IgEの第三の受容体とアトピー(4)

連日になるが、今日もIgEの論文について掲載したい。

 

 

 

 

 

 
昨日の続きで、結果の後半部分じゃ。

 
●4回目

ガレクチン-3はアトピー性皮膚炎のマウスモデルにおいてアレルギー性炎症反応の発現に非常に重要である

Jun Saegusa、Daniel K. Hsu、Huan-YuanChen、Lan Yu、Agnes Fermin、Maxwell A.Fung、Fu-Tong Liu

カリフォルニア大学デービス校 皮膚科(サクラメント、カリフォルニア)

 
gal3-/-マウスでは経皮的OVA感作に対して低いTh2反応と高いTh1反応を示す

我々が用いたマウスモデルは血清IgE濃度の上昇を伴うTh2優位な全身反応が特徴である。そこで血清中の総IgEおよび抗原特異的IgE反応を調べた。OVA感作 gal3-/-マウスは同様に処理したgal3+/+マウスに比べて著明に低い血清IgE濃度を示した。さらにOVA特異的IgE濃度もgal3-/-マウスで有意に低かった(図3A)。Th2サイトカインはIgG1へのアイソタイプスイッチにおいて不可欠な役割を演じている。一方、Th1サイトカインはIgG2aへのアイソタイプスイッチで不可欠な役割を演じている。我々はOVA特異的血清IgG1濃度とIgG2a濃度を測定した。Th1反応の指標としてその割合を計測した。gal3-/-マウスではIgG1に対するIgG2aの比がgal3+/+マウスに比べて有意に高いことが示された(図3B)。これらの結果は、ガレクチン-3欠損が経皮的に導入された抗原蛋白に対するTh1極性の全身反応に帰着することを示している。
ADの皮膚病変ではIL-4mRNAの発現増加が特徴である。ただし慢性病変ではIFN-γmRNAが増加傾向にある。30 次に、我々は皮膚部位におけるIL-4mRNAとIFN-γmRNAを調べた。PBS感作皮膚部位ではIL-4mRNAとIFN-γmRNAのレベルは低いが、そのレベルはgal3-/-マウスとgal3+/+マウスで類似していた。IL-4mRNAの発現はgal3+/+マウスのOVA感作皮膚部位で著明に増加したが、IFN-γmRNAの発現は増加しなかった。これはTh2細胞の存在を暗示している。対照的に、IL-4mRNAはgal3-/-マウスのOVA感作皮膚部位では著明な増加は認められなかった。ところがIFN-γmRNAは有意にアップレギュレートされていた(図3C)。これらの結果は、以下に示す経皮的感作、ガレクチン-3欠損がT細胞のTh1への進展、Th2からの進展を起こすサイトカインプロファイルを歪めていることを示唆している。

 
gal3-/-抗原提示細胞はIL-12の分泌亢進を示し、Th1極性反応を誘引する

次に、我々はOVA感作マウス由来脾臓細胞のOVA再感作に対するサイトカイン産生を調べた(in vitro)。経皮的に感作したgal3-/-マウス由来脾臓細胞をOVA刺激すると、gal3+/+マウスと同様のIL-4の分泌が誘引された。またgal3+/+マウスに比べてIFN-γの産生亢進がみられた。しかし、統計学的有意差は示されなかった(データ非表示)。しかしながら、OVA刺激したgal3-/-マウスの脾臓細胞はgal3+/+マウスに比べて有意にIL-12の産生亢進を示した(図4A)。
IL-12はTh1への分化を促進する強力な免疫調節性サイトカインであり、主にマクロファージや樹状細胞によって産生される。それゆえ樹状細胞におけるガレクチン-3の役割を確認するため、T細胞の分化を誘導する樹状細胞におけるガレクチン-3欠損の影響を調べた(in vitro)。gal3-/-樹状細胞によるOVA-TCR tgマウス由来T細胞へのOVA323-339ペプチドの提示はgal3+/+樹状細胞による提示に比べて、有意なIFN-γの分泌亢進とIL-4の分泌低下を引き起こした(図4B)。これらの結果はTh細胞極性化におけるガレクチン-3の作用が抗原提示細胞である樹状細胞レベルでも、少なくとも部分的には行使されていることを強く示唆する。

