唾液が免疫の記憶を維持する?

東です。

 

 

 

 

 

 

 

 
先日、京都女子大学にて、以前、ブログでも書いた母乳とアトピーの関係について、取材を行いました。

   
●母乳とアレルゲン(5/24のブログ)
http://blog.atopinavi.com/2010/05/24/

    
お聞きした話の中で、興味深かったのは、

1.母親がアレルゲンを摂取すると、摂取したアレルゲンは免疫複合体(IgA)として、母乳中に分泌されること
2.IgAがIgEを抑制する働きがあること

でした。
特に、このIgAが母乳中にないと、そのアレルゲンに対するアレルギーの反応が見られやすくなることも分かったそうです。
詳しくは、8月号のあとぴナビの特集で、今回の取材の内容をお伝えしますからそれをご覧いただければと思いますが、簡単に言うと、母親がさまざまな食品をバランスよく摂取することで、それらの食品に含まれるアレルゲンとなるものが、母乳中にIgAという免疫複合体の形で赤ちゃんに伝わり、その結果、赤ちゃんがIgAを獲得できる、そしてそのIgAがそれらのアレルゲンに対するIgEの産生を抑制してくれる、ということです。

昔は、妊娠中、授乳中のときには、アレルゲンを摂取しない方が良い、と言われたこともありますが、一切のアレルゲン(卵や大豆、牛乳など)を母親が摂取しないと、そのアレルゲンに対するIgAを子どもが獲得できず、自らが離乳食以降でそれらの食品を摂取すると、IgEが作られやすくなる可能性がある、ということです。
つまり、妊娠中、授乳中の際には、バランス良く食品を摂取るすることで、「アレルギーに対する準備」を、子どもに受け継がせることができると考えられるそうです。

さらに興味深かったのは、このIgAは、アレルゲンに接触していないと、やがて抗体自体は失われていくことになるのですが、これを防いでいるのが、「唾液」にあるそうです。
唾液は母乳と同じく、ヒトが作り出す「分泌汁」ですが、唾液にもIgAは多く含まれており、その唾液中のIgAが腸管において、受容体を刺激し、抗体を作ることを「忘れないようにしている」ということでした。
ヒトには、こういった「体を守る仕組み」をしっかりと備えている、ということが分かります。
アトピー性皮膚炎と母乳の関係は、以前のブログでも紹介したとおり、諸説あるため難しい部分は確かにありますが、少なくとも、アレルギーに対する「メリット」があることも忘れないでおきましょう。

詳しくは8月号の特集をぜひ、ご覧ください。

 
おまけ★★★★東のつぶやき

欧州では、「5か月までは母乳育児を行うこと」が原則になっているそうです。
特に、上記のIgAは初乳に多く含まれており、「免疫を受け継ぐ」という点だけでみると、大切な役割を持っていることがわかります。
この母乳については、どちらかというと予防的な観点が強いのですが、「唾液」にもIgAが含まれることを考えると、「しっかり噛む」など、唾液の促進を行うことも一つの予防学的な見地からは大切なのかもしれません。
他の動物で、母親が一度食べ物を咀嚼してから子どもに渡す、ということは良く見られますが(特に、母乳育児を行わない鳥類など)、これは消化を助ける意味合いの他に、免疫を受け継ぐ働きもあるのでしょう。
考えてみると、昔はおばあちゃんが孫に、離乳食の時期、咀嚼してから与えている光景がありましたが、こういった光景を失っている現在は、免疫を受け継ぐ仕組みも失っているのかもしれませんね。