豆講座9・アトピー克服の条件(1)

前回までで、アトピーの発症要因、悪化要因について述べてきたのじゃが、これからは、アトピー克服の条件とは何か、について述べていきたいと思う。


その前に今日は、「病気と症状の違い」について書きたい。
アトピー克服の条件は、主に「生活」に関わることになるのじゃが、なぜ、そのような条件が必要なのかを理解するために、必要なことだからじゃ。

 

まず、「アトピー性皮膚炎という病気とは、どのような病気か?」と聞くと、ほとんどの人は「皮膚に痒みを生じる病気」と答える。
もちろん、これ自体は間違ってはおらん。
しかし、この答えは、同じように「風邪とはどのような病気か?」という問いに対して「熱が出て、鼻水や咳、倦怠感などを伴う病気」と答えるのと同じじゃ。

本来「風邪とはどのような病気か?」という問いに対しては「風邪のウィルスに感染した病気」という方が正しい捉え方じゃ。
熱や鼻水、咳などは、風邪によってもたらせられた体の「症状」を指しておる。

意外と、この病気と症状の違いを理解していない人は多い。

最初に書いた「皮膚に痒みが生じる」という部分は、アトピー性皮膚炎の「病気」を指しておるのではなく「症状」を指しているんじゃ。

なぜ、この「病気」と「症状」の違いが大切になってくるのかと言うと、アトピー克服の条件とは、文字通り「アトピー性皮膚炎を克服するための条件」なのじゃから、「症状」の対策を立てるのではなく、「病気」の対策を立てなければならないからじゃ。

もちろん、「症状」に対する対策を行う必要がない、ということではない。
しかし、「症状」の対策だけではダメだ、ということなんじゃ。

今の病院の治療はどうだろうか?
そう、薬剤で痒みを抑えることを主眼においた治療を行っておる。
これは、「症状」の対策にはなっても、アトピー性皮膚炎という「病気」の対策にはなっておらん。
本来なら、仮に薬剤で「症状」の対策を行うのであれば、同時に何らかの「病気」に対する対策も行わなければならんのじゃ。
「症状」の対策は行えても「病気」に対する対策が行えていないからこそ、病院の薬剤治療で難治化する患者が増えてきているといえよう。

風邪を引いて熱があるとき、解熱剤で熱を下げても、風邪が治るわけではない。
腰痛で痛みがあるとき、鎮痛剤で痛みをとっても腰痛そのものが治るわけではない。
同じように、アトピー性皮膚炎で痒みを薬剤で抑えても、アトピー性皮膚炎そのものは治っているわけではないということじゃ。

では、アトピー性皮膚炎とはどのような「病気」じゃろうか?

簡単に言うと「IgEが媒介する免疫疾患である」ということと「皮膚が乾燥しやすい状況にある皮膚疾患である」という二つの要因が混じり合った「病気」といえよう。

したがって、「アトピー克服の条件」とは、この二つの要因を取り除くための「条件」といえるのじゃ。

次回は、まず「IgEが媒介する免疫疾患」という要因を克服するために必要な条件から見ていきたいと思う。

 

おまけ★★★★博士のつぶやき

「IgEが媒介する免疫疾患」というと、アレルギーに詳しい人ならばⅠ型のアレルギーを思い浮かべるかもしれん。
じゃが、アトピー性皮膚炎の場合は、Ⅰ型のアレルギー(即時型反応)を示す人よりも、そうでない人の方が多い。
これは、IgEで免疫反応を起こす受容体には、大きく分けて3つの種類が関わっておるからじゃ。
少し前のブログでも簡単に書いたのじゃが、Ⅰ型のアレルギー反応は、その3つのIgEの受容体の反応の一つに過ぎず、アトピー性皮膚炎の場合、その他の2つの受容体の方が大きく関わっとる。
特に、IgE結合蛋白(Calection-3)という受容体は、IgEによる免疫反応がTリンパ球を介さずにIgEを産生するという特徴があり、これが、アトピー性皮膚炎の免疫炎症反応を絶えず起こさせておる悪循環の一つになっておる。
少し難しい話じゃから、いずれ詳しく述べてみたいと思う。