アトピーはなぜ増加したのか?(1)

現在、アトピー性皮膚炎は、相変わらず増加の傾向にあるようじゃ。

 

 

 

 

 

 

 
その増加速度は、十年ほど前から見ると、弱くはなっておるようじゃが、学校保健統計調査などを見ても、少なからず右肩上がりの状況じゃ。

アトピー性皮膚炎は、皆も知っておるように、人口に対して数%の割合であらわれるようになったのは、昔からのことではない。
もちろん、昔もアトピー性皮膚炎、という疾患自体はあったじゃろう。
じゃが、一般の人にも「アトピー性皮膚炎」という言葉自体が認知されたのは、それほど前のことではない、ということじゃ。

そこで今日から、数日間にわたり、なぜアトピー性皮膚炎が増加したのかを考えてみたいと思う。

まず、「アトピー性皮膚炎」という言葉が誕生したのは、1933年に二ユーヨーク大学のザルツバーガーが使用したことから始まっておるとされておる。
そして、日本に「アトピー性皮膚炎」という言葉が紹介されたのは、その後30年ほど経過した1960年のことらしい。
昭和35年ころ、ちょうど高度経済成長のさなかじゃな。

歴史を見てみると、相当な昔から、アトピー性皮膚炎と思われる疾患の記述は見られることから、疾患自体は昔から存在しておったと考えられる。
もちろん、アトピー性皮膚炎自体、その疾患の本体は、「アレルギー」により引き起こされておるわけじゃから、人間の歴史とほぼ同じくして疾患自体も「存在」はしておったじゃろう。

じゃが、昔は、今ほど疾患自体が普遍的に知れ渡るものではなかったことも確かじゃ。
人口に占める割合がどれぐらいだったのかは、統計調査すらなかったわけじゃから何とも言えんが、統計調査の概念が根付き始めていた戦前である昭和前半(まだアトピー性皮膚炎という言葉が日本では使われていなかった頃)ですら、病気そのものの区分けがなかったぐらいじゃ。
学校保健統計調査によると、全国の公立の小中高のアトピー性皮膚炎患者の平均は約3%じゃ。
東京都の21年度の調査の速報がネットで公開されておるので、興味のある人は見てみるとよいじゃろう。

 
●平成21年度学校保健統計調査報告(東京都)
http://www.toukei.metro.tokyo.jp/ghoken/2009/gh09index.htm

 
余談じゃが、東京都の年度別の調査の結果を見てみると、アトピー性皮膚炎自体が、統計調査の対象となったのは、平成18年度からのようじゃ。
もちろん、厚生労働省の方の健康調査は別途行われておるのじゃろうが、文部科学省が児童、生徒の健康調査としてアトピー性皮膚炎を重視し始めてから、まだ数年しかたっておらんということじゃな。
今回、昭和前半ころの、皮膚疾患としての統計調査(アトピー性皮膚炎は、昭和前半頃には日本では使われていなかったため)がどこかにないか、Webでいろいろ探したのじゃが、厚生労働省のページでも、戦前のデータは見つからなかった。
じゃが、多くのホームページを見たところ、現在のような人口比率で患者数が存在したという記録は全くなく、逆に、ほぼゼロに近い状況、という記述の方が多かったところをみると、人口比率0.1%未満程度じゃったのかもしれん(1000人に1人以下)。

このように、アトピー性皮膚炎という疾患自体は、まだまだ最近、認識された疾患といっても過言ではないわけじゃが、では、なぜ今のように、増加することになってきたのじゃろうか?

続きは、明日書きたいと思う。

 
おまけ★★★★東のつぶやき

今回、いろいろ行政機関のホームページを検索していて気付いたのですが、アトピー性皮膚炎の統計調査結果は、実は、厚生労働省より文部科学省の方が、頻度、分母数ともにしっかり行っているように思えました。
もちろん文部科学省は、あくまで児童、生徒の調査になりますが、その前後、乳幼児と成人以降の年度ごとのアトピー性皮膚炎の統計調査は、事実上、行政機関の公開している数値としては見つけられることができませんでした。
少なくとも、小中高生の3%が罹患している疾患に対して、なぜ広い調査を行わないのか、この姿勢が、アトピー性皮膚炎そのものの解明に対する進歩の遅さを示しているようにも思います。
行政機関がもっと、アトピー性皮膚炎の問題に前向きに取り組んで欲しいものです。