アトピーでやってはいけないこと(5)

今日は、「アトピー性皮膚炎の人が、やってはいけないこと」の四つ目である「ステロイド剤などの長期連用」について見ていきたいと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
5.ステロイド剤などの長期連用

 
これは、アトピー性皮膚炎の治療を受けていく中では、相当に大きな問題じゃ。

まず、次の基本的なことをまずは抑えて欲しい。

 
・ステロイド剤は、痒みというアトピー性皮膚炎の症状は抑えても、アトピー性皮膚炎という病気そのものを治すことはできない。

 

・ステロイド剤は免疫抑制作用により、免疫を抑える→炎症が抑えられる→痒みが起きない、という効果を得られる薬剤であるが、免疫→炎症→痒みという経路以外から生じる痒み(乾燥からくる痒みの神経線維が関わる痒みなど)には効果を与えづらい

 

・ステロイド剤は免疫抑制作用を有しているがゆえに、感染症を悪化させる要因となる

 

・ステロイド剤は、IgEの受容体(ガラクチンー3)の関係からは、IgEそのものを増強させる要因となることがある
※詳しくは下記の特集を参照
●主治医も知らない「IgE」とアトピーの関係
http://www.atopinavi.com/navicontent/list?c1=health&c2=1&c3=58

 
ステロイド剤は、「痒み」という症状を抑える目的だけを考えれば優秀な薬剤じゃ。
じゃが、その「痒み」を抑える働き(免疫抑制)がゆえに、感染症、そしてIgEを増強させるという二つの悪化要因をも内在してしまっておるのじゃ。

本当は、痒みを抑えるというベネフィット(利益)と、アトピー性皮膚炎の悪化要因というリスクと、どちらを受けれる状況にあるのかは、十分に観察しながら使用するのが原則じゃ。
しかし、今の医師の治療を行う状況は、そういった経過観察が十分に行えていないことが多い。
もちろん、ステロイド剤の単発的な使用ではベネフィットの方がリスクよりも高いと言える。
じゃが、使用期間が長くなればなるほど、ベネフィットよりもリスクが高くなる傾向にあるのじゃが、今の医師の治療は、ステロイド剤が皮膚科学会が定める標準治療だから、という理由で、ベネフィットのみを患者に伝えていることが多い。

それが、長期連用による副作用やダメージを受ける患者を生んでおることにつながっておるのじゃ。

さらに、今の医師の説明は、患者側に対して「痒みがなくなる」=「アトピー性皮膚炎が治った」状態だという勘違いをさせているのも大きな問題じゃ。

痒みとは病気によって生体に引き起こされている「症状」に過ぎない。
風邪を例にとれば、風邪という病気によって「熱」という症状が現れ、解熱剤を使用して熱が下がったとしても、風邪が治っていなければ、熱は薬の効果が切れれば再び上がってくる。
風邪の場合、解熱剤で熱を下げた=風邪が治った、とは、ほとんどの患者は思っておらんじゃろう。
ただ単に、解熱剤で熱を下げた=熱という症状が「一時的に」治った、という理解をしているはずじゃ。

ところが、ことアトピー性皮膚炎においては、「痒みがなくなった」=「アトピー性皮膚炎が治った」と患者が勘違いしていることが非常に多い。
そして、この勘違いを引き起こしているのが、情報を正しく伝えていない医師のせいとも言えよう。

繰り返すが、ステロイド剤という薬剤そのものが「悪い」わけではない。
悪いのは、その使い方じゃ。
痒みという不快な症状を抑えている間に、アトピー性皮膚炎という病気そのものを治すためのアプローチを行うことが必要じゃが、医師はそういったアトピー性皮膚炎を本当の意味で「治す」ための治療は、ちょっとした生活の注意事項程度にしか伝えておらん。
本来は、その生活の注意事項が「主役」でなければならんのにも関わらずじゃ。
ひどい場合には、薬だけ塗っておけば良い、という説明を行うことすらある。

もちろん、薬を使っているだけで「アトピー性皮膚炎が治る」人はいるじゃろう。
じゃが、これは自らの体でアトピー性皮膚炎を出さない状態にしただけじゃ。
先の風邪の例でいえば、解熱剤で熱を下げている間に自然治癒力で「たまたま」風邪が治っただけの状態じゃ。

こういった勘違いは、ステロイド剤だけではなく、プロトピック軟膏など、他の薬剤の場合も同様じゃ。

ステロイド剤のリスクを体が受ける前に「たまたま」治ってしまうのであれば、それはそれで良いのかもしれん。
じゃが、リスクが大きくなるにつれ、それはアトピー性皮膚炎そのものの悪化要因にもつながってくるから、「たまたま」治る可能性はリスクの増大とともに低くなってしまう。

そのことを、ステロイド剤を使用する患者側は良く理解して置いて欲しい。

明日は「高温での入浴」について見ていきたい。

 
おまけ★★★★西のつぶやき

2月はアレルギー月間のため、例年のようにアトピー性皮膚炎に関するシンポジウムが開催され、そのことが新聞などでも報道されることだろう。
だが、その記事は、実は新聞社が取材を独自に行う報道のための取材ではないことを読者側が気付いていないことが多い。
その記事の下には、必ず「製薬会社」などの広告が載っていると思うが、記事そのものが「製薬会社」の広告なのだ。
俗に言う「記事広告」という方法なのだが、これは新聞社が第三者の立場から報道として取材したものではなく、「広告を発信する側」の意見を伝えているだけのものであることを知っておいて欲しい。