ステロイドの内服は安全?

大田です。

 

 

 

 

 

 

 
先日、中学生の子供がアトピーの母親から、電話相談がありました。

炎症が顔に出ているために、ステロイドはできるだけ使用したくはないのですが、本人も辛いようだったので病院へ行ったところ、塗り薬ではなく、セレスタミン(ステロイド剤)の内服薬がだされたそうです。
そして「3ヶ月間は服用してください!ステロイドの量はほんのゴミ程度(?)の量だから安心してください。炎症が良くなっても、そのあと、炎症がでないようにと3ヶ月間は服用するようにしてください」と言われたそうです。

母親は子どもの前で、医者から大丈夫!また飲まないと治らないよ、などと言われたため、自分の意見を伝える間もなかったということでした。
そして、数回服用して驚くほど炎症は引いたようですが、一応先生の指示に従い服用していました。
しかし、やはり何か腑に落ちないこと、そして心配だし、服用を続けることが怖いような気がして、相談電話をされてこられました。
セレスタミンは抗ヒスタミン剤と副腎皮質ホルモン(ステロイド)の2成分が配合されている強い薬です。
本来は、塗り薬より服用については慎重に処方するべき薬剤です。
実際、体内の炎症が命に関わる可能性がある疾患で、内服をせざるを得ない場合がある膠原病のような疾患に処方する際ですら、その服用の管理は厳重に行います。
症状が安定して、薬を止める際にも、急に中断すると重大な副作用が現れるため、薬を少しずつ削りながら減らしていくように指導する先生もいるぐらいです。

それほど強い薬剤を、患者に対して「ゴミみたいな少ない量だから安心して使っても大丈夫」そして「炎症がでないように長期に使用しましょう」と説明したことは、愕然とせざるをえませんでした。

おそらく、その処方した医師は、現時点で「炎症を抑えること」が、優先すべきことと判断したのでしょう。
確かに、ステロイド剤の内服は、「炎症を抑える」という目的に対しては、非常に有効だからです。
しかし、「炎症を抑える」=「アトピー性皮膚炎が治る」ということではありません。
外用のステロイド剤ですら、皮膚に対するダメージはその使用期間に比例して現れやすいのに、内服のステロイド剤は、皮膚に対するダメージどころか、体全体に対するダメージを与える可能性があることを患者に伝えておらず、とても「適切な使用」とは考えづらいものがあります。

相談いただいた母親には、薬がどのような目的で「アトピー性皮膚炎」に処方されるのか、またセレスタミンとはどのような薬剤で、どのようなメリットがあり、どのようなリスクを抱えているのかなどをお伝えしました。
そうしたところ、母親は、「疑問に思っていたことがとれてすっきりとしました。離脱のことなどもあるけど、薬を使用しないで回復させていくために、子どもともよく話していきたい」と話されました。

色々な治療を行う医師がいると思いますし、その先生のアトピー性皮膚炎に対する治療法の考えもあるとは思いますので、一概には否定できいことは確かです。
しかし、少なくとも、強い薬を処方する際には、患者側に生じる可能性があるリスクはしっかり患者側に伝えるべきですし、またそのリスクをどのように回避していくのか(定期的に検査を行う、など)を、具体的に患者に伝えるべきでしょう。
特に、その治療法以外に、治療を行うすべがないわけではないのですから。

実際に、今回、相談された母親は、一時的に楽になることの代償として、そういったリスクがあることを最初から知っていれば、他の医師にも相談したかった、と話されていました。
仮に、そのリスクが低くとも、そのリスクが重大な状況を生む可能性があるならば、治療法として選択したくなかったそうです。

今後、ステロイド剤の服用を勧められる方も多いとは思いますが、その服用がもたらす意味合いを、メリットもデメリットも、十分に納得いくように説明を医師に求めるようにしたいものです。

 
おまけ★★★★西のつぶやき

インフォームドコンセント(説明と同意)とは、治療を受ける上での基本ともいえることである。
だが、アトピー性皮膚炎の治療の場合、十分にそれができていないことが多い。
今回のステロイド剤の内服もそうだが、プロトピック軟膏についても、2008年8月に厚生労働省が通達を出した「処方する際には、発ガンのリスクが生じることを患者側に伝えるように」ということは、事実上、守られていないのが現状だ。
そういったリスクは、「全て患者側に生じる」のであることを忘れてはならないだろう。