患者の辛さ、家族の辛さ

大田です。

 

 

 

 

 

 

 
アトピー性皮膚炎の「本当の辛さ」は、患者本人しか分かりません。
同居する家族でも、その「辛さ」の意味が推し量れないこともあります。
しかし、アトピー性皮膚炎の辛さを支えることができるのは、周囲の理解と協力、という要因がとても大切です。
今日は、家族の理解についてお便りをいただきましたので、ご紹介したいと思います。

 
●Yさんからのお便り

 

大田さん、こんにちは。
いつも、弟がお世話になっています。

さて先日、私が足首の骨折で2週間ほど入院しました。
病院に車で駆け込んだのが土曜日でしたので、タイミング悪く、手術は休み明けの月曜日だとのこと。
それまで、患部を固定され、痛み止めでごまかすしかありませんでした。
夜中は痛みで眠れず、こんなに痛いのなら足ごと取り除いてくれと思うくらいでした。
高齢者の方の骨折の場合、リハビリが思うように進まないのもよくわかる気がします。
というのは、手術後すぐに痛みがなくなって快適にリハビリに専念できると思っていたのですが、あにはからんや、激痛との戦いはリハビリ中も続くのです。
動きたくない、でも動かさないと歩けなくなってしまう、そんな葛藤を繰り返しながら歯を食いしばってリハビリを行いました。
私の腕の半分しかない細い腕で、歩行器につかまりながら、一生懸命、一歩一歩進んでいくおばあちゃん、筋骨隆々でいながら包帯にくるまれているスポーツ選手、いろいろな人と一緒にリハビリを行いました。
自分の痛みを持って他人の痛みを思いやりいたわれるようになったのは、この骨折がきっかけでした。

私にはアトピーの弟がいます。

痒みの延長が痛みともいわれていますので、全く同じという訳ではありませんが、私自身も‘辛さ’でのたうちまわる経験をしたように思います。
弟に対して「アトピーくらいで休んで、根性が無いんじゃないの、さぼりたいだけじゃないの」といった言葉を浴びせたことがありました。
きっと、弟の胸にずしりとささったことでしょう。
今もその矢は、ささったままかもしれません。

実は、弟との関係がぎくしゃくしているのです。
謝りたいけどできないもどかしさが、私自身をいらつかせます。
何か気のきいた言葉を贈ろうとも思いますが、何も思い浮かびません。

しかし、今は、「普段通りでいよう、もし弟が救いを求めてきたらその時に助けてあげよう」と思っています。
みんな逃げないで頑張っているんだから、心の中でエールを送る気持ちはこれからも失わずにいたいです。

 

最初に書いたように、アトピー性皮膚炎の「本当の辛さ」は患者本人しか分かりません。
しかし、同時に、接する家族も患者とは違う「辛さ」を感じていることがあるのも確かです。
本人の辛さと、家族の辛さ、比較はできませんが、「辛さ」を感じている限り、相手の「辛さ」に目を向けることも必ずできます。
自分を理解してくれる人がいる、と思えることは、アトピー性皮膚炎に限らず、何かと「闘う」人にはとても大切な支えになります。
Yさん、いつかあなたの思いが弟さんに届く日が来ますから、頑張ってください。

 
おまけ★★★★南のつぶやき

子どものアトピーに対して、毎日、「今日は○○が悪いわね」と、状態が悪いところを探して溜息をついているお母さまがいらっしゃいました。
子ども自身も、母親に体を見られると、母親が悲しい顔になるので辛かったそうです。
そこで、お母様とお話をして、「悪い場所を探すのはやめて、昨日よりも良い場所を探すようにしましょう」とお願いをしました。
気持ちの持ち方はとても大切だからです。
すると、1か月もすると、お子さまの表情が変わってきたのです。
次の面談のときに「昨日は首が少し良くなったね、ってお母さんに言われた」と言って喜んでいるのです。
これが良いきっかけになってくれたのか、そこから急激に症状が良くなりました。

アトピー性皮膚炎の辛さを見ている家族だからこそ、アトピー性皮膚炎の人に「勇気」「元気」を上げて欲しいと思います。
そして、アトピーの患者の人は、家族がなぜ「勇気」「元気」を与えようとしているのかを理解してください。
お互いの理解し合うことは、大切なことですから。