使用されなかった薬の話

東です。

 

 

 

 

 

 

 
今日は、気になった記事を二つ紹介します。

  
●処方薬の使い回し、約6割が「ある」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100614-00000008-cbn-soci

薬局などで誰もが買える「市販薬」とは異なり、医師が患者一人ひとりの体質や症状に応じて処方する「処方薬」を、自己判断で、家族や友人の間で使い回したことがある人が全体の約6割に上ることが、病院検索サイトを運営する「QLife(キューライフ)」(本社=東京都世田谷区)と医療経営コンサルティングサービスなどを行う「ネグジット総研」(神戸市)の調べで分かった。QLifeでは「同じ症状に見えても、アレルギーを持っていたり体重が違っていたり、処方された本人と体質が異なれば、副作用を引き起こす可能性が十分にある。リスクの啓発に努めていきたい」としている。

調査は今年5月、処方薬の家庭内での保存や個人間での譲渡の実態などを明らかにするため、インターネット上で実施。1年以内に医療機関を受診した20-60歳代の、子どものいる女性1000人から回答を得た。

それによると、現在使用していない余った処方薬が「ある」は84.5%、「ない」は14.7%、「分からない」は0.8%だった。
「ある」と答えた人に理由を聞いたところ(複数回答)、「時々、服用するのを忘れてしまった」が49.7%で最も多く、以下は「意図的に、途中で服用をやめた」32.7%、「多めに処方してもらった」30.3%などの順だった。

また、処方薬を家族や友人・知人間で使い回したことがあるかどうかを聞いたところ、「家族間で」は49.3%、「友人・知人間で」は3.8%、「家族間と友人・知人間の両方で」は6.6%、「どちらもない」は40.3%だった。
「どちらもない」と答えた人以外に、家族や友人・知人間であげたりもらったりすることが多い処方薬を聞いたところ(同)、「痛み止め、解熱剤」が60.5%で最も多く、次いで「湿布剤」54.4%、「風邪薬」46.7%、「塗り薬」40.0%、「胃薬・整腸剤」37.4%などの順だった。

本人向けに処方されたものではない処方薬を使ったり、使わせたりすることについては、「とても怖い」が23.1%、「やや怖い」が44.0%、「あまり怖くない」29.8%、「全く怖くない」3.1%だった。

  
特定の人に処方された薬剤を、他の人が使用するのは、記事中にあるように問題がありますが、気になったのは、使用していない余った処方薬が全体の85%の人が「ある」と答えたことでしょう。

日本の保険制度は、事実上、薬の金額に対するものとなっているといっても過言ではないでしょう。
もちろん、手術や診療、検査などにも保険は適用されますが、それらはいずれも「単発」的な行為であるのに対し、投薬の場合、ほとんどが一定期間、継続して使用するからです。
現在、日本の医療制度は、かなり危機的状況にあると言われていますが、記事中にあるように、処方された薬の中で、「薬箱に眠った処方薬」を持つ人が85%もあるのは、かなりな問題だと思います。
もちろん、それら85%の人が、処方された薬剤を、どれくらい未使用のまま所持しているのかはわかりません。
しかし、トータルすると、全体の何割かを占めることになるのは確実なように感じます。
おそらく、この使用されていない薬剤が、全て保険制度から除外された場合、現在の医療保険制度は、十分持ち直すほどの規模のようにも思います。

外国の例ですが、アメリカでは、こういった未使用の薬をリサイクル制度があるようです。

 
●薬の再利用で医療コストを削減~30州以上が未使用薬の寄付を促進
http://www.usfl.com/Daily/News/08/04/0424_014.asp?id=60272

高騰する医療コストを抑えるため、未使用の薬を集めて無保険者や貧困層の治療に使う処方薬のリサイクル制度を導入する州が増えている。

AP通信によると、再利用する薬は、抗生物質、抗精神疾患薬、抗血液凝固剤などさまざまだが、未開封の物に限られ、州によって個人からの寄付は受け付けないところもある。集まった薬は通常、安全性などを念入りに検査され、病院、薬局、慈善診療所などに配給される。現在少なくとも33州に医薬品リサイクルを認める法律があり、ほとんどは数年前に成立したばかりかまだ試行段階にあるが、効果は大きいと関係者は見ている。

糖尿病患者の場合、薬を適切に飲んでいれば目や足への障害を避けられるが、薬をきちんと服用しないと病状は悪化し、救急治療や入院などが必要となって、長期的には莫大なコストが生じる。しかし、保健政策研究団体のコモンウェルス・ファンド(ニューヨーク市)による2006年の調査では、持病を持つ無保険者の59%は値段が高すぎるという理由で指定された薬の服用頻度を減らすまたは薬を飲まないことがあり、救急治療や入院経験のある人は、保険加入者が15%なのに対し無保険者は30%以上であることが分かった。

無保険者が8万から9万人と言われるワイオミングでは、病院は毎年約1億2000万ドルに相当する治療を無償で提供している。州が薬品リサイクル制度を導入したところ、07年は8万1000ドル分の医薬品が集まり、557件の処方に充てられた。今年は18万ドル分の医薬品収集が目標だという。アイオワでも、病院は05年に4億6500万ドルの無償ケアを提供したが、07年3~12月に29万2000ドル相当(服用31万9000回分)の薬をリサイクルした。ルイジアナでは07年、ある慈善薬局が3万8000件、200万ドル分の処方薬を患者に提供し、ほとんどはリサイクル薬品で賄ったという。

 

  
行政では、無駄な公益法人が「仕わけ」されて、国庫の負担の見直しが図られましたが、医療費の総額を考えると、この未使用薬について「仕わけ」すれば、数兆円規模での「無駄」が省かれるのではないでしょうか?
この仕わけで「困る」一番の対象は「製薬会社」と「薬局」なのでしょうが、その余った薬剤が、使いまわしによるリスクを抱えていることを考えると、いつかは検討されることになるのかもしれません。

 
おまけ★★★★博士のつぶやき

アトピー性皮膚炎の場合、ステロイド剤の処方を希望しなくても、感染症などで病院を受診すると、ほとんどのケースでステロイド剤やプロトピック軟膏の処方を受ける。
その処方を患者が断ると、怒り出す医師もおるようじゃ。
感染症で「免疫抑制剤」を、長期間(1週間~28日)処方する医師も問題じゃが、それ以上に、「インフォームドコンセント」を無視する医師は困ったものじゃ。
プロトピック軟膏でも、厚生労働省が2年前に「発がんのリスクが生じることを処方する際には患者に伝えること」という通達も全く守られておらん。
「説明と同意」なく処方することは、少なくとも患者は望んでおらんのじゃから、「怒り出す」なぞもっての他じゃな。
患者は少なくとも受診する意思を「選択する権利」は持っておることを、医師側も忘れてほしくないものじゃ。