アトピー治療のガイドライン(3)

今日は昨日の続きじゃ。
薬物療法の2番目の「炎症に対する外用療法」について見ていきたい。

 

 

 

 

 

 

この項目は長いので、数回に分けて解説したいと思う。

 
(日本医事新報 NO.4447(2009年7月18日)より)
2.薬物療法

(2)炎症に対する外用療法

現時点において、アトピー性皮膚炎の炎症を十分に鎮静しうる薬剤で、その有効性と安全性が科学的に立証されている薬剤は、ステロイド外用薬とタクロリムス軟膏である。これらの外用薬をいかに選択し組み合わせて使用するかが治療の基本である。

1)ステロイド外用薬

ステロイド外用薬のランクおよび皮疹の重症度に合わせた選択の仕方を、表1・2に示した。
(表は省略)
軟膏、クリーム、ローション、テープ剤などの剤型の選択は、病変の性状、部位などを考慮して選択する。外用回数は1日2回(朝、夕:入浴後)を原則とする。ただし、ステロイド外用薬のランクを下げる、あるいはステロイドを含まない外用薬に切り替える際には、1日1回あるいは隔日など間欠投与を行いながら、再燃のないことを確認する必要がある。
外用量については、ベリーストロングクラスのステロイド外用薬の長期使用試験結果より、通常の成人患者では十分量である1日5g~10g程度の初期外用量で開始し、症状に合わせて漸減する使用法であれば、3ヶ月間使用しても一過性で可逆性の副腎機能抑制は生じうるものの、不可逆性の全身的副作用は生じない。3か月以上にわたって1日5g~10g程度のステロイド外用薬を連日継続して使用することはきわめて例外的であるが、そのような例では全身影響に対する十分な検査を定期的に行う必要があり、個々の患者でステロイド外用薬の減量を可能ならなしめるような適切な対応が検討されるべきである。

 

今日は、まず「薬物療法」の項目の中の「ステロイド外用薬」の前半部分を見てみよう。
ここまで読んで、読者はどのように捉えたじゃろうか?

 

・ステロイド剤は、アトピー性皮膚炎に有効で、その安全性も科学的に立証されているから安心な薬
・ステロイド剤とタクロリムス軟膏を、上手に使い分けるのが治療の基本
・ステロイド剤の使用を中断する際には、少しずつ減らしながら症状が悪化しないかを確認する
・ステロイド剤の使用量は、長期使用試験結果からも全身的な副作用は生じないから安全
・ステロイド剤を使用して全身に副作用が生じるような使い方は、例外的な使用法の場合のみ

 

このように捉えたのではないかの。
おそらく、ステロイド剤は医師の指示に従って使用すれば、科学的にも安全性が確立されており、副作用の心配はいらない、と思う人もおるじゃろう。

じゃが、ここでは大きな落とし穴がある。
というか、読者が「誤解」する内容になっておると言った方が良いかもしれん。

まず、この文章中ででている「科学的に安全性が立証されている」というのは、現状、アトピー性皮膚炎の人が使用して問題となっている、「ステロイド剤による免疫抑制作用により感染症が生じやすくなる」という部分の安全性ではないんじゃ。
単に、薬剤として通常行われておる、人体への甚大な副作用の有無についての安全性に過ぎん。
また、ここで言われておるステロイド剤の「長期使用試験」とは、一般の人のイメージでは、何年もにわたり行われた、と感じるであろう。
当然、使用期間が10年以上及ぶ人もいるのじゃから、当然じゃ。
じゃが、ここでいう「長期」とは「3ヶ月間」に過ぎん。
3か月使用したデータを元に、1年、2年、場合によっては10年以上使っても安全だというのは、いかがなものじゃろうか?
しかも、使用している実態として、それら、数年以上に及ぶ使用者に、何らかの影響が全く見られないのなら話は別じゃが、実際には、副作用やリバウンド症状をはじめ、長期連用者には、さまざまな副作用が見られておる。

医者は、EBM(エビデンスに基づく医療)が重要であることを良く述べる。
民間療法を批難する際も、EBMがないことを挙げておる。
じゃが、医者がアトピー性皮膚炎治療の根幹とするEBMは、「医者が今の治療を正当化するために解釈したEBM」でしかない。
特に、「中断する際には漸減しながら様子を見る」というのは、そのようなエビデンスはない。
逆に、漸減しながらでは、ステロイド依存からは抜けれない、というエビデンスがあるぐらいじゃ。
(詳しくは、明日、述べたい)
じゃが、実態は、漸減した使用でステロイド剤は、リバウンドを経ることなく中断することが可能、というように患者には伝わってしまう。
もちろん、使用期間の短い患者ならば、そのような方法でリバウンドを経ることなく抜けることも可能かもしれん。
しかし、10年以上長期連用した患者に、それが当てはまるのか、といえば、多くのケースで「否」ということになろう。
この大元の原因も、3か月の使用で「長期使用」が安全と位置付けておるところにあるように感じる。

続きは、明日じゃ。

 
おまけ★★★★西のつぶやき

最初に、ステロイド剤とタクロリムス軟膏(プロトピック)を上手に使い分けることが、治療の基本と書かれている。
ここでいう「治療」とは、アトピー性皮膚炎を治す治療ではなく、博士が一昨日に書いたように「症状をコントロールする」ことにあることを、読者の方は気付いただろうか?
確かに、アトピー性皮膚炎の病態は、皮膚に現れる。
しかし、「症状」の治療が、そのまま「病気」の治療につながるとは限らず、また、症状を治療する際に現れるマイナスの影響(副作用など)が、症状そのものに与える悪影響も考える必要がある。
「病気の治療」と「症状の治療」が意味するところを、医師は十二分に分かっているはずなのに、それが誤った意味合いで行われておることが残念だ。