グリチルリチン酸に注意!(上)

卒業シーズンを迎え、巷では春の装いが目につくようになってきたの。
この時期、強風に伴い、乾燥が一時的に強くなることもあるので、肌のコンディションには、十分に注意して欲しいものじゃ。

 

 

 

 

 

 

さて、今日は、2月6日の東君が書いたブログ「脱ステ後の注意点」の、コメント欄に書かれていた、読者の方からの質問にお答えしたいと思う。

 

◆脱ステ後の注意点(2月6日のブログ)
http://blog.atopinavi.com/2009/02/03/%e8%84%b1%e3%82%b9%e3%83%86%e5%be%8c%e3%81%ae%e6%b3%a8%e6%84%8f%e7%82%b9/

◆たまこさんからのご質問

私はアトピーではないのですが、質問させてください。
最近ネットで大ヒットしているクリームで、グリチルリチン酸がかなりはいっていると思われる製品(医薬部外品)を使ったら、劇的に効果が現れましたが(長年いろいろな化粧品を使っていますが、これほどの効果は初めてです。)、アトピーでもなく、ステロイド剤を常用していたこともない普通の肌の人(乾燥、肌荒れ、にきび程度)には、このようなクリームを長期使用しても副作用はないのでしょうか?
ハンドクリームとして売られているようですが、顔への効果も強く、いわゆる口コミで大変大勢の方が利用しているようです。
よろしければご回答お願いいたします。

 

まず、最初にグリチルリチン酸について説明しよう。

腎臓の上にある「副腎」という臓器から放出されるホルモンを、副腎皮質ホルモンという。
この副腎皮質ホルモンとは、単一のホルモンの名称ではない。
副腎から放出されるホルモンには「糖類代謝ホルモン」「塩類代謝ホルモン」「性ホルモン(主に男性ホルモン」の三つが、今のところ確認されておる。
アトピー性皮膚炎の方に使用される「ステロイド剤」とは、この副腎皮質ホルモンの中の「糖類代謝ホルモン(コルチゾール)」を化学的に合成した薬剤じゃ。

コルチゾールには、「生理作用」と「薬理作用」の大きな二つの働きがある。
「生理作用」には、文字通り、糖類などの代謝を助ける働きと、生体にかかるストレスに対応する働きがある。
副腎は、生体内では大変重要な臓器とされておるのじゃが、その理由の一つには、この「抗ストレス」がある。
人間が、肉体的、精神的な負荷(ストレス)に対応しているのは、生体内の反応で処理しておるのじゃ。
したがって、副腎を失うと、ストレスに対応ができなくなってしまい、生命にも関わるとされておる。

少し話がそれてしまったが、コルチゾールには、このような生理作用の他に薬理作用もある。
それが、強い「抗炎症作用」じゃ。

これは、コルチゾールが持つ免疫抑制作用によりもたらされるのじゃが、アトピー性皮膚炎に使われるステロイド剤は、このコルチゾールが持つ「抗炎症作用」を期待して、使われておるのじゃ。
ステロイド剤=痒み止め、というイメージを抱く人も多いのじゃが、ステロイド剤は、厳密にいえば「痒み止め」ではない。
ステロイド剤=抗炎症作用(免疫抑制作用)であって、炎症からもたらされる痒みには効果を及ぼすのじゃが、痒みは炎症からしか来ない、というわけではない。
そのため、炎症以外からもたらされる痒み(乾燥からくる痒みの神経線維が関わる痒みなど)に対しては、ステロイド剤は効かないんじゃ。

このように「糖類代謝ホルモン」は、その強い抗炎症作用により、ステロイド剤という薬剤に使われておるのじゃが、副腎から放出される「塩類代謝ホルモン」にも、「糖類代謝ホルモン」ほど強くはないが、抗炎症作用を有することが分かっておる。

そして、アトピー性皮膚炎に使われるステロイド剤が「糖類代謝ホルモン」と同じ構造をしているのと同じように、グリチルリチン酸は「塩類代謝ホルモン」と同じ構造をしておるのじゃ。
そのため、グリチルリチン酸にもステロイド剤と同じように、抗炎症作用=免疫抑制作用を有しているというわけじゃ。

では、グリチルリチン酸が配合されたクリームなどを使用しているとどうなるのじゃろうか?
長くなるので、続きは明日、書きたいと思う。

 

おまけ★★★★博士のつぶやき

今日のブログでは「ステロイド剤」という書き方をしている部分は、全て、アトピー性皮膚炎に対して使用されている副腎皮質ホルモン剤を指しておる。
人間のホルモンは、大きく分けると「ステロイドホルモン」と「ペプチドホルモン」、そして「アミノ酸誘導体ホルモン」の三つに分けられる。
この中のステロイドホルモンとは、「コレステロール基」を持ったホルモンを指しており、副腎以外でも、生殖腺で作られるホルモンも該当する。
ステロイド剤=副腎皮質ホルモン剤ではないことを知っておいて欲しい。
筋肉増強剤で「ステロイド剤」と呼ばれるものは、同じステロイド剤という総称で呼ばれていても、別物、ということじゃな。