新しい検査の話

アトピー性皮膚炎の、アレルゲンの検査は、血液で行うものと、皮膚で行うものの二つがある。

 

 

 

 

 

 

 

 
一般的には、医師の負担や保険点数で得られる病院の収入の関係で、血液で行うケースの方が多いのじゃが、血を取られるのは痛いものじゃ。
今日は、唾液や鼻汁などでアレルギーの検査が行えるようになった、という記事を見つけたので紹介したいと思う。

 
●痛くないアレルギー診断

http://www.sankeibiz.jp/econome/news/100630/ecb1006300505000-n1.htm

 

徳島大学疾患酵素学研究センターの木戸博教授らは、微量な血液や唾液(だえき)、鼻汁、涙液などの体液といった痛みをほとんど伴わずに採取できる検体を用いて、1回の検査で多項目のアレルギー原因物質(アレルゲン)を高感度に診断する技術を開発した。受診者の負担を軽減できるほか、多項目診断でアレルギーの進行具合など詳しい症状を知ることができる。

科学技術振興機構(JST)の大学発ベンチャー創出事業で実施したもので、同教授らが出資して「応用酵素医学研究所」(徳島市)を設立した。

現在使われているアレルギー診断法は、アレルギー反応で中心的な役割を果たす分子、免疫グロブリンE(IgE)抗体の量のみを測定している。測定法のCAP-RAST法は、前処理が複雑で検査時間が必要なほか、検出感度が十分ではない。1回に10~20ミリリットル程度の血液が必要で、特に乳幼児の診断では身体的な負担が大きい。

木戸教授らは、DNA診断向けに開発してきた高密度集積化に優れる「カルボキシル化DLC(ダイヤモンド状炭素)」技術をアレルギー診断に応用。DLCから伸びる微小な分子の鎖に、抗原タンパク質を結合し、蛍光標識で量を光として高感度に計測できるようにした。

従来のアレルギー診断ではIgEのみを検出しているが、新チップでは測定対象となる抗体の範囲もIgEだけでなく複数検出できる。口腔(こうくう)や鼻腔(びくう)粘膜などで作られてアレルギー状態に傾いた体を元にもどそうとするsIgA抗体など複数の抗体を総合的に診断することで、アレルギーの進行状況や治療状況、症状の軽減状況などを正確に知れるという。

新会社の資本金700万円は開発メンバーの木戸教授と元徳島大学研究員で代表取締役に就任した鈴木宏一氏らが出資。今後、新アレルギー診断チップの製品化に約1年をかけ、その後全自動測定装置を企業と開発して、唾液や涙液、鼻汁などで各種抗体を診断する事業を開始する。

 
本来、アレルギーの検査は、記事中にあるようにIgEに対するものだったんじゃ。
そして、アトピー性皮膚炎で反応するIgE抗体は、本来、皮膚の細胞と結合した状態のため、血液検査で分かるIgE抗体は、血中にあるものしか分からなかった。
そのため、検査の正確性、とうい点で言うと、血液検査よりも、皮膚検査(パッチテスト)の方が、正確性は高かったのじゃが、いかんせん、皮膚検査は、保険点数も低く、医師の手間も多いため、病院側からは敬遠されておったのじゃ。

今回の検査も、血液や唾液などを元に行われ、皮膚細胞と結合したIgEを測定できるわけではないのじゃが、IgAの測定が簡易に行えるのは大きなメリットじゃろう。
先日、東君のブログにあった「唾液が免疫の記憶を維持する?」(6/29のブログ)にあった、IgAの話もこれに関連しとると言えるじゃろう。

今回の検査が、保険の適用を受けれるのか、また病院側に「メリット」があるのかで、導入されるケースは変化してくるのじゃろうが、パッチテストと合わせて、IgAも検査を行うと、患者側にも有益になるじゃろうし、期待したいところじゃの。

 
おまけ★★★★西のつぶやき

最後に博士が言っていた「病院側のメリット」があるかどうかで、検査の導入が決められているのは、悲しいところだ。
だが、実際には、アレルギーの判定でより有益なパッチテストはあまり導入してはいない。
血液検査なら、血を取る数分で済むのが、パッチテストの場合、一定時間後の判定も必要なため、時間と手間が多く、さらにそれによる保険点数が少なく、病院の収益が減るためだが、安くて正確に出るのであれば、患者側としては、パッチテストを望むのは当然だろう。
保険点数を上げることが先決なのか、病院側に患者のことを考えてもらうのが先なのか、いずれにしろ、患者側の利益が優先されるようになって欲しいと思う。