食物アレルギーを食べて治す?(1)

東です。

 

 

 

 

 

 

 
今日は、朝日新聞に掲載された食物アレルギーの記事を紹介したいと思います。

 
●食物アレルギー、食べて治す 牛乳や卵、専門医のもとで徐々に摂取
(2010年3月19日 「医療」より)

 
重症患者の改善例も

 

「う~ん。まずい」
2月の昼下がり、病室で小学生2人が医師に見守られ、飲み慣れない牛乳を飲んでいた。2人は牛乳による食物アレルギーの重症患者で、元々は飲むと命の危険があった。
だが、8日前に入院してから毎日少しずつ飲む量を増やし200ミリリットルを飲み干せるようになったという。
入院当初は発作が起こるのではと怖がった小学4年の植田尚邦君(10)も「完全に治ったら(牛乳が使われていて食べられなかった)給食のパンが食べたい。あとデザートも」と目を輝かす。
牛乳と卵の食物アレルギー患者を対象に、神奈川県相模原市の国立病院機構相模原病院は2008年から、原因食物をとらせる治療の臨床研究を始めた。入院と薬剤費以外は病院持ちで、患者の負担は約10万円ほどだ。
厚生労働省研究班の代表者でもある同病院の海老澤元宏医師は「必ずしも全員治るわけではないが、治癒の道が開けてきた」と語る。
食物アレルギーで目立つのは、原因食物を食べるとじんましんなどが出る即時型で、時には呼吸困難や血圧低下などが起きて生命の危険がある激しいアレルギー反応のアナフィラキシーを起こす。
同病院の入院治療対象はアナフィラキシーを起こす即時型で自然治癒が見込みにくい小学生以上の重症者だけだ。
最初は原因食物を少量ずつとり、アナフィラキシーを起こす限界量を見極める負荷試験をする。1回の摂取が牛乳なら50ミリリットル、卵なら半個までになる間に症状を起こすような患者は、治療に移るため入院してもらう。
入院では、アレルギーを抑える薬を服用しながら初日は負荷試験で見極めた限界量の2分の1~同量の原因食物をとる。10日間毎日、医師の監視下で摂取量を倍増させ、牛乳は200ミリリットル、卵なら1個まで増やす。退院後も毎日、一定量を食べながら経過観察。原因食物を含む加工品も段階的に食べていく。
この結果、昨春に治療を受けた牛乳アレルギーの19人のうち11人は、退院3カ月後も200ミリリットルの牛乳が飲めた。元々は1~12ミリリットルでアナフィラキシーを起こした子どもたちだ。卵の12人でも、8人が卵1個分の60グラムが食べられるようになった。
昨春からの治療で卵アレルギーが改善した横浜市の小学2年、湯次郁磨君(8)は18日、加熱した卵に関しては「治った」と診断された。毎日の摂取をやめても再びアレルギーが発症しないか、確認のため1カ月、卵を絶っていたがこの日、食べても症状はなかった。まだ生卵はだめだが母の佳子さん(47)は「成長すれば、親が用意したもの以外を食べる機会も増える。安心できました」と喜んだ。
海老澤医師は「アナフィラキシーの危険がある重い食物アレルギーの子は、全国に1学年あたり1千人程度とみられる。治療体制の確立が必要だ」と話す。

  

食物アレルギーについては、今までは、除去が治療の中心だったこともあり、多くの品目に対してアレルギーが認められた場合、米もダメ、小麦もダメ、食べられるのは粟と稗、というように、栄養摂取がかなり限定されることがありました。
そのため、栄養の不足から、成長障害などが問題になることもありました。
今回の記事では、特に重篤な症状を示す、アナフィラキシー型のアレルギーに対して、減感作療法を試すということで、従来の考え方とは、大きな一線を画した方法です。

今までも、少しずつ食べる、というのは行われていましたし、実際にそれによる効果は良く見られていましたが、ショック症状を示すような状況のアレルギーに対してまで、それを行うことは、少なくとも主流の方法ではありませんでした。
従来、行われていた治療法からみると、ある意味「非常識」とも言える方法が、実際に効果をあげているという事実自体が、画期的とも言えるでしょう。

アトピー性皮膚炎に対する治療法に対しても、同様だと思います。
実際、現在行われているアトピー性皮膚炎の治療方法は、数多の問題を抱えていることは事実であり、標準治療とされる治療以外に、治療法を模索することは、大切なことでしょう。

明日は、同記事の続きを紹介します。

 
おまけ★★★★西のつぶやき

数日前の博士のブログにあったように、今まで発ガンの危険性がない標準治療とされてきたプロトピック軟膏の治療が、海外のエビデンスにより、その危険性が暴露されつつある。
そういった中、実際に治療を行う医師たちは、そういったエビデンスを無視して従来の治療法を行うのか、患者側のリスクを考えた治療法を「模索」していくのか、今後の治療の在り方を問いたい。