医療の変化とアトピー

月一、ブログを担当している西だ。

 

 

 

 

 

 
先日、Webでとあるニュースを見た。
これまで、妊娠中に授乳を行うと子宮が収縮して流産につながるということで、産科医は、妊娠中の授乳について中止を指導していたのだが、妊娠中の授乳と流産とは無関係である、という論文が発表された。

 
●<流産>「妊娠中の授乳」と無関係 論文で浜松の産科医

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091206-00000008-mai-soci

 

授乳をすると子宮が収縮し流産になるとして、明確な根拠がないまま国内の産科医療機関で中止を指導されることの多い妊娠中の授乳について、浜松市の産科医が、授乳は流産と無関係とする論文を日本産科婦人科学会の学会誌に発表した。

 石井第一産科婦人科クリニック(浜松市)の石井広重院長は、96~00年に同院で第2子の妊娠が確認された20~34歳の女性のカルテをもとに分析。第1子が満期産(妊娠37週以上42週未満に出産)で流産の経験がない人で、授乳中だった110人と、授乳していなかった774人を比較。授乳群で流産は全体の7.3%に対し、授乳しない群は8.4%で、有意な差はなかった。石井院長は「母乳育児は母子双方にメリットがあり、禁止はすべきでない」と話す。

 日本赤十字社医療センターの杉本充弘周産母子・小児センター長は「データに基づき、無関係とはっきり示した論文は国内では初めて。中止を指導していた施設は方針転換した方がよい」と話している。【須田桃子】

 

 

母乳育児について、一部賛否両論はあるだろうが、少なくとも、過去の指導が、新しいエビデンスにより覆る、ということ自体は、医療全体からみれば良い流れであるといえよう。
だが、残念ながら、アトピー性皮膚炎においては、治療を行う側のデメリット情報が、患者側に正しく伝わりきっていない現状がいまだにある。

過去のブログにも書いたが、昨年の8月にプロトピック軟膏を処方する際には、患者側に発ガンのリスクが生じることを告げるように厚生労働省が通達を出したのだが、治療を行う現場においては、いまだに反映されていない。

先日も、プロトピック軟膏の処方を受けた患者が、不安になって相談の電話をしてこられたが、話を聞くと、処方を行った医師からは、そのようなリスクの話は全くなかったということだった。
逆に、ステロイド剤よりも副作用が少ない新しい薬だから安心して使ってください、という説明を受けたそうだ。

確かに、プロトピック軟膏使用による発ガンのリスクは、著しく大きいものではないだろう
だが、少しでも発ガンのリスクがあるのなら、そういった薬剤の使用は避けたい、という患者も多いはずだ。
今、新型インフルエンザのワクチンの接種を希望する人は、さほど多くなく、約50%の人が希望しないというニュースもあったが、これも、ワクチンの良否それぞれの情報を聞いていたからこそ、患者がそのように判断したわけだ。
もちろん、その判断による「結果」は、患者側自身が「責任」を持たなければならないことだが、少なくとも、アトピー性皮膚炎の場合、判断そのものを医師にゆだねている現状では、万一の場合、誰が責任をとるのだろうか?
その場合、少なくとも患者側は単なる「被害者」に過ぎない。

新しい事実が判明したとき、その情報、特に「患者側にとって必要な情報」が周知徹底される体制が組まれることが望まれる。

 
おまけ★★★★博士のつぶやき

医療は常に進歩しておる。
もちろん、正しく進歩することもあれば、誤った「進歩」も中にはあるかもしれん。
じゃが、患者側にとって「必要な進歩」が行われた場合、患者側に正しく伝わる体制は欲しいところじゃの。