牛乳の話(2)

東です。
今日も昨日の続きです。

 

 

 

 

 

 

 

 

●アレルギーっ子と牛乳
「アレルギーっ子の生活百科(角田和彦著・近代出版)」より

 

消化酵素の推移(哺乳動物としての当たり前の変化)

 

哺乳動物は母親が食べ、それを母乳という赤ちゃんのための特別食に作り替えて子育てをします。哺乳によって、両生類や爬虫類に比べてどんなに過酷な条件のもとでも子孫を残すことができるよう進化しました。哺乳類の赤ちゃんは母乳に含まれる乳糖をエネルギー源とするため、乳糖分解酵素を持っています。この酵素は乳児期が過ぎて乳離れすると活性が急激に落ち、その動物の成体が食べる食物を消化できるように消化機能が変化していきます。ヒトの場合は、乳糖に変わってでんぷんを分解するアミラーゼの活性が高くなります(唾液と膵液、2か所で分泌されます)。
これはヒトが穀物やイモ類をエネルギー源として食べるように地球上で定められていることを意味しています。肉食のライオンは成体になれば肉を、草食の牛は成体になれば草を食べるように消化機能は変化します。牛のお父さんもお母さんも牛乳を飲むと生きていけないことを知っています。成体になってから「乳」、しかもほかの種の動物の乳(牛乳)を飲む生き物は、地球上でヒトだけです。
人類発祥の地はアフリカだといわれています。そこでは、穀類やイモ、豆などのでんぷん質を主食としエネルギーを獲得しています。私たちが住む日本も似たような食材からエネルギーを得ています。しかし、ヒトは地球上を移動し、さまざまな地に故郷を求めました。北に向かったヒトは生活に必要なエネルギーを穀物に求めようとしましたが、寒冷な気候では稲は育ちません。そこで、寒冷でも育つ麦にエネルギーを求めたのです。ところが、小麦は収穫後に1年間休耕をしなければいけません。そのため、休耕地に牧草をはやし、牛に食べさせ、牛の肉と牛乳をエネルギーの一部に利用しました。しかし、牛乳に含まれる乳糖は、ヒトでは赤ちゃんしか消化吸収し栄養とすることができません。小さいときから牛乳を飲み続け、赤ちゃんの乳糖分解酵素の活性を大人になっても維持し続けることができたヒトだけが牛乳のエネルギーを利用でき、寒冷の地で生存できたのです(メソポタミアで遺伝子の突然変異が起きたと考えられています)。
したがって、現在のヨーロッパの人たちやアメリカ人、遊牧民の一部の人たちだけが、大人になっても赤ちゃんと同じように乳糖を分解する能力をもっています。日本人は、牛乳を飲まなくても米やイモ類・豆類から十分なエネルギーを得ることができるため、牛乳を飲む必要はなかったわけです。つまり、エネルギーを得るための主な食べ物(主食)は日本では“米”ですが、牛乳文化であるヨーロッパでは“小麦+肉+牛乳”ということになります。
野菜や海藻が豊富な南の地域、とくに日本では、野菜たっぷりのみそ汁からカルシウムなどのミネラルやビタミンを十分にとることができます。日本人が飲めない牛乳を無理して飲んで、カルシウムをとる必要はないように思います。牛乳は野菜たっぷりのみそ汁が飲めない場合の代用品と考えることができます。日本人は数百年以上も前から食べ続けたみそ汁を十分に食べることが大切です。
生活環境の違いがある北の地域の食べ物を、“欧米並みの食生活”を目指して無批判に“健康にいいもの”として取り入れてしまったことが、現代のアレルギー性疾患やさまざまな成人病(生活習慣病)などの増加につながっていると考えられます。

 

日本人は、乳糖の分解酵素が少なく、そのため、乳糖が体に対して何らかの悪影響がもたらされることは、昔から報告されていました。
こういった酵素の働きは、腸管免疫の関係などから、体全体の内分泌になどへの働きにも関わってきます。
注意は必要でしょう。

 
おまけ★★★★博士のつぶやき

以前、ある医者から聞いた話じゃが、西洋人と日本人では、腸の長さが違うということじゃった。
この腸の長さの違いは、肉食を中心とした西洋人と、穀物を中心とした日本人の食生活の違いから、長い年月をかけて変化してきたもの、という話じゃったが、今日の牛乳を分解する酵素が、西洋人と日本人では違いがあるのも、同様のことからじゃろう。