皮膚は一つの臓器

東です。

 

 

 

 
先日、大阪の先生に、ステロイド剤のことでお話をお伺いしに行ってきました。
その取材の際に、先生から「皮膚は一つの臓器だ」という話がありました。

皮膚科学においても、皮膚は人間最大の臓器で、唯一、視認できる臓器であると、されているようです。
その他の臓器で考えてみると、一般に「五臓六腑」と言われる「五臓」とは、肝臓、心臓、脾臓、肺臓、腎臓を指します。
そして、例えば、肝臓の一部に異常が起きて、薬剤でその治療を行ったとします。
その場合、その薬剤の影響は、異常が起きている箇所だけに及ぶのではなく、肝臓全体に対して見られることになります。
これは、臓器全体で一つの活動を行っているため、その活動の中で生じた異常を治療しようとしても、その影響は部分ではなく、全体に及ぶためなのですが、実は、皮膚も同じことが言えるそうです。

どういうことかと言うと、仮に顔にアトピー性皮膚炎の症状が出て、顔にステロイド剤を塗布したとします。
ステロイド剤が持つ、抗炎症作用は、炎症が生じている塗布した顔面部において、その効果が目に見えて現われるわけですが、ステロイド剤の影響は、実は、その塗布した箇所だけではなく、皮膚全体に対しても伝搬することがある、ということです。

ステロイド剤の使用を中断した際に現れるリバウンド症状は、ステロイド剤を塗布した場所に限定して現れるわけではなく、塗布したことのない箇所にも、体液の流出、皮膚の黒ずみ、炎症が広がるなどの影響が見られることがあります。
これも、皮膚が一つの臓器ゆえに起こる現象とも言えるということでした。

もちろん、最も影響を受けるのは、直接塗布した箇所かもしれません。
しかし、顔の皮膚、体の皮膚、腕の皮膚、といった具合に、体の部位ごとに皮膚を考えていては、疾患としての影響や、治療を受けた際の影響(良い影響、悪い影響を合わせて)の現れ方を見誤る恐れがあります。

考えさせられる話でした。

 
おまけ★★★★大田のつぶやき

以前、あるアトピー性皮膚炎の方から相談を受けた際、こんな話があったのを覚えています。
それは、痒みがない状態のときに、いつも掻かない箇所を、わざと掻いていると、なぜか、全身が痒くなってくる、というものでした。
これは、痒み、つまり炎症を誘発させる化学伝達物質が、神経繊維を通して、広がっていくためでもあるのですが、その理由の一つは、皮膚全体が一つの臓器だから、ということなのでしょう。