【Q&A】症状を緩和させる必要性(1)

今日は、先日から続いて書いておるアトピー治療のガイドラインについての続きを書く前に、20日の大田くんのブログのコメントで来ていた質問にお答えしたいと思う。

 

 

 

 

 

●まゆちんさんのご質問(8/20のコメントから)

毎日ブログを楽しみに読んでいます。いつも勉強になることばかりでとてもありがたく思っています。
その中でいつも私のなかで一つだけ疑問に思うことがあります。

今日のブログもそうなのですが、よく、風邪に例えて教えてくださいますよね。症状を抑える=治すでないことはよくわかるのですが…。
風邪をひいた時、結局は自分の体が治すと思うのですが、あまりに高い熱でご飯もたべられなかったり、寝られなかった時は、解熱剤を使って体を休めて体力を上げることにしています。
その考えでいくと、ステロイドもあまりにひどくて寝られなかった時は使う方が早く回復するということになるのですが、ステロイドにおいては感染症や内分泌の関係もあったり、免疫を上げて治すのに、逆に抑えるようになったりしてよくなかったりもしますよね…。
なので私はかたくなに使わないようにしています。
でもお医者さんはよく、あまりに酷い時は症状を一度よくして…といわれますよね…。

この場合解熱剤で体力を一度上げて風邪を治すのと同じ考えだと思うのですが…。どう先生に説明してステロイドではない方向でお願いしたらいいのか、私も頭がこんがらがってしまって…。
たぶん私が無知だからこんな疑問が出てくるのだと思います。何かアドバイスください!

まゆちんさん、こんにちは。
記事の関係で、ご質問への回答が遅くなって申し訳なかったの。
また、まゆちんさんが「無知」ということは決してないから安心して欲しい。
むしろ、風邪に対して処方される解熱剤の「役割」をしっかり理解しておるし、ステロイド剤に関する部分も、誤った認識はしておらんしの。

さて、ご質問いただいた件じゃが「ステロイド剤で症状を一時的に良くすることは必要なのか?」ということで良いかの?
それについて、今回は書いてみたいと思う。

まず、風邪で解熱剤を使うことで、辛さや痛みなどを緩和させ、全身の状態を一時的に良くすることは、まゆちんさんがいうように、体調管理、という面から見れば、意義はある。
同じように、アトピー性皮膚炎の場合、著しく症状が悪化した場合などに、ステロイド剤で症状を抑えることも、それは一つの有効な「治療」と言えよう。
特に「QOL(生活の質)」を考えた場合、著しい症状の悪化が伴わなくとも、仕事、学校、あるいは結婚や修学旅行などの特別なイベントで使用することも、もちろん「有り」じゃ。

では、どこが問題なのか?
まず、アトピー性皮膚炎の前に、良く例に挙げる「風邪」で考えてみたい。

1.風邪と解熱剤

まゆちんさが書いたように、高熱が出た場合、倦怠感がひどくなり、食欲がなくなる、また関節部位など体の局所に生じた炎症で痛みが出るなど、全身症状は、「良くない状態」と言えよう。
無論、風邪の細菌やインフルエンザのウィルスが体内で最も活動しやすい環境と言える深部温度で(体内の温度)37℃前後から、40℃前後に身体に熱を持たせることで、それらの細菌やウィルスの活動の活動を抑えようとする目的が、「熱」にはあり、身体が持つ免疫機能と同じく、「外敵に対する防衛機能」という役割も担っておる。
じゃが、全身症状が悪化すればバイタルサイン(生命維持の指標)も、一時的に悪化した状態に陥ることもあるので、「熱」とはもろ刃の要素を持っておると言えよう。

したがって、高熱が続いた場合、全身症状を安定させるために、解熱剤を使うことは、症状に対して治療を行う「対症療法」の考え方を持つ、西洋医学の場合は、「正しい」治療法と言えるじゃろう。

じゃが、解熱剤を使った場合の問題点もあることをご存じじゃろうか?

まず、熱を下げる=ウィルスや細菌が活動しやすい体内環境になる、ということでもあるので、それら感染症の状態を悪化させる危険性がある。
解熱剤を用いて熱を下げても、状態が悪いと、解熱剤の効果が切れれば、再び熱が上がってくるじゃろう?
これは、「体が熱を上げたい状況」のためじゃ。
もっといえば、体が「熱を必要としている」状況ともいえるじゃろう。

解熱剤の歴史は、1829年に柳の樹皮に解熱効果があると知られていたのじゃが、その成分がサリシンと分かったところから始まっておる。
そして、1875年に、サリチル酸ナトリウムが誕生。
その後、ピリン系など多くの発見・開発を経て1893年に毒性が少ないアセトアミノフェンが登場したのじゃ。
そして、その6年後に、有名なアスピリンが作られる。
こうして、熱に対する「対策」は行えるようになったのじゃが、いくつか弊害も出てくるようになった。

まず、解熱剤を使用することの大きな弊害の一つは、インフルエンザなどに時々見受けられる「インフルエンザ脳症」の問題じゃ。
今、流行の兆しが再び見え始めている新型インフルエンザでも、小児がインフルエンザ脳症を発症し、重体に陥っているという報道がいくつかあったのを覚えておるじゃろうか?

厚生労働省の研究班の調査では、ジクロフェナクやメフェナム酸などの解熱剤を使用すると、使用しない例と比較して、インフルエンザ脳症で死亡するリスクが3~14倍高まるという報告が出されておる。

また、古くはスペイン風邪が流行した際に、解熱剤のアスピリンが、インフルエンザの治療として推奨されたのじゃが、このアスピリンを使用することで、死亡率が高まることが確認されておる。
アスピリンを用いた大学病院では、294人中15人が死亡したのじゃが、アスピリンを不使用の病院では、575人中、死亡したのは1人じゃった。
また、軍隊では、アスピリンなしの場合、死亡率は3%未満、アスピリン使用の場合の死亡率は20%、という報告もなされておる。

アスピリンは、その後、インフルエンザ脳症やライ症候群による死亡の因果関係が確率されたのじゃが、このように、解熱剤を使用することは、相応のリスクも生じておる、ということじゃ。

そして、解熱剤で熱を下げた場合の、もう一つの問題点は、「勘違い」にある。
何が勘違いなのか?
長くなったので、続きは明日じゃ。

 

おまけ★★★★博士のつぶやき

今日と明日の二日間は、直接、アトピー性皮膚炎の話題とは違う内容じゃが、今は、新型インフルエンザも話題となっておるようじゃから、参考程度で、読んでみて欲しいと思う。
新型インフルエンザも、ワクチンの輸入などのニュースが流れておるが、一般の人は、あのニュースをどのように捉えておるのじゃろうか?
今回のワクチンが新型インフルエンザにどれくらい有効なのか、という前に、「ワクチンを接種した場合と摂取しなかった場合に何が最大限、異なるのか?(摂取した場合としなかった場合の、それぞれの感染率、死亡率、重症化率、重度の副作用の発現率など)」という情報が出ておらんのが残念じゃ。