アトピーの検査と経営の問題

月一、ブログを担当している西だ。

 

 

 

 

 

 

 

 
今日は、医療の実態を垣間見る記事を見つけたので、紹介したいと思う。

    
●医療機関の45%が治療中断、患者の経済的理由で―岡山
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100709-00000006-cbn-soci

    
岡山県保険医協会が県内の医療機関に行ったアンケート調査で、患者の経済的理由で治療中断を経験した医療機関が45%に上ることが分かった。個別の事例では、保険の資格喪失で窓口負担ができず受診をやめたり、保険料の一部負担金が支払えないために受診できず死亡したりするケースが多数報告され、同協会では「社会保障の充実や一部負担金の廃止に向けた取り組みが必要」としている。

調査は今年6月、同協会に加入する医科や歯科の医療機関の院長会員879人を対象に、▽経済的理由と思われる患者の治療中断があったか▽患者から経済的理由で治療を変更するよう要望されたことがあるか―など4項目についてと、個別事例を記述する内容で行われ、119人から回答が寄せられた。

このうち、「治療中断」を経験した医療機関は医科・歯科合わせて45%に上った。内訳は、医科が38%だったのに対し歯科は54%に上り、中には「月に2-3件」などコンスタントに中断事例が発生しているとの回答もあった。 
具体的な事例としては、「一部負担金が払えず受診を中断。その間にがんが進行して死亡」「退職による保険の資格喪失でうつ病の治療を中断し、その後症状が進行」など、治療の中断によって病態が悪くなるケースが多数報告されたほか、「毎日服用する薬を1日置きなどに間引いて飲み、来院を延ばす」など、中断まではいかないものの、患者の判断で受診間隔を延ばしている事例も見られた。

また「治療の変更」については、医科・歯科合わせて56%が「要望があった」と回答した。このうち、医科では「今年4月の診療報酬改定前には4-5件だったが、改定後は10-15件に増えた」との回答もあった。この理由として同協会では、「個別の算定項目が分かる明細書の発行で、治療内容よりも一部負担金の多寡を優先する風潮が生まれつつある」と分析している。
変更の内容としては薬に関するものが多く、「2か月処方など長期処方を希望して来院を回避」したり、「より安価なジェネリックへの切り替えを要望」したりする人が増えているという。また検査の料金をあらかじめ尋ねる患者が増えている一方、医師側が「費用負担を懸念して患者に検査を勧めづらくなっている」との回答も見られた。

こうした結果について同協会では、「医師・歯科医師として看過できない現状。国や行政には、医療を必要とした時に受診を躊躇することがないよう、社会保障の充実や一部負担金の廃止に向けた取り組みを早急に求めたい」としている。

    

今日、紹介したい記事の内容は、医療費の負担で治療を中断した、という部分ではない。
最後の方にある『「2か月処方など長期処方を希望して来院を回避」したり、「より安価なジェネリックへの切り替えを要望」したりする人が増えているという。また検査の料金をあらかじめ尋ねる患者が増えている一方、医師側が「費用負担を懸念して患者に検査を勧めづらくなっている」との回答も見られた。』という部分だ。
現在、病院の「経営」は苦しい時代だと言われている。
従来の診療報酬だけでは成り立たず、閉院するところも多い。
では、病院の「経営」を潤すためには、何が必要なのか、というと、経済の面からみれば単純な話で、客である「患者」が増え、商品である「診療」「検査」「投薬」が増えることが望ましい。
だが、患者側からみれば、はたして病院側の経営を支えるために受ける「診療」が、常に適正なのかというと、必ずしもそうとは言えない。
特に、病院側の「経営」を支える柱の一つが「検査」だ。

アトピー性皮膚炎でいえば、アレルゲンの検査などがそれに当たるが、以前のブログでも書いたように、本来、アレルゲンを「正しく」検査するためには、皮膚のパッチテストが望ましいのだが、現状では、血液による検査を実施する病院の方が多い。
その理由は、パッチテストは検査の「保険点数」が血液検査よりも低く(病院側の「実入り」が少ない)、一人当たりに要する検査の時間も血液検査の数倍必要になる(患者を効率よく「さばけない」)。

だが、患者側にとってみればどうだろう?
その検査の内容を知ったとき、正確性が低く、費用も高い検査を望むだろうか?
多くの患者は、費用が安く正確性が高い検査を望むだろう。

あるアトピー性皮膚炎の治療に携わる医師は、患者の評判が良く、土曜日も勤務しなければならないぐらい、患者の数が増えた。
だが、病院側からは、「患者が多くて困る」という注意を受けたそうだ。
なぜなら、その医師は、患者のことを思い、手間暇かかって収入が少ない検査を選び、ステロイド剤も処方せず、最低限の薬剤しか処方しないため、病院側の収入が少ないから、というのが理由だったそうだ。

何をかいわんやである。
3分診療で、患者の状況を細かく把握せず、血液検査をしょっちゅう行い、ステロイド剤を大量に処方する医師は、病院側にとっては「優秀な医師」かもしれない。
しかし、患者側にとっては決してそうではないことは、当然であろう。
病院も「経営」が成り立たなければ存続できないことはわかる。
しかし、「医師」は「営業マン」ではなく、あくまで「医師」として患者を診療してほしいと思う。

もちろん、そういった医師がほとんど、というわけではない。
だが、アトピー性皮膚炎の診療に限って言えば、薬を処方するだけの医師が多いのが現状だ。
薬を処方するだけが悪いわけではないが、少なくとも患者は、「アトピー性皮膚炎を治すこと」を目標にしているのであって、「アトピー性皮膚炎の症状をコントロールしてつきあっていく」ことを望んでいるのではないことを知って欲しいところだ。

 
おまけ★★★★博士のつぶやき

7月1日に東君が書いた「使用されなかった薬の話」にあるように、現在、日本においては、実に多くの「無駄な薬」が処方されておる。
日本の医療費における薬代の占める割合とその金額を考えると、その「無駄な薬」をなくすだけで、「兆円」単位の無駄が省けるはずじゃ。
例えば、特別な場合を除き(糖尿病のインシュリンなど毎日使用しなければならない場合など)、毎日、受け取りに行かなければならない、とすれば、薬の使用量は激減することは分かるじゃろう。
もちろん、薬剤が効果を発揮するための血中濃度などの関係で、一概にいかんことは確かじゃが、薬が生む弊害も減るじゃろうし、医療費も激減するのであれば一石二鳥じゃろう。
行政の仕分けが、巷では話題になっておるが、もっと根本的なところで、考えて欲しいものじゃの。