プロトピック軟膏で死亡例が報告

今年は、本当に天候が不順じゃの。
気温の差も激しいようじゃ。
アトピー性皮膚炎の症状を悪化させる要因の一つじゃから、十分に注意して欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、今週のはじめに報道されたニュースは、ご覧になったじゃろうか?

 
●アトピー薬:使用の子46人がん 多くが用法を守らず--米国
http://mainichi.jp/select/science/news/20100322ddm003040165000c.html

 
【ワシントン共同】日本でも販売されているアステラス製薬の「プロトピック」(一般名・タクロリムス水和物)など2種類のアトピー性皮膚炎治療薬を使った米国の子どもが、2004年1月~09年1月の5年間に計46人、白血病や皮膚がんなどを発症し、このうち4人が死亡したと米食品医薬品局(FDA)に報告されていることが21日分かった。

適応対象外の子どもに使ったり、長期間使い続けたりするなど、使用法が守られていないケースが多いという。因果関係は明確ではないが、発がんと関連する恐れがあるとして、FDAは、薬の添付文書改訂を検討する。

もう一つの薬はノバルティス社(スイス)の「エリデル」(日本未発売)。いずれも塗り薬で免疫抑制作用がある。FDAによると、0~16歳でプロトピックを使った15人、エリデルを使った27人、両方を使った4人の計46人が皮膚がんやリンパ腫、白血病を発症した。

うち50%は、添付文書で「使うべきでない」とされている2歳未満。41%は、安全性が確立していないと注意喚起されている1年以上の長期使っていた。

  

ついに・・・いや「ようやく」といったところじゃろうか?
これまで、プロトピック軟膏の発ガンに対する警告は、一昨年より、何度も出ておるのじゃが、患者側が、その報道に触れる機会はあまり多くなく、小さなとりあつかいじゃった。
じゃが、今回は、発ガンの例ではなく、子どもの死亡例、ということもあり、一般紙でも各紙が取り上げたのじゃろう。

今回の報道のポイントは、

1.死亡例(但し因果関係は明らかではない)が報告されたこと
2.不適切な使用方法

の二つと言えるじゃろう。

1の死亡例については、あとぴナビでも今年の1月にWebで掲載した通り、発ガンの報告は大規模調査の結果が、昨年の12月にアメリカの学会において、論文で発表されておるぐらいじゃから、発ガン患者数が増えれば死亡例が比例してくるのは、避けられないことかもしれん。

問題は、「不適切な使用方法」のところじゃな。
新聞記事中にある「不適切な使用方法」とは、

1.2歳未満への使用
2.1年以上の長期使用

の二つじゃ。
現在、プロトピック軟膏を使用している人は、特に2番目の「1年以上の長期使用」が不適切な使用方法だと医者から説明を受けているじゃろうか?

昨年12月にアメリカの学会で発表された、プロトピック軟膏の発ガンに関する論文は、使用者の分母が約1万に対して、悪性リンパ腫の発生が10名じゃった(補正値を引くと9名)。
今回は、5年間で46人の発ガン患者を確認、さらに悪性リンパ腫以外のガンも報告されており、その中で4名が死亡ということじゃ。
もちろん、因果関係が明らかではないから、即断はできんが、これまで散々、プロトピック軟膏は安全と言って、処方してきた医師の「責任」は決して軽くはないじゃろう。
特に、一昨年の8月に厚生労働省が「患者に処方する際には発ガンのリスクがあることをあらかじめ説明するように」という通達も、プロトピック軟膏の処方を受けているほとんどの患者が説明を受けてはおらんのが現状じゃ。

薬剤の添付書(通常は患者には渡されない、医師向けの説明書)には、これらの警告がはっきりと書かれていたにも関わらず、また厚生労働省の通達にも従っていないかった、ということならば、少なくとも患者側には、責任はもちろんないし、過失もないと言える。

今回の報道が、一過性に終わることなく、「患者の命を守る」報道に、今後、繋がっていくことを願うばかりじゃ。

 
おまけ★★★★東のつぶやき

これまで、取材でプロトピック軟膏の処方を受けている患者には、数多く接してきました。
その中には、2年以上、使用し続けている患者も珍しいことではありません。
京都の某病院では、プロトピック軟膏を日本一使用しているが発ガンなどなく安全だ、と「豪語」している先生がいらっしゃいましたが、長期間使用してきた「リスク」が、もし「発ガン」となって形を現したとき、患者側に対してどのような「責任」をとるのでしょうか?
少なくとも、プロトピック軟膏の処方を受けている患者側は、このような記事を知っておくべきです。
特に、今回の報道の対象は「子ども」たちです。
他に治療法がなく、生命に危険が生じている疾患なら、リスクも承知の上、使用せざるを得ないこともあるかもしれません。
しかし、他にも多くの治療法が存在している中、そのリスクを受けざるを得なかったことを考えると、胸が痛んでなりません。
少なくとも、今後、新たな患者が生まれることがないよう、医師や行政側も体制を作って欲しいと思います。