ステロイド被害の救済制度

東です。

 

 

 

 

 

 

 
さて、ステロイド剤の長期連用による副作用やリバウンド症状に悩むアトピー性皮膚炎の方は、多くいらっしゃいますが、医薬品の副作用などに関する国の健康被害救済制度があるのを知っていますか?

今日は、先月の新聞記事を紹介します。

 

●<医薬品副作用被害救済制度>医師の認知36% 被害者放置の恐れ
http://health.goo.ne.jp/news/20091006dde041040002000c.html
(2009年10月6日 毎日新聞)

 

医薬品の副作用などに関する国の健康被害救済制度について、運営主体の独立行政法人・医薬品医療機器総合機構(PMDA)が認知度を初めて調査したところ、制度を「知っている」と答えた医療従事者が37%にとどまった。約半数は、書類を作るのが面倒などの理由で、被害者に申請を勧めようと考えていないことも判明。医療者側の認識や説明の不足で、救済されるはずの被害が放置されている可能性が浮かんだ。【清水健二】

健康被害救済制度は、適切に薬を使用したのに入院以上の副作用が出た場合、製薬会社や医療機関に過失がなくても、製薬会社の拠出金から一定額(死亡一時金の場合は約713万円)が支払われる仕組み。80年にスタートし、04年には輸血に伴う感染症なども対象に加わった。08年度には690人の被害に計約18億円が給付された。

PMDAは7~8月、インターネットで一般国民3119人、医療従事者(医師、薬剤師、看護師ら)3438人に制度の認識を調査。「知っている」とした医療従事者は37%で、43%は「名前は聞いたことがある」にとどまり、20%は「知らない」と答えた。薬剤師の7割近くが制度を知っていた半面、医師は36%、看護師は12%しか知らなかった。制度の運営主体も41%が厚生労働省だと誤認していた。

給付を受けるには、診断書作成など医師の協力が必要だが「制度利用を患者に勧めたい」とした医療従事者は半数以下の49%。勧めたくない理由は▽書類作成が複雑・面倒▽時間を取られる▽不支給になると患者から責任を問われる――などが多かった。一般国民は84%が「副作用被害に遭ったら利用したい」と答えていた。

PMDAは「医師や看護師の教育課程に救済制度が入っていないことが、医療従事者に十分に浸透していない原因ではないか」とみている。

全国薬害被害者団体連絡協議会世話人で、PMDA救済業務委員の栗原敦さんは「患者が申請するかどうかは、医療機関の対応に左右される。医療機関は多忙な医師に任せず、薬剤師らも活用して組織的に対応してほしい」と指摘している。

Rescued ipod

 

記事にあるように、国の健康被害救済制度とは、独立行政法人・医薬品医療機器総合機構(PMDA)が実施している制度で、適切に薬を使用したのに、入院以上の副作用が出た場合、製薬会社や医療機関に過失がなくても、製薬会社の拠出金から一定額が支払われる仕組みです。

ただ、この制度を利用すべき患者は、制度の存在すら認識していないのが現状で、さらに、制度の利用を患者に勧めるべき医師そのものも、制度を認知しているのは36%しかいません。

その上、驚いたことに、副作用の「被害」に遭った患者に、この制度の利用を勧めたいとした医療従事者は49%以下しかおらず、その理由として、「不支給になると患者から責任を問われる」は、医療過失の訴訟に悩む医師も多くなってきている現状から、まだ心情的に理解できる部分もありますが、「書類作成が複雑・面倒」「時間を取られる」という理由は、患者側から見れば、心外としかいいようがないでしょう。

The Brood

今のところ、残念ながら、このPMDAの機関において、アトピー性皮膚炎に対するステロイド剤やプロトピック軟膏の使用によるリバウンドや感染症での入院等の費用の申請があった例はないようです。
また、リバウンド症状を、それら薬剤の副作用と認定してもらえるかどうかは、リバウンドそのものをステロイド剤の副作用ではなくアトピー性皮膚炎の悪化と決めつけ、治療に用いたステロイド剤の「安全性」を強く「訴えたい」医師の立場を考えると、全く不透明な状況だとは思います。

しかし、安易な(患者のリスクを前提に治療されていない、という点で)ステロイド剤の連用が患者にもたらす「不利益」を考えた場合に、こういった制度の利用を検討する場において、活発に議論されるようになれば、その議論自体は、今後のアトピー性皮膚炎患者の治療を広く考えていくうえで、決して無駄にはならないでしょう。

この制度に興味のある方は、下記のホームページをご覧ください。

●健康被害救済業務(医薬品医療機器総合機構ホームページ)

http://www.pmda.go.jp/operations/higaikyusai.html

 
おまけ★★★★西のつぶやき

この制度の「良いところ」は、「適切に治療しても」という部分だろう。
つまり、制度を利用すること=医師の治療に過誤があった、ということにはならないことを明記しているのだ。
このように、制度を患者側が利用した際に、医師が不利益を被らないような配慮もされている制度なので、患者側の要望があった場合には、ぜひ医師たちは「患者側の立場」に立って、考えていって欲しいと思う。