農薬を使った野菜が安全?(2)

昨日に引き続き、ブログを担当させてもらう西だ。

 

 

 

 

今日は昨日の記事の問題点について述べたいと思う。

 
昨日は、農薬を使わない虫が食べた野菜や果物は、虫に食べられないように野菜や果物が出す毒(アレルゲン濃度)が、農薬を使った野菜や果物よりも倍ぐらいに高くなり、農薬を使った野菜の方が、アレルギーには良い、というように紹介した記事が読めてしまうこと、だが、農薬がなかった昔には、アレルギーはほとんど存在せず、矛盾が生じていることについて述べた。

その「矛盾」の大元は、アレルゲン濃度が「200」ある食べ物が危険な食べ物ではなく、それは「普通の数値」であるということだ。
もし、アレルゲン濃度が「200」あると危険ならば、前述したように、無農薬栽培しかなかった昔の時代は、今以上にアレルギー疾患に悩まされていなければならない。
もっと現実的に考えれば、現在、無農薬栽培を行っている未開発の地域では、日本以上にアトピー性皮膚炎患者の割合が多くても不思議ではない、ということになる。
しかし、現実は、そんなことはないのだ。

もちろん、この記事の根本は「虫食い野菜が良くない」、つまり無農薬栽培で虫食いでない野菜が最もよい、ということが言えるのだろうが、実質的に病害虫の被害の大きさは、無農薬栽培が最も大きいことも証明している。

また、アレルゲンの濃度をを比較したのは、虫食いの野菜かどうかで比較したのではなく、農薬の使用の有無に合わせて比較している。
さらにコメントで「過剰に無農薬にこだわらない方がいいい。逆に無農薬で病害虫の被害を受けたものを食べるのはやめた方がいいですね」と書いているように、無農薬野菜よりも、農薬を適正使用した野菜の方が、アレルギーには良いと言っているわけだ。

この記事に、どのような意図があるのかは分からないが、事実から導き出された「誤った結果」への誘導には、腹立たしさを越えてあきれてものが言えないほどである。

では、どのような「誤った結果」に導こうとしているのかというと、ここまで読んでいただいた方にはおわかりのことだろう。

それは、「農薬を使った野菜は、農薬を使わない野菜よりも、アレルギーに良い」という「結果」に導いているのである。

だが、実際には、ここでいう「アレルゲンの濃度が200」という数値が、どれくらい「アレルギーに悪いか」という証明は全くなされていない。
前述したように、農薬を使用していない時代の方がアレルギーが少ない事実を鑑みても、客観的に見れば、仮にアレルギーに悪い数値の下限というのが存在するとしても、それは「200」ではないということだ。
簡単にいえば、農薬を使用した野菜にも「アレルゲン濃度」は100~150含まれ、それがアレルゲン濃度としては「安全」なのと同じく、農薬を使用しない野菜に含まれる200というアレルゲン濃度も「安全」ということだ。

実際に、その200という数値が「危険」、つまりアレルギー疾患を抱える人がその数値の野菜や果物を食べれば、いちようにアレルギーの症状が見られる、という臨床は得ていないし、記事にも「200アレルギー症状が見られる」ということはどこにも書かれていない。

にも関わらず、無農薬の野菜は農薬を使用した野菜よりも危険であるという結論を導き出しているのである。

そもそも、アレルゲン濃度が関わるのは、アトピー性皮膚炎の「病気が引き起こされる原因」ではなく、炎症(そこから引き起こされる痒み)というアトピー性皮膚炎の「症状が引き起こされる原因」についてだ。

さらに、アトピー性皮膚炎という病気の原因は、化学物質が影響していることは、昨今のさまざまな研究からも明らかである。

詳しくは、あとぴナビ情報Webの特集も参照して欲しい。

●化学物質過敏症とアトピー
http://www.atopinavi.com/navicontent/list?c1=health&c2=1&c3=11

このアトピー性皮膚炎の原因の一つともいえる「化学物質」には、もちろん農薬も含まれる。

化学物質が体内に蓄積することで影響を受けた、内分泌系、自律神経系の働きにより、免疫系の働きが異常をきたして、アトピー性皮膚炎などを発症する「素地」が作られていることを考えると、農薬の使用が、アトピー性皮膚炎増加の一因として当然ながら考えられる。

読者が、読んだ記事がどのように正しく、どのように間違っているのかを気づくことは、難しいことだ。
その分、記事を掲載する媒体側(今回の場合は新聞)は、その記事が正しい記事なのかを検証した上で、載せて欲しいものである。
特に、今回の内容は、農薬がアレルギーに関わりがあるとする先生に話を聞けば、どこに矛盾があるのかなどは、すぐに指摘を受けたであろう。

農薬を使った野菜や果物は、農薬を使わない野菜や果物と比べて、アレルギーの観点から見て、安全だという証明はなく、逆に、農薬とアレルギーが関係するというデータやエビデンスが存在することを、読者は知っておいて欲しいものだ。

 
おまけ★★★★西のつぶやき

今回は、農薬とアレルギーが関係ないとするこの記事の矛盾が、あまりに気になったのでブログで書かせていただいた。
なお、誤解して欲しくはないのだが、農薬が不必要ということではない。
日本の低い食糧自給率を支えているのは、間違いなく、「農薬」である。
もし、農薬の使用が全面的に禁止されたなら、収穫量なども激減するであろうし、現在、農業に関わる人たちの生活も、相当不安定なものになるであろう。
農薬を全面的に禁止することで、農業関連の産業が影響を受ければ、日本の経済全体も影響を受けるであろうから、全体的に見ると、その使用が不必要とは言えないところは確かにある。
だが、ことアレルギー、という観点から見れば、農薬はマイナスに働いても、プラスに働くことはないと言える。
社会としての問題にもなるので、難しいが、その矛盾した中で生活を営んでいかなければならないことは、ぜひ覚えておいて欲しい。