温泉入浴とアトピー(5)

今日は、今回の温泉入浴についての最後じゃ。

 

 

 

 

 

 

5.どのような入浴法がアトピー性皮膚炎に良いのか?

 

昨日まで、入浴の「環境」として温泉が関わる要因について述べてきた。
今日は、実際に入浴を行う際の注意点をいくつか挙げておきたいと思う。

 

・入浴温度

この部分は、少し前のブログでも書いたように、誤った入浴温度の人が意外と多い。
特に、寒い今の季節、湯ざめが怖いから、といって、40度以上で入る人を良く見かける。
高い温度での入浴は、体内温度がその温度まで上がると、致命的でもあるため、体はその熱を受け入れまいとしやすくなる。
つまり、温熱効果が得にくい、ということじゃ。
高い温度での入浴は、入浴後はカッカしていても、すぐに冷めてしまうのは、体の芯は熱を受けて入れていないからじゃ。
さらに、その場合、皮膚の表面は温度が上がった状態になっておるが、こういった皮膚の熱を冷ますためには、皮膚の水分を蒸発させ、その気化熱で下げることになる。
つまり、皮膚の水分が蒸発する=皮膚が乾燥する、ということじゃ。
このように、高い温度での入浴は、アトピー性皮膚炎に対して必要なアプローチと言える温熱効果を効果的に得にくいばかりか、皮膚の乾燥という点からいえば、逆に悪化させていることにもなるから要注意じゃ。
また、体が最も活発に活動して代謝が行われる温度は38度と言われておる。
深部体温(体内の温度)が38度のときに、体表面の熱を測るとだいたい36.5度くらいになる。
この体内温度が38度のとき、ダメージを受けた細胞を修復する能力を最大限に発揮するたんぱく質がつくられることがわかっておるんじゃ。
このたんぱく質は、ヒートショックプロテイン(HSP)と言われておるが、NK(ナチュラルキラー)細胞など免疫機能にも関わることが分かっておるんじゃ。
そしてHSPは、高い温度では効果が発揮されない。
このように、高い温度での入浴は、皮膚にも体にもメリットがないことが分かるじゃろう。

 
・入浴時間

入浴時間も、気をつけて欲しい。
体が温熱効果をじっくりと得て、内分泌機能や自律神経機能を動かすためには、一定時間以上の入浴が必要となる。
体がそれらの機能に働きかけられた時間の目安としては、「汗」が出ることを考えると良いじゃろう。
ただし、体温調節機能にかなりダメージを受けている状態の時(リバウンド時など)は、汗も出にくいことがあるから、時間的には30分前後を目安にしても良いかもしれん。
なお、長時間の入浴は、体と皮膚に相応の負荷もかけるので、繰り返して行う場合には、自分の状態を良く見極めて判断をして欲しいと思う。

 
・入浴回数

生活習慣として考えた場合、入浴の回数は、ほとんどの人が1回じゃろう。
たぶん夜入る人が多いのではないかな。
じゃが、1日1回の入浴では、体がさまざまな作用を受けても、翌日の入浴までには、その作用の影響はすっかりなくなっておる。
できれば、間を空けて複数回入浴することで、この体が作用を受けている効果時間を継続させることが望ましいといえよう。
理想的には、朝、昼、夜といった3回じゃが、難しければ朝、夜の2回でも良い。
なお、同じ2回でも夕、夜だと、夜から翌日の夕方までの時間が長すぎる。
実際、一日1回の入浴する人と、複数回入浴する人では、その影響の現れ方は、倍ではなく数倍にも思われるように感じることがある。
もちろん、複数回入浴することは、それだけ体への負荷を与えることでもあるので、体力、食欲、睡眠の取れ方など、総合的に考えながら判断して欲しいと思う。

 
・入浴方法

入浴は半身浴が良い、ということを聞いたことがある人もおるじゃろう。
半身浴とはみぞおちの下まで水面につかる方法じゃが、反復継続して入浴を行う場合には、できるだけ半身浴で行った方が良いじゃろう。
みぞおちより上まで水面につかると、心臓の部分が水圧を受けることになる。
試しに半身浴で「手」を水面につけると、良く分かるじゃろう。
心臓より上の部分に水圧は掛けない方が体への負担は少ないんじゃ。
特に、アトピー性皮膚炎の人が入浴療法を取り入れる場合、一定期間、入浴を続けていかねばならんのじゃから、体力をすっかり失った状態で、入浴を継続させることがないよう注意して欲しい。

 

以上、入浴の環境と方法について5回に分かって述べてきた。
現在入浴療法を行っている人、あるいはこれから取り入れてみたいと思う人は、この「環境」と「方法」に十二分に注意して取り組んで欲しいと思う。

 
おまけ★★★★南のつぶやき

今日、博士が述べた方法は、あくまで「成人」の方が対象となります。
乳幼児の場合、おおよそ半分ぐらいの量が目安となるでしょう。
なお、その時々の状況、睡眠の取れ方や食欲、生活の環境、さらに皮膚の状態(感染症にかかっていないかどうか)によっても、入浴の方法は異なってきます。
一か月前に良かった方法が今も良い方法だとは限りません。
今の入浴状況に不安がある人は、お気軽にご相談ください。
状況をお聞きしたうえでアドバイスさせていただきますね。