アトピーの遺伝子治療

東です。
先日、日経新聞に、アトピー性皮膚炎の遺伝子治療の記事が掲載されていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 
●アトピー 遺伝子治療 京大 マウス体内に抑制物質
 
京都大学の高倉喜信教授と西川元也准教授らは、遺伝子治療でアトピー性皮膚炎などを治す手法を開発した。インターフェロンγというアレルギーやがん、肝炎などを抑える物質を、体内で持続的につくれる。アトピー性皮膚炎のマウスに遺伝子治療を1回実施し、ほぼ完治できることを確かめた。5~10年後の実用化を目指す。
インターフェロンγには肝炎ウイルスやがんを抑える作用があるが、体内で分解されやすい。遺伝子治療と組み合わせれば、体外から補わなくても継続してインターフェロンγがつくれる。
研究チームは遺伝子の運び屋(ベクター)に、安全性が高く扱いやすい大腸菌の環状DNA(デオキシリボ核酸)であるプラスミドを採用。通常のプラスミドには、インターフェロンγの持続生産を妨げる遺伝子配列があるため、その配列を持たないプラスミドを使い、インターフェロンγの遺伝子を組み込んだ。
アトピー性皮膚炎では体内のTh1、Th2という免疫細胞のバランスが崩れ、Th2が優位になっている。実験で新ベクターをアトピー性皮膚炎を発症したマウスに投与すると、インターフェロンγが働いてバランスを正常に近い状態に戻せた。インターフェロンγの効果はベクターを1回投与するだけで約3カ月持続。皮膚炎もほぼ完治していた。
現在はがんやB型肝炎、C型肝炎の動物で実験中。将来、臨床応用する場合は肝臓や筋肉にプラスミドを投与しインターフェロンγをつくらせる手法などが有望とみている。

  
このインターフェロンについては、別のところから、Th1、Th2だけではなく、Th3が関与する動物実験でのデータの情報も得ており、今後、研究の進展を待ちたいところです。
ただ、アトピー性皮膚炎自体は、免疫系の要素のみが発病要因ではなく、皮膚の機能的な要因も関わるため、全てのアトピー性皮膚炎を対象に考えると、落とし穴がありそうです。
とはいえ、こういった研究が行われて、何らかの成果が発表されること自体は、アトピー性皮膚炎治療に対しても、福音といえます。
そして、できることなら、現在の皮膚科が行う治療は、免疫を抑制する治療ですが、今回の研究結果からみると、免疫のバランスを崩す可能性がある治療の在り方なども、合わせて研究して欲しいものです。

 
おまけ★★★★博士のつぶやき

こういった免疫を遺伝子レベルで考えた研究が行われることは喜ばしいことじゃ。
とはいえ、遺伝子治療を行うこと自体が、その後、数世代にわたってどのような影響を与えるかは不明でもあるため、長期的な視野において、リスクも十分考えた研究がおこなわれることを望みたいの。