アトピーとスキンケア(2)

南です。

 

 

 

 

 

 
今日は昨日の続きを述べたいと思います。

 

●アトピー肌を守るスキンケア

アトピー性皮膚炎の方の肌の大きな特徴は、昨日、述べたように「バリア機能が低下している」「水分保持が不足している」という状況です。
そこで、アトピー肌を守るスキンケアとは、この二つの大きな特徴をケアするものであることが大切、ということですね。
つまり「水分保持を高める」スキンケア、そして「バリア機能を高める」スキンケアの二つを考えていくことが必要です。

アトピー性皮膚炎の方であれば、経験している人は多いと思いますが、アトピー性皮膚炎による痒みとは「連鎖」的に生じることがあります。
最初は、髪の毛が触れていた首筋が痒くて掻いていたら、次に顔、次に腕、と飛び火していって、気がつくと全身が痒くなった、あるいは、最初、腕のちょっとした痒みを感じて掻き始めたら止まらなくなり、気がつくと血が出るまで掻きむしっていた、という経験をしたことのある人は多いと思います。

こういった、「最初のきっかけ」から生まれてくる痒みの連鎖反応は、それを増長する要因があるため起きるといわれています。
その一つが、昨日述べた乾燥に伴う痒みの神経線維が角質層内に伸びてきた状態です。

本来、痒みを近くする物質は炎症により作られるのですが、痒みの神経線維が角質層内まで伸びた状態では、炎症から生み出される痒みにプラスして、直接、肌の刺激による痒みが加わりやすくなっています。
そして、この肌の刺激の一つが、「掻くこと」です。
つまり、「掻くこと」自体が痒みを増長させる要因を、肌の中に持っていることがある、ということですね。

以前、アトピー性皮膚炎の治療法として「脱保湿」という考え方がありました。
使用される保湿剤そのものが、肌にとっては「異物」であること、また外部からの保湿に頼ることで自らが持つ保湿の力を弱めてしまうことがアトピー性皮膚炎には良くなく、一切、保湿剤を使用せずに、自らの保湿を行う力が「育ってくる」まで「我慢する」という方法です。

この「脱保湿」という考え方が一理あることは確かなのですが、大きな弱点もあったのです。
それが、「角質層内に侵入した痒みの神経線維」が、通常の真皮内まで戻るためには「角質層内の水分が必要」ということです。
つまり、常に痒みがあり掻き壊した状態では、皮膚の水分保持能力を上げることも難しく、また痒みから生じた炎症が次の痒みを生むという連鎖の中にある間は、皮膚の修復そのものも難しく、かなり偶発的な要因が重ならない限り、炎症・痒みがあり肌を掻き壊す状態よりも、自ら保湿する力が育つ速度が上回ることは、難しいということです。
唯一、条件を満たすとすれば、それは「汗」をかいているか、どうかということでしょう。
ヒトが自ら行うスキンケアといえる「皮脂膜」とは、汗と皮脂が乳化して作られます。
つまり、汗をかく状態であればまだしも、汗をかかない状態の中で、自らの保湿力が自然と高まることを待つのは、事実上、困難だということです。

そして、アトピー性皮膚炎の症状が悪いと、多くのアトピー性皮膚炎の人は、汗をかきにくいことがアンケートの結果で出ています。
脱保湿という方法が、結局、主流にならなかったのは、こういった条件を無視して、「全てのアトピー性皮膚炎」の人が、いつでも行える方法として考えたからでしょう。
TPOを正しく捉え、汗をかける状態のときに行うのであれば、その効果も期待できますが、汗もかけない、さらに痒みが連鎖的に生み出されている状況で脱保湿を行うことは、かえって「悪化」させているケースも見られました。

このように、ほとんどの状況下において、アトピー性皮膚炎の肌には「スキンケア」とは大切な要因と言えるのです。
では、実際に、どのようなスキンケアを行うことが大切なのでしょうか?
続きは、明日にしましょう。

 
おまけ★★★★博士のつぶやき

今日、南君が取り上げていた「脱保湿」じゃが、常にアトピー性皮膚炎の人に必要である、としたから失敗が多かったわけじゃ。
ここでいえば「汗をかく」という条件が必要だったというわけじゃな。
同じように、スキンケアも、その時々の要因によって、変化させることが必要だといえる。
汗をしっかりかける時期と、汗をかけない時期では、同じ人であっても、スキンケアの仕方は異なってくる。
このように、季節的要因、体調的要因、そしてお肌の状況を兼ね合わせて、最もその時々に適した方法を考えることが大切だ、ということじゃな。