アトピーの寛解維持にプロトピックは必要?

先週の、メルマガでも少しだけ触れたのだが、今日は今年の9月に発行された日経メディカルに掲載された記事を紹介したいと思う。

 

 

 

 

 

 

●アトピー治療のベストプラクティス
ステロイド外用薬を上手につかって減らす、寛解維持にタクロリムスが有効
(日経メディカル2009年9月号 58ページ~61ページ)

 

ステロイド外用薬はアトピー性皮膚炎治療の主軸だが、その使用に対する患者の不安、誤解はいまだ根強い。一方、近年、免疫抑制剤の外用・経口薬や抗アレルギー薬が登場し、ステロイドのみに頼らなくても長期寛解・治癒が可能になってきた。患者の不安と向き合いながら、それらを上手に組み合わせて最大限の治療効果を上げる、現在のベストプラクティスを取材した。

・ステロイド外用薬を上手に使って減らす

 

(省略)

 

・タクロリムスで再燃予防

さらに最近では、タクロリムス外用薬を寛解導入だけではなく、寛解維持の目的で使用する「proactive療法」が欧米を中心に報告され、注目を集めている(Allergy 2008;63:742-50.、J Am Acad Dermatol.2008;58:990-9)。
欧州の報告では、皮膚症状が改善してタクロリムス外用薬の使用を中止すると、15日間で皮膚症状が悪化したが、改善後も再燃しやすい部位を中心に週2回外用を続けると、4か月以上皮膚が良好な状態が続き、年間の悪化回数を有意に抑えることができたという。
古江氏もproactive療法を実践している。「土日だけでも塗って、良好な皮膚の状態を保つことが、長期的に見てもステロイド外用薬の使用量を減らすことにつながる」(古江氏)。
また、治療の目標を患者に伝えておき、理解してもらうことも重要だろう。「『保湿剤の使用を続けながら、ステロイドは年2~3回塗るぐらいの症状で治っていると思って欲しい』と伝えている」と古江氏は話す。

 
主なところだけを取り上げてみた。

まず、医師が言う「寛解状態」とは何かというと、簡単にいえば「症状が出ていない状態」のことを指す。
つまり、アトピー性皮膚炎でいえば、炎症や痒みがない状態が一定期間以上続けば、寛解状態と判断されることになる。
もちろん、治癒状態とは違うため、何らかの要因を受けることで(季節要因など)、症状が再び現れる可能性が高い状態でもあるわけじゃ。

分かりやすい例でいえば、花粉症じゃな。
春の花粉が飛んでいる季節は症状が出ておるが、花粉が飛ばなくなれば、症状が落ち着く。
この症状が落ち着いた状態が「寛解状態」で、翌年の花粉が飛ぶ時期がくれば再び悪化原因が生じることで、症状が再燃してしまう、つまり治癒はしていない、という状態のことじゃ。
一言でいえば、擬似的な「治癒状況」ということじゃな。

そして、今回の記事で何が問題かというと、この状態が落ち着いているときに、プロトピック軟膏で寛解の状態を維持させよう、というところが問題なのじゃ。

なぜ、この寛解状態の維持にプロトピック軟膏を使用することが問題なのか?

まず、それは第一に、薬剤を使用しなければ症状が現れる状態を「寛解状態」とすることが間違っておる。
例えば、ステロイド剤を使用して症状が落ち着く。
そこで、ステロイド剤の使用を中断してしばらくすると、また症状が現れてくる。
そこで、症状が落ち着いても、薬を使用し続けて、症状が現れないように予防しましょう、と言っているのと同じじゃ。

この状態で言えば、ステロイド剤を使用していったん良くなった段階が、すぐに「寛解状態」と言えるのじゃろうか?
否、誰が見ても、症状が現れるたびに薬剤で治療しなければならない状態を、擬似的な治癒状況(寛解状態)とは言えないじゃろう。

そして、最も大きな問題は、プロトピック軟膏のリスクを軽視しておることじゃな。
おそらく、このようなプロトピック軟膏による寛解状態を維持する治療を行う医師は、昨年、厚生労働省が出した「プロトピック軟膏を患者に処方する際には、発ガンのリスクが生じることをあらかじめ伝えて同意を得ておくように」という通達は守っておらんじゃろう。
今月、アメリカで発表された最新の論文で、万単位に近い、エビデンスの結果、プロトピック軟膏を使用した患者に悪性リンパ腫が発生する件数が、明らかに有意差が生じているという報告も、見ておらんじゃろうし、おそらく、プロトピック軟膏で発ガンするという可能性そのものを否定する見解できておるのじゃろう。

じゃが、そういった見解の医師に治療を受けた患者に、万一、悪性リンパ腫が生じたら、誰が責任を取るのじゃろうか?
特に、最近では小児に対しても積極的に処方されておる傾向にある。

この雑誌の記事を書いた記者も、おそらく昨年、厚生労働省から出た通達は知らんのじゃろう。
もし、知っていながら、そのリスクを無視したのなら、なおさら問題じゃ。
そして、この記事の取材を受けた医師の中で、誰ひとり、厚生労働省から出された通達を知らない、はずはないはずじゃ。
そういった治療の現場にあたる医師が、患者のリスクを軽視し、治療を行う側の立場を「正当化」させていく今の状況に、大きな問題点を内在していることを、早く気付いてほしいものじゃ。

 
おまけ★★★★博士のつぶやき

こういった情報は、一般の患者は全く触れることはないじゃろう。
じゃが、こういった情報を知った限りにおいて、そのリスクを自分や子どもたちの治療の結果として甘んじて受けれる患者はどれだけおるのじゃろうか?
さらに、その治療自体は、アトピー性皮膚炎の症状は治せても、アトピー性皮膚炎そのものは治せない治療なのじゃ。
いつも言うことじゃが、治療を行う側が都合がよい情報を患者側は望んでいないことを、よく知って欲しいところじゃ。