ステロイド剤治療を守りたいのは?

あとぴナビ記者の西だ。


先日、新潟大学の安保徹教授を取材させていただいた。
安保先生は、免疫の研究をされている世界的な医学者だが、今回は冷えと入浴についていろいろお聞きした。
その記事は来年、あとぴナビに掲載される予定なので、興味のある人はぜひ読んで欲しいと思う。

その取材が終わってから、雑談している中で、出た話を今日は書きたいと思う。

安保先生は、かなり以前の皮膚科学会のシンポジウムで、「ステロイド剤の副作用」について基調講演をされた。
当時、アトピー性皮膚炎治療にステロイド剤を使用することは、当たり前とされていた時期だったが、副作用の問題が少しずつ話題にもなっていた時期だった。
当時の皮膚科学会の会長からは、講演後、「大変、興味深い講演で、聴衆の先生方も普段、あまり気づいていないことだったので勉強になりました。ありがとうございました」とお礼を言われたそうだ。
ところが、当時、皮膚科学会のアトピー性皮膚炎治療に携わる教授たちが、ステロイド剤に対する患者の不安を一掃すべく「アトピー性皮膚炎治療のガイドライン」を作成しているところだったため、標準治療として掲げようとしていた「ステロイド剤の使用」に対して問題点を指摘されたその講演自体に対して反発をし、その後、有形無形の圧力が安保先生にあったそうだ。

実は、同じような経験はあとぴナビにもある。

数年前に、自宅温泉湯治を行う日本オムバスではイギリスのオックスフォード大学とアトピー性皮膚炎に関する共同研究を行っていた。
そして、偶然にも、ちょうど日本アレルギー学会のシンポジウムで、その研究を行っていたH教授がメインスピーカーとしてゲストで招かれた。
学会のレセプションが行われる前日には、九州HRCに宿泊され、日本オムバスとの共同研究の結果について、医学的な裏づけに基づいた発表を行うとの報告も受けていた。
そしてH教授は、実際に、学会の前日に行われたレセプションの場で、「明日の講演では、日本オムバスとのアトピー性皮膚炎に関する有意義な研究成果を発表しますので、お楽しみに」ということを話されたのだ。

ところが、ちょうどその頃は、日本皮膚科学会が、アトピー性皮膚炎に対するステロイド剤の治療を定着させようと躍起になっていた頃で、「アトピー性皮膚炎民間療法不適切委員会」なるものを金沢大学に設置、ステロイド剤の治療に対する警鐘を行う民間療法を一掃しようとしていたのだ。

そんな折に、アレルギーでは世界的な権威であるH教授が、日本アレルギー学会の講演で、アトピー性皮膚炎に対する民間療法との研究成果を発表されたのでは、民間療法のバッシングを行っていた皮膚科学会の立場がないということで、某教授の仲立ちにより、H教授にその共同研究の成果を発表しないように依頼をしたのだ。

実際、レセプションの場で、H教授が日本オムバスとの共同研究の成果を発表することを話された際には、一部の医師たち(教授?)が、騒然としたそうである。

もちろんH教授は、ゲストとして日本アレルギー学会に招かれいる立場だ。
しかも共同研究というアカデミックな内容の発表に対して、政治的な配慮から、発表しないよう要請されるということは、あってはならないことだ。
当然、H教授は、激怒された。
しかし、H教授を招聘された先生の「顔」もあったため、H教授は渋々、その要請を受け入れざるを得なくなった。

このようにまでして、ステロイド剤をアトピー性皮膚炎の標準治療として定着させようと、学会側が目論んできた結果はどうだろうか?

今では、ステロイド剤に副作用があること、長期連用により多大なリスクが生じることに異を唱える医師、教授は、ほとんどいなくなった。
もちろん、今でもガイドラインでは、アトピー性皮膚炎の標準治療はステロイド剤で行うことと明記しているが、「ステロイド剤は副作用がない安全な薬だ」「リバウンドは、ステロイド剤の副作用ではなくアトピー性皮膚炎の悪化に過ぎない」という20年前の説明は、「専門の医師に治療を受ければ副作用の心配なく使える」と数年前にトーンダウン、今では、「ステロイド剤はリバウンドなどの副作用が現れることがある」ということを認めるようになった。

おそらく、ここ数年の間に、アトピー性皮膚炎のガイドラインは大きく改定されるだろう。
その中では、たぶんステロイド剤、プロトピック軟膏、ネオーラル(新たにアトピー性皮膚炎に対して適用を受けた免疫抑制剤)などの使用が明記されるのだろう。

では、さらに十年後のガイドラインはどうなっているのだろうか?

免疫抑制系の薬剤は、アトピー性皮膚炎を「治す」薬剤ではない。
何度もブログ内で書かれているように、アトピー性皮膚炎の症状を「抑える」薬剤なのだ。

いつも書いていることだが、患者は「アトピー性皮膚炎を治すこと」を望んでいることを、アトピー性皮膚炎治療に携わる医師、研究者は忘れないで欲しい。

 
おまけ★★★★西のつぶやき

研究者の多くは「エビデンスがない方法は認められない」と話す。
エビデンスとは、科学的根拠に基づく実証のことを指しているのだが、実は、ステロイド剤がアトピー性皮膚炎を治す、というエビデンスもないのだ。
エビデンスを重視する医師たちが、エビデンスがない治療法を行っていることに疑問を抱くのは私だけだろうか・・・?