農薬を使った野菜が安全?(1)

月一、ブログを書かせてもらっている西だ。

 

 

 

 

 
今日は、先日読んでいた新聞(Nスポーツ新聞)に掲載されていた記事(?)を紹介したい。
(お名前の部分などはイニシャルに変更、その他、文意を変えない範囲で一部省略しています)

 
虫食い野菜は安全?
花粉症の人は要注意

近年特定の食べ物が原因の「食物アレルギー」の人が増え、社会問題になっている。口腔アレルギー症候群は、成人に発症が多くみられ、口腔粘膜で発症する。じんましんや呼吸困難を引き起こすこともあり、根本的な治療法もない。主に花粉症と関連しているといわれ、虫食い野菜などを食べるとさらに危険性が高まると専門家はいう。食物アレルギーの原因物質に詳しいK大農学部M准教授に話を聞いた。

大豆で抗原の変動解析

M氏は、2008年の日本農薬学会で「病害虫被害による農作物アレルゲンの増加と農薬防除による抑制」の研究結果を発表した。大豆を使って、農作物アレルゲン(抗原)の変動を解析したもの。
実験は無農薬の畑で栽培した大豆の中から、きれいなものと病害虫に感染したものをチューブに入れ破砕。タンパク質を抽出しアレルゲン濃度を測定した。
その結果、被害なしを「1」とすると、被害大のものは「2」に増加。適正に農薬を使ったものは少ないことがわかった。
アレルゲンはほとんどがタンパク質で、植物や果実、穀物が最初から持っている抗原。これらをPRたんぱく(抗菌タンパク質)といい、病虫害などに遭うとアレルゲン濃度(毒性)を高めて身を守る。花粉アレルゲン抗体がある人が食べると、拒否反応を起こすことが証明されている。
M氏は、2005年にもリンゴを使って同様の研究をしている。病害虫による被害の大きさは、完全無防除区(無農薬区域)、省略防除区(減農薬区域)、慣行防除区(通常使用区)の順。果実から測定したアレルゲン濃度は、慣行防除区が100で、省略防除は150、完全無防除は200。実験は3回実施し、いずれも同じ結果で、2005年の日本農芸化学会大会で発表した。
「過剰に無農薬にこだわらない方がいいい。逆に無農薬で病害虫の被害を受けたものを食べるのはやめた方がいいですね」と話す。

(中略)

これまでの食物アレルギーは乳幼児に多く、成長とともに大半は解消したが、最近のものは成人になってから発症し、根本的な治療法はないといわれる。

 

以上のような内容の記事だった。
この記事を読むと、ほとんどの人は、「農薬を使って虫が寄らない野菜や果実は、アレルゲンは少なく安全で、農薬を使わない虫が寄ってくる野菜や果実は、アレルゲンが多いから、アレルギーに人には危険な食べ物だ」「農薬を使わない方が、アレルギーには危険なこともあるんだ」という風に読み取ってしまうだろう。

大きな誤解である。

もし、無農薬栽培のものがアレルゲンが多く、アレルギーとして考えると危険であると仮定しよう。
ここに大きな矛盾があることに皆さんは気付いただろうか。

アレルギーの疾患は、ここ最近、急激に増加した疾患であることは周知の事実である。
仮に無農薬栽培のものがアレルゲンが多く、危険な食べ物だとしたら、農薬のなかった昔の時代は、今以上にアレルギーの疾患が問題視されていたはずである。

だが、実際には、江戸時代に今以上のアトピー性皮膚炎患者や、ぜんそく患者、鼻炎患者に悩まされていたという記録はどこにもない。

今より昔の方が、アレルギー疾患が多かったという証明は見たことがない。
逆に、昔よりも今の方が、アレルギー疾患が多いという証明は山のようにある。

つまり、「無農薬栽培の野菜しかなかった昔の方が、アレルギー疾患は少なく、農薬栽培の方が多くなった今の時代の方が、アレルギー疾患は多い」ということだ。
こんなことは、本来、いうまでもないことだろう。

では、この記事の数値はデタラメなのかというとそうではない。
この記事に書かれた数値は間違いなくエビデンスに基づいた本当の数値であろう。

では、この記事のどこが問題なのか?

それは、無農薬栽培した際のアレルゲン濃度が200ということは確かだが、その数値が「異常な数値」であるかのように書かれ、「誤った結果」に導こうとしているのが問題なのである。
その「誤った結果」への誘導が何なのかは、明日、述べたいと思う。

 
おまけ★★★★西のつぶやき

今回、紹介した記事(?)は、あるスポーツ新聞の社会面の記事の下にあったのだが、これは、新聞社が作成した記事として扱われたのではなく、別の囲み線が入った、いわゆる「記事広」と呼ばれる広告スペースに書かれたものと思われる。
一般の人は、この記事を見ると、新聞社が独自に取材して書いた記事のように思ってしまうので、注意が必要だろう。