ステロイド剤は安全な薬?

月一、ブログを担当している西だ。
今日は、ステロイド剤について、少し話をしたいと思う。

 

 

 

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EBMという言葉を知っているだろうか?
これは、臨床疫学研究データを元にして、その疾患を最も治癒に導くもっとも科学的根拠のある医療を行うための方法論で、その科学的根拠は「エビデンス」と呼ばれている。
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そして、そのデータをまとめたEBMデータ集というのがあるのだが、「アトピー性皮膚炎患者1000人の証言(安藤直子著/子どもの未来社刊)」によれば、アトピー性皮膚炎患者に対するステロイド剤の長期投与の臨床試験(長期使用の副作用を図る試験)は、海外の臨床試験を含めても数も少なく、試験の期間も短いそうだ。

そのデータ集を見ると、臨床試験は3~4週間が1件、18週が1件、20週が3件、25週が1件、6か月が1件、44週が1件載っているだけらしい。

ステロイド剤の長期連用による、副作用の問題が指摘されて久しいのだが、実際に、その根拠となるエビデンスは1年以上のものは存在しないというのだから驚きだ。

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さらに、この臨床試験の結果は、安全性が確認できたというものではない。
副作用が見られる例も、掲載されているのだ。

約10年前に、アトピー性皮膚炎に対するステロイド剤治療について、厚生省(現在の厚生労働省)の審査管理課に取材したことがある。

詳しくは「アトピーを治したいVol.2(日本ヴォーグ社刊)」に掲載されているが、いくつかその内容を要約してみたい。

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Q.アメリカでは、ステロイド剤の連続使用に期限を設けていますが、これについての見解をお聞かせください。
※FDA(日本の厚生労働省に当たる政府機関)では、原則として2週間までと定めていた(当時)

A.薬事法上で安全性が認められているものについては、医師が患者の症状などを見極めた上で処方しているものです。
薬の処方は、あくまでも主治医の判断によるものであって、当然、副作用の問題も考えた上でのはず。
また保険診療で1回に処方できる量が決まっているという問題もありますよね。
その患者さんが、次回はいつ来院するかなどによっても、1回に処方する量も変わってくるはずでしょう。
だから一概に、(薬の)連続使用期限を決められるものではないと思います。

 
Q.ステロイド剤の効能書には、「皮膚の疾患に対する治療薬」と記述され、「アトピー性皮膚炎の治療薬」であるとの記述はないが?

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A.確かに効能書には、アトピー性皮膚炎の治療薬とは明記されていないが、(医師の判断で)治療の選択肢の一つとしてステロイド剤があると考えています。 Nixon video

 
Q.アトピー性皮膚炎に対してステロイド剤が処方されている現状に対してどのように考えているのか?

Rio Bravo hd A.ステロイド剤も薬ですから、作用があれば副作用もあるわけです。ステロイドは細胞の基本に効くものなので、(薬を)やめたときのリバウンドもあるでしょう。
ただ主治医の判断で処方されているものですから、厚生省からは指導を行うというものではありません。
また主治医は患者の症状だけではなく、副作用などについても、全体のバランスで判断しているはずです。
もちろん副作用は、避けられるなら避けるという方針でしょう。

 
この取材は10年前に行ったものなので、細かい点は現状と異なる部分もあるかもしれない。
しかし、行政が認識している部分と、実際のアトピー性皮膚炎治療においてステロイド剤が処方されている現状の「ズレ」は、今も変わってはいないのではないだろうか?

もちろん、10年前よりは、医師もステロイド剤の「リスク」については考えるようにはなったはずだ。
しかし、実際、ステロイド剤の連用による副作用のダメージを受けた患者に聞くと、処方した医師が副作用の状況を常に監視した治療を受けていた、という認識は全くと言ってよいほどなかった。
実際、ステロイド剤の副作用を調べるための検査を、受けたことのある患者は聞いたことがない。

それでいて、多くの医師は、ステロイド剤の処方を続け、数年にわたり使い続け、その効果と副作用に対して疑問を抱いた患者に、その安全性について問われると、「ステロイド剤は、専門医師の指導のもと、使用すれば安全に使用できる薬剤だから」と答えることがあるのだ。

しかし、数年にわたり長期連用しても副作用が出ない、という根拠となるエビデンスは存在しないのだ。

今まで、何回か述べてきた思うが、ステロイド剤が、アトピー性皮膚炎の治療に対して不必要な薬剤だ、ということでは決してない。
しかし、常に治療の第一選択肢として存在することが正しい、ということでもないはずだ。
そして、治療の第一選択肢として使われた結果、どのような状況に患者が陥ったのか、それは実際に使用してきた患者が「証明」してきたことでもある。

 
おまけ★★★★西のつぶやき

医師は、「エビデンス」という言葉を、重視している。
これは過去の取材でも、感じたことだ。
もちろん、科学的根拠の裏付けがあるからこそ、同じ症例の患者に対して同じように治療を行えるわけだから当然ではある。
しかし、「ステロイド剤がアトピー性皮膚炎を治癒させる」というエビデンスが存在していないことに、多くの医師は目を向けていない。
「アトピー性皮膚炎の症状を緩和させる」というエビデンスは数多く存在しているが、アトピー性皮膚炎をステロイド剤が治癒させたというエビデンスは、実は存在していないのだ。
解熱剤を使えば、風邪を引いた際の熱は下げられるし、そのエビデンスはもちろんある。
しかし、解熱剤で風邪を治すというエビデンスは存在しないし、医師も、そのことはよく承知している。
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ところが、ことアトピー性皮膚炎に関しては、エビデンスに基づかない治療を、エビデンスに基づいた治療を心がける医師たちが優先しているという、矛盾があるのだ。

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アトピー性皮膚炎が増加の一途をたどっている今だからこそ、ステロイド剤の治療として、優先すべき治療は何なのか、医療を行う側、受ける側の双方が、情報を共有しながら考えるべきときに来ていると考える。