2008 年 11 月 12 日 博士

前回は、アトピーの悪化要因として免疫に関わる部分を述べたが、今回は、もう一つの大きな要素といえる「皮膚の機能」の要因を取り上げたい。

 

 

 

 

 

人間の皮膚には主に、体液の流出を防ぐこと、および外部からの侵入を防ぐこと、つまり生体を維持していく上で、「守りの働き」を行っている「臓器」じゃ。
そして、皮膚がそれらの働きを正常に行うためには、角質層の潤いを保つことが大切と言える。
水分が保持された状態が正常な角質層の維持に大切ということもあるのじゃが、アトピー性皮膚炎の観点から見ると、「豆講座5・アトピーの悪化要因(1)」で述べたように、「痒みを知覚する神経線維」の問題が加わることになる。

つまり、アトピー性皮膚炎の場合、皮膚の機能のどこに問題があるのかというと、その最大の要因は、「皮膚の乾燥」という部分にあるんじゃ。

では、この皮膚の乾燥は、どのような影響下において起こりやすいかというと、主に「環境の要因」と「生体の要因」の二つが関わることになる。

環境の要因で、最も大きい影響は、「エアコン」が挙げられるじゃろう。
最近では、学校もエアコンによる冷暖房完備のところが増えてきておるようじゃが、家庭においても、エアコンはほとんどのところで利用しておるじゃろう。
暖房においては、床暖房やストーブ、ガスヒーターなどの他の手段があるが、冷房においては、まず主流はエアコンじゃ。
エアコンは、除湿の効果を有しておるため、どうしても空気の乾燥を招きやすくなる。
特に、湿度が上がる夏の時期に、日常生活空間のほとんどがエアコンの効いた状態にあると、皮膚自体が乾燥しやすい状態を維持させてしまうことになるんじゃ。
その他、化学物質などの影響も無視はできん。
また、肌に密着する衣類を洗う際の洗剤の問題も関わることになる。
特に、全自動洗濯機では何回すすいでも洗剤を完全に除去することはできず、そのわずかに残った衣類に残留する洗剤、つまり界面活性剤が、皮脂を肌から取ってしまう影響が問題じゃ。
確かに、それらの影響は軽微なものかもしれん。
しかし、衣類は毎日、身につけるものじゃから、軽微な影響も積み重なることで、皮膚への負担は、かなり大きなものとなるんじゃ。
その他、衣類の着色や、少し前に問題になった衣類の防虫剤の影響なども関わってくることがある。

次に、生体の要因に関わる最も大きな影響は、やはり毎日の日常生活に潜んでいるといってよいじゃろう。
皮膚を構成するのは、いうまでもなく細胞じゃ。
ということは、食生活の影響、睡眠による内分泌の影響、運動による代謝の影響、ストレスなどによる生体の影響は、少なからず受けることになる。
それらが「悪い状態」が維持されてしまえば、皮膚の機能も少しずつ低下することになるんじゃ。
例えば、人間の皮膚が本来持っておるスキンケアの機能は、汗腺から出る汗と、皮脂腺から出る皮脂が乳化することで、皮脂膜が作られる。
したがって、汗をかきにくくなれば、皮膚のバリア機能も低下することになる。
このように、日常生活から受ける影響が関わっておるんじゃ。

また、その他でも、アトピー性皮膚炎の人の角質層を調べるとセラミドが不足していることが分かっており、このセラミド不足が、バリア機能を弱め、水分の保持能力を低下させることになる。
あるいは、ステロイド剤などの免疫抑制剤を使用することで、皮膚の免疫機能を低下させ、感染症を引き起こす、あるいは悪化させることで、皮膚のバリア機能を損なうこともある。

前回の免疫機能のところでは、悪化要因として挙げた中に、生活の要因があったが、皮膚の機能の面から見ても、生活の要因は深く関わっておるんじゃ。
アトピー性皮膚炎が「生活習慣病」の一つとして、考えられる所以がここにもあるといえる。

次回は、アトピーの悪化要因の最後として、薬物治療の影響について述べたいと思う。

 
おまけ★★★★南のつぶやき

皮膚は、「内臓の鏡」って言われていますよね。
疲れや体調不良が、顔色に現れるのなんかは、良い例です。
博士が書いていたように、「体を守る」臓器として、異常状態を自分に気づかせる働きが皮膚にはありますが、アトピー性皮膚炎も、日常生活が関わっているということは、警告信号の要素を抱えているんですね。

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