【Q&A】症状を緩和させる必要性(3)

昨日までで、風邪の場合の例をとって、解熱剤とは熱を下げる必要性が生じた場合には有効じゃが、風邪そのものを治す治療としてはふさわしくないことを述べた。

 

 

 

 

 

 

 

今日は、同じくアトピー性皮膚炎の場合を見ていきたいと思う。

おそらく、風邪の場合の例を読めば、おおよそのことはおわかりいただいたと思うのじゃが、「一時的に症状を緩和させる治療」、つまりステロイド剤で症状を抑える治療も、風邪の場合の熱を一時的に下げる解熱剤の治療と同じく、絶対に必要な治療法ではない、ということが結論じゃ。

急激に悪化した状態を、ステロイド剤で一時的に症状を抑えた場合に得られるメリットと何か?

痒みや炎症が一時的に抑えられるのと同時に、その急激に悪化した状態により生じた、生活面における支障が解消されるということにある。

生活面の支障が解消されれば、夜の睡眠がとりやすくなる、気持的に楽になる、体調が良くなるなど、「体」にとってプラスになる部分も多いじゃろう。
このように書くと、ステロイド剤で、急激に悪化状態を一時的に抑えることは意義があるように感じかもしれんが、風邪の場合と同じく、いくつかのデメリットも抱えることになる。

 

1.症状を一時的に良くしても、身体は「炎症→痒み、というのを出したがっている」状況が解消されたわけではなく、一時的な使用から慢性的な使用へと移行しやすい

2.急激に悪化した原因そのものが、それまで断続して使用してきたステロイド剤にあることが多く、炎症は抑えられても、併発している感染症は悪化させてしまう

3.症状が良くなることで、本来、変えなければいけない生活面を変えることに目がいかなくなる、つまりアトピー性皮膚炎そのものを治してくための行動が制限されてしまう

 

などのデメリットが、問題となる。
もちろん、本当の意味でアトピー性皮膚炎に「罹ったばかり」の状態であれば、一時的に症状を抑えている間に、体がアトピー性皮膚炎を生じさせることになった生活内の原因や生活環境面、あるいは身体が抱える原因が自然解消され、事実上、アトピー性皮膚炎が治った状態になることもある。
いわゆる、軽症のアトピー性皮膚炎じゃな。

ところが、こういった場合、医師の説明と患者が抱くイメージは、「ステロイド剤でアトピー性皮膚炎が治った」ということになるため、「勘違い」が生じるんじゃ。
当然、睡眠不足が原因でアトピー性皮膚炎が現われている人の場合、その睡眠不足の原因が痒みからきているときには、ステロイド剤で痒みを抑える→睡眠がとれるようになる→睡眠不足が解消される、という経路をたどることでアトピー性皮膚炎が良くなった状態に陥ることもあるじゃろうから、一概に「勘違い」とは言えん部分もあるのは確かじゃ。
じゃが、仮に睡眠不足でアトピー性皮膚炎が生じている場合、それは「急性」として現れるものではない。
つまり、「痒みが生じる→睡眠がとれない」という状況の場合、その元の原因は、痒みで眠れないことにあるのではなく、他の原因で痒みが生じた結果、睡眠がとれなくなった、というだけということじゃ。
他の原因がどこにあるのか、ケースバイケースじゃが、ステロイド剤を一時的に使用し、症状を抑えた段階で、その原因が自然解消された人は治癒状態に陥るし、自然解消できなかった人は、ステロイド剤への依存が始まることになる。
これが、今のアトピー性皮膚炎の初期治療における現状じゃ。

この初期症状における自然解消した例を、医師も患者も、ステロイド剤でアトピー性皮膚炎が治ったと勘違いすることで、今のアトピー性皮膚炎治療の歪みが生じてきたと言っても過言ではないじゃろう。

では、その一時的に抑える治療のどこが問題なのか?
続きは明日じゃ。

 
おまけ★★★★博士のつぶやき

アトピー性皮膚炎でも、症状をどうしても抑える必要がある場合、あるいは、症状をどうしても抑えたい場合、というのはあるじゃろう。
そういった場合に、ステロイド剤などの薬剤で抑えることは有効だといえる。
じゃが、症状を抑える、というメリットの影に、何らかのデメリットもつきまとっておることを忘れてはならん。
できれば、必要に応じて処方する医師は、その「必要」に応じて使用した結果、どのようなデメリットが生じる恐れがあるのかを、患者に正しく伝えて欲しいものじゃ。