方薬の影響」については、これは可能性があるかもしれん。
特に漢方薬で甘草成分が処方されていたのであれば要注意じゃ。
この甘草とは、副腎から放出される「糖類コルチコイド」「塩類(鉱質)コルチコイド」「性ホルモン」の中の塩類コルチコイドと同じ働きをすることが分かっておる。
ちなみに、アトピー性皮膚炎に使われるステロイド剤とは「糖類コルチコイド」を合成したものじゃ。
長くなるので、甘草と副腎機能の関係について、詳しくは明日、述べたいと思う。

 

  
おまけ★★★★東のつぶやき

検査の結果については、「正常値」という範囲があったとしても、その範囲から外れていると、必ず「異常」と決め付けられるわけではありません。
少し前のブログで紹介したように、コレステロールの正常値とされていたこれまでの範囲より高い値でも正常値ではないか、という発表もありました。
また、消費されるホルモンの場合、その「消費量」は、同じ状況下においても個人差は生まれるでしょう。
そのあたりも、気をつけたいところですね。