アトピー治療のガイドライン(1)

先日、日本医事新報の記事で「アトピー性皮膚炎治療の考え方」という記事を読んだんじゃ。

 

 

 

 

 

 

 

内容は、日本皮膚科学会が提唱している「アトピー性皮膚炎治療のガイドライン」を元に、アトピー性皮膚炎の治療を、皮膚科医がどのように取り組んでいるのかについて書かれておった。

昨日の大田くんのブログにあった、医師の治療が何を目指して行われているのが、ここからは読み取れるように感じたので、今の皮膚科医が指標としている治療の考え方について、今日から、何回かに分けて考えていきたいと思う。

今日はまず「治療の目標」という部分について考えていきたい。

 
アトピー性皮膚炎治療の考え方
(日本医事新報 NO.4447(2009年7月18日)より)

【要旨】
アトピー性皮膚炎の治療は、「1 増悪因子の検索と除去」「2 スキンケア」「3 薬物療法」の3つの柱からなる。外用療法では、その使用法や使用量について、より具体的で分かりやすい説明を行うことが治療のコンプライアンスを高める上で重要である。

【はじめに】

(省略)

1.治療の目標

治療の目標は患者を、次のような状態に到達させることにある。

・症状はない、あるいはあっても軽微であり、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない
・軽微ないし軽度の症状は持続するも、急性に悪化することは稀であり、悪化しても遷延することはない。

 

昨日の大田くんのブログでは、主治医が「アトピーはステロイド剤で治る」という説明を行っておったようじゃが、皮膚科学会が掲げるアトピー性皮膚炎の治療の目標としては、「治る」という治療の目標を立てておるのではなく、「コントロールする」という治療の目標を立てておることが分かるじゃろう。

通常の疾病の治療において、「治療の目標」とは、その疾病が治ること、つまり「完治」というところに置かれるのが普通じゃ。
もちろん、アトピー性皮膚炎の場合、その原因が日常生活に潜んでいることから考えると、「完治」というより「寛解」を目標にする方が自然とは言える。

※「寛解」とは、症状が現われない状況のこと。アトピー性皮膚炎でいえば痒みや炎症がない状態

じゃが、「薬物療法もあまり必要としない」「軽微ないし軽度の症状は持続するも」という表現を見て分かるように、症状を抑える治療は、継続あるいは断続して行う必要性を訴えておる。
つまり、アトピー性皮膚炎に対しては、「アトピー性皮膚炎を治す(あるいは寛解の状況を維持する)」ということよりも、「痒みという症状をコントロールする」というところに、治療の主眼が置かれておるのじゃ。

では、患者は何を望んでおるのか?

この治療の目標に掲げておるような、痒みと一生つきあいながら、薬物を使い続けて症状をコントロールしていくことを望んでおるのじゃろうか?

否、患者の希望は、病気と付き合っていくことではなく、病気を治すことにある。
もちろん、医師側も患者の希望は分かっておるから、昨日のブログにあったように、「アトピーは治る」という表現につながってくる。
しかし、実際の「治療の内容」を考えてみると、医師が行う治療は、アトピー性皮膚炎によって生じる「痒み」という症状を対象に行われており、アトピー性皮膚炎という病気そのものの治療は行われていない。
もちろん、今の医師が行う「症状に対する治療」は、皮膚科学会が掲げる今回の「治療の目標」という部分には合致しておる。
じゃが、実際の患者のニーズ(希望)に答えた治療ではなく、また患者側には治療の目標を「アトピー性皮膚炎が治る」と誤解させている状況でもある。
では、今の医師が行う治療は、なぜ、アトピー性皮膚炎を治す治療ではないのじゃろうか?
長くなるので、続きは明日、書きたいと思う。

 

おまけ★★★★博士のつぶやき

読者のみんなは、アトピー性皮膚炎の「治療の目的」は、どこにあると思っておるじゃろうか?
今の医師が行う治療の目的のように、症状をコントロールすることにあるのか、アトピー性皮膚炎そのものを「治す」あるいは「治癒した状況を維持する(寛解)」ところにあるのか?
今の医師の治療でアトピー性皮膚炎が治る、と言っておるのは、昨日の大田くんのブログにあった例でいえば、「解熱剤で風邪が治る」と言っておるのと同じじゃ。
もちろん、症状を抑えながら、自らが「アトピー性皮膚炎を治す」状況が生まれることはある。
そういった意味において、症状を抑える治療が間違っておるというわけではない。
じゃが、今の薬物療法が抱える問題点は、自らが「アトピー性皮膚炎を治す」という状況を阻害しておる部分もある。
詳しくは、明日以降で述べたい。