IgEの第三の受容体とアトピー(5)

今日も続きじゃ。
明日で終わるので、難しい話じゃと思うが、お付き合いいただきたい。

 

 

 

 

 

 

●5回目

ガレクチン-3はアトピー性皮膚炎のマウスモデルにおいてアレルギー性炎症反応の発現に非常に重要である

Jun Saegusa、Daniel K. Hsu、Huan-YuanChen、Lan Yu、Agnes Fermin、Maxwell A.Fung、Fu-Tong Liu

カリフォルニア大学デービス校 皮膚科(サクラメント、カリフォルニア)

 
<議論>

  
我々はこの試験によって、AD患者の病変部位において炎症細胞におけるガレクチン-3の発現が亢進していること、しかし同じ患者でも非病変部位ではその発現亢進は認められないことを示した。また、抗原蛋白の経皮的投与によってマウスに誘引されたアレルギー炎症の皮膚部位で、ガレクチン-3発現がアップレギュレートされていることを観察した。我々は、マウスにおいてガレクチン-3欠損によってアレルギー性皮膚炎症が有意に軽減することを、浸潤好酸球と単核細胞の数によって評価した。さらにガレクチン-3欠損はTh1極性反応を惹起する。この結果は、内因性のガレクチン-3はアレルギー性皮膚炎症を促進し、Th2極性反応を誘導することを示唆している。我々はTh反応発現におけるガラクチン-3の作用が樹状細胞とT細胞の両者で起きている証拠も示した。
この試験の注目すべき点は、Th2が介在する皮膚炎がOVA特異的TCR tgマウスからT細胞を移植されたマウスで経皮的感作によって誘発されたことである。3回の1週間感作を必要とする以前のモデルとは対照的に、この新規モデルでは2週間隔てると、1週間の抗原曝露によって好酸球性皮膚炎とIgE反応が発現する。B細胞とT細胞を欠損するRAG2-/-マウスでは経皮的OVA感作後に皮膚炎は起こらず、成熟B細胞を欠損するIgH-/-マウスでは野生型対照群と同等の皮膚炎が起こることが既に報告されている。31 これらの早期の試験と同様に、我々の試験でもT細胞がアレルギー性皮膚炎症の発現に重要な役割を演じていることを示唆している。gal3-/-とgal3+/+T細胞を移植されたマウスの皮膚でほぼ同数の単核細胞が観察されたことは、T細胞におけるガレクチン-3の影響がこの皮膚炎症の局面には及んでいないことを示唆している。
我々が用いた皮膚炎症モデルはTh2細胞由来(-driven)であるため、gal3-/-マウスにおける軽度の皮膚炎症は免疫反応のTh1への偏向によって説明できるかもしれない。これらの結果は、以前我々が喘息のマウスモデルを用いて行った試験結果と一致する。その試験ではgal3-/-マウスは軽度の気道炎症と血清IgE濃度の低下を示した。我々のT細胞の移植実験(図6,7)は、T細胞でガレクチン-3が作用している証拠を示した。すなわちT細胞の内因性ガレクチン-3はナイーブT細胞からTh2細胞への分化を促す。Th1とTh2細胞におけるガレクチン-3の発現はまだ確認されていない。しかしながら、ガレクチン-3は免疫組織化学および免疫蛍光検査によって、ヒトとマウスの皮膚病変部においてCD4+T細胞で観察された。これは、ガレクチン-3が活性化T細胞で観察され、増殖していない休止期のT細胞では観察されないように、細胞の活性化natureと一致した。
β1,6-N-acetyl-glucosaminyltransferase V(Mgat5)はガレクチン-3のcarbohydrateリガンドを運ぶN-glycansの合成に必須であるが、それを欠損するT細胞では高いTCR反応を示すことが認められている。32 報告者はこれをTCR複合体におけるガレクチン-3とN-glycansでできたlatticesの不十分な構造によるとしている。その試験はTCRとの相互作用によって、ガレクチン-3がTCRシグナリングの閾値を高め、その欠損が抗原に対するT細胞の反応を高めていることを暗示している。このメカニズムが我々の所見を説明しうるかどうかはまだ確定されていない。
我々は、ガレクチン-3がこの蛋白を発現するように形質移入したヒトJurkat T細胞系にで、抗アポトーシス作用を示すことを既に報告した。10 このグループあるいは他のグループが続いて行った試験によって、内因性ガレクチン-3が様々なタイプの細胞でこの機能を示すことが立証された。アポトーシス調節経路において分子間相互作用による細胞内メカニズムを通して、異なったアポトーシス刺激に対抗して、抗アポトーシス作用を示す。8,33  一方、Fukumoriら12とStillmanら13は最近になって外因性ガレクチン-3がT細胞において細胞表面糖蛋白に結合することでアポトーシスを起こす可能性を報告した。このように一つの可能性が存在する。ガレクチン-3がTh1とTh2で特異的にアポトーシスを調節し、高いTh2/Th1比をもたらす。しかしながら、我々は養子移植の実験で行った培養と単離操作後に、gal3+/+とgal3-/-マウスのCD4+T細胞数に有意差を認めなかった。さらに、これらの2つの遺伝子型動物から採取したcarboxyl fluorescein succinimidyl ester標識したT細胞を分離して移植したとき、同じ量の細胞がそれぞれの被移植マウスのリンパ節で回復した(データ非表示)。これらのデータは、我々が観察した反応の違いが細胞生存におけるガレクチン-3の作用に起因しないことを暗示している。

 

ここまでが、最後の「議論」の前半部分じゃ。
簡単に解説すると、

 

1.アトピー性皮膚炎の方の病変部には、ガレクチン―3の受容体が多く見られる
2.アトピー性皮膚炎の方の病変部ではない部位においては、ガレクチン―3の受容体は多くない
3.ガレクチン―3の受容体を欠損させることで、アトピー性皮膚炎の症状が減少する
4.ガレクチン―3の受容体の欠損は、ThⅠ型の免疫を亢進させる(=アレルギーの免疫を抑制させる)

 

というような意味合いじゃな。
明日は、今回の論文の紹介の最後じゃ。

 
おまけ★★★★博士のつぶやき

専門家でないと、論文の用語は分かりづらいと思うのじゃが、いずれにせよ、アトピー性皮膚炎を考える上で、IgEそのものだけではなく、IgEが結合する細胞(肥満細胞やB細胞など)の受容体も検討する必要がある、ということじゃな。
明日が最後じゃから、もう一日お付き合いいただきたい。