 
OVAの1週間経皮的感作はOVA-TCR tgマウス由来T細胞の被移植マウスにおいて、感作部位の有意な表皮肥厚を誘引した

さらに、ADの免疫応答調節におけるガレクチン-3の役割を確定するため、C57BL/6 backgroundのgal3-/-あるいはgal3+/+OVA-TCR tgマウスから採取してin vitroで増加させたT細胞をマウスに移植して検討した。脾臓細胞は抗原提示細胞、OVAおよびIL-12で活性化し(in vitro)、野生型C57BL/6マウスに経静脈的に注入した。フローサイトメトリーによる分析によると、移植された80%以上の細胞はCD4+T細胞であった(データ非表示)。注入1日後に、マウスは1週間のOVA経皮的感作を行った。生検は感作終了1日後にOVA感作した皮膚部位で行った。1週間の感作を3回繰り返すモデルで観察された皮膚炎反応と同様の反応が認められた。組織学的検査では、これらの被移植マウスへの1週間のOVA曝露によって、表皮および皮膚の肥厚と密集した表皮への浸潤(dense dermal infiltration)が認められた。そこには限局性の表皮肥厚(棘細胞症)と海綿状変化が認められた(図5A)。gal3-/-細胞を移植されたマウスは、gal3+/+細胞を移植されたマウスに比べて、著明な表皮肥厚は認められなかった。しかし、この実験プロトコールでは統計学的有意差は認められなかった(図5B)。移植された他の細胞(例えば抗原提示細胞)が作用した可能性を除外するため、精製CD4+T細胞(90%以上純化)を移植した。そして、ほぼ同様の結果を得た(データ非表示)。

 
gal3-/-OVA特異的T細胞を移植されたマウスはOVA感作した皮膚部位において好酸球浸潤の有意な低下を示す

次に、我々はこの新しいADモデルで皮膚の細胞浸潤を定量した。1週間の感作後に被移植マウスでdense dermal infiltrationを観察した(図6A)。注目すべきことに、gal3-/-細胞を移植されたマウスでは好酸球浸潤の有意な低下が見られた。単核細胞浸潤ではgal3-/-とgal3+/+細胞被移植マウスで有意差は見られなかった(図6B)。精製CD4+T細胞(90%以上純化)を移植すると、ほぼ同じ結果が得られた(図6C)。gal3+/+とgal3-/- CD4+T細胞を移植されたマウスにおいて、反応の違いが細胞の異なる移動によるものかどうかを確かめるため、carboxyl fluorescein succinimidyl esterで細胞を標識し、野生型マウスに移植して検討した。7日後にリンパ節におけるgal3+/+とgal3-/- CD4+T細胞の数を測定した。その結果、両者に有意差は認められなかった(データ非表示)。

 
gal3-/-OVA特異的T細胞を移植したマウスはTh2反応の著明な低下とTh1反応の増強を示す

それから、我々は被移植マウスを1週間感作し、血清IgE濃度を測定した。OVAの1週間経皮的曝露後には血清IgE濃度は上昇しないことが知られている。19  しかし、我々のenriched T細胞を移植するADモデルでは、gal3+/+細胞を移植したマウスで1週間感作後に有意な総IgE濃度の上昇が認められた。対照的に、gal3-/-細胞を移植したマウスでは血清IgE濃度は上昇しなかった。その血清IgE濃度はgal3+/+細胞を移植されたマウスより有意に低かった(図7A)。さらにgal3-/-細胞を移植されたマウスは、OVA特異的IgG1濃度は有意に低く、IgG2a濃度は有意に高かった(データ非表示)。このようにgal3-/-細胞を移植したマウスは、IgG2a /IgG1比が有意に高いことが示された(図7B)。さらに、脾臓細胞と流入領域(腋窩)リンパ節細胞のサイトカイン産生をOVA抗原刺激して調べた(in vitro)。gal3-/-T細胞を移植されたマウスの細胞ではIL-4とIL-5の低下とIFN-γの増加を認めた(表1)。精製CD4+T細胞を移植されたマウスでもほぼ同様の結果が得られた(表1)。
一まとめ考えると、これらの結果は、樹状細胞に加えてT細胞でもガレクチン-3欠損が経皮的に導入した抗原蛋白に対してTh1極性反応の発現に寄与していることを示唆している。

  

今日も簡単な解説を付け加えたい。
主に感染症に関わるTh1(ヘルパーT細胞Ⅰ型)と、アレルギーに関わるTh2(ヘルパーT細胞Ⅱ型)は、それぞれが亢進・抑制をし合っている関係だといわれておる。
そして、今回の実験において、ガレクチン―3の受容体を持つマウスにおいては、ThⅠ型の免疫を亢進させており、結果的に、アレルギーの免疫反応を示すTh2型の働きを抑制できているということにつながっておる、ということじゃろう。
ガレクチン―3の受容体が少ないとアレルギーの免疫反応が抑制される、ということじゃ。
そして、このガレクチン―3が多いか少ないかは、IL-4が関わっておる、ということじゃ。

明日は、「議論」の部分を掲載したい。

 
おまけ★★★★博士のつぶやき

ここで出てくるIL-4を増強させる要因の一つには、ステロイド剤が関わっていることが分かっておる。

IgEを増強させる要因に関わっておるということじゃな。

この部分が、長期のステロイド剤使用で影響がみられる人は慎重な対応が必要になる可能性がある、というところじゃ。