リバウンドってアトピーの悪化?

最近、ブログを見た読者の方から、メールをいただくようになった。

 

その中には、アトピー性皮膚炎に関する質問があるのじゃが、今日は、昨日のメールでいただいた、Aさんからの質問について書きたいと思う。

 

 

Aさんからの質問の内容を要約すると、次のような内容じゃった。

15年程、ステロイド剤の治療を中心に、大学病院でアトピー性皮膚炎の治療を受けているが、同じ薬剤の治療を長年続けていても、少しずつ皮膚症状が悪化しているように感じたため、ステロイド剤を中断、症状が悪化した。
皮膚が黒ずみ、黄色い体液が流出して、夜も痒みが強く眠れない。
さらに今まで症状が出ていなかった部位も、粉を拭いたような乾燥状態とジュクジュクした炎症が入り混じった状況になっている。
自分では、ステロイド剤の副作用によるリバウンド症状だと思ったのだが、受診した大学病院の先生は、ステロイド剤を止めたことで、炎症が抑えられなくなり悪化したのだから、ステロイド剤を中断してはいけない、と言われた。
しかし、ここでステロイド剤の治療を再開しても、この15年間の少しずつ悪化し続けている治療に戻るだけだと思うし、最近は皮膚症状だけではなく、体調面の悪化もあり、不安が多い。
今、悪化している状態は、ステロイド剤の副作用ではなくアトピー性皮膚炎が悪化した状態に過ぎないのだろうか?

長年、ステロイド剤の治療を受けて、症状が一進一退を繰り返している人の中には、このような疑問を持っている方は多いと思う。
では、Aさんの状況は、単にアトピー性皮膚炎が悪化しただけの状態なのじゃろうか?

答えは「NO」じゃ。

確かに、ステロイド剤は炎症を抑えることで痒みを抑制させる薬剤じゃ。
したがって、炎症を抑えて痒みを抑制する要因、つまりステロイド剤を中断すれば、炎症が抑えられなくなる、という事象だけを見れば、その先生の言っておることは正しい。
じゃが、Aさんの今の状態は、元々のアトピー性皮膚炎が悪化した状態に過ぎないとは言えない。
免疫機能が関わるアトピー性皮膚炎の症状とは、IgEという免疫が関わることで起炎物質により、皮膚下において炎症が生じることを指しておる。
そして炎症が生じることで、痒みを感じることになるわけじゃ。

全身に皮膚の黒ずみが現れたり、体液の流出が見られる、ということは、もっと違う要因が絡んでおる。
それは、内分泌の乱れや、皮膚の感染症により生じる症状でもあるのじゃ。

アトピー性皮膚炎の人が多かれ少なかれ、何らかの感染症に罹りやすくなっているのは、エビデンスでも証明されておるのじゃが、ステロイド剤は免疫を抑制する薬剤、つまり感染症に対しては悪化させる働きを及ぼす。
また、同時に炎症を抑える=体内にステロイド剤成分が吸収された結果、ということでもあるので、血中に入り込んだステロイド剤の成分は、体内の内分泌を監視・管理する視床下部の受容体と結合することで、体が作り出すはずの内分泌の調整を狂わすことにもなるのじゃ。

アトピー性皮膚炎の一つの悪化要因が免疫の異常にあることは、豆講座でも述べたとおりじゃ。
そして、免疫とは内分泌と自律神経により影響を受けておる。
内分泌を乱せば、免疫そのものにも悪影響を与えることで、アトピー性皮膚炎そのものを悪化させる可能性もある。

つまり、ステロイド剤をはじめとするアトピー性皮膚炎治療に使われる薬剤とは、アトピー性皮膚炎により生じた炎症=痒みを、抑える目的で使われている薬剤で、アトピー性皮膚炎という病気を治すことには直接関わっていないのじゃ。
いや、長期連用することで、アトピー性皮膚炎そのものを悪化させている側面すら持っておるのじゃ。

ステロイド剤のリバウンドとは、ステロイド剤により抑えていた炎症を抑えなくなったことによるアトピー性皮膚炎が単に悪化した状態ではない。
それはあくまで一要因に過ぎん。
むしろ、ステロイド剤の長期連用によって、感染症の悪化と内分泌機能への悪影響から生じるアトピー性皮膚炎そのものの悪化といえるのじゃ。

痒みを抑える治療=アトピー性皮膚炎により生じた症状を抑える治療であって、アトピー性皮膚炎という病気そのものを直接治療しているわけではないことを、まずしっかり認識することが大切じゃ。

QOL(生活の質)を維持するために、一時的に症状を緩和させる治療も必要なことはあるじゃろう。
しかし、その緩和させる目的だけで使い続ける治療が、もともとの病気(アトピー性皮膚炎)を悪化させてしまうのでは本末転倒じゃ。
ステロイド剤の「役割」というのを十分に認識することが大切じゃろう。

 

おまけ★★★★博士のつぶやき

今日は、かなり長い文章になってしまったようじゃ。
本当は、ステロイド剤の「役割」も書きたかったのじゃが、それについては、後日、改めて「豆講座」で書きたいと思う。
いずれにしろ、リバウンド=アトピー性皮膚炎の単なる悪化、と捉えるのは危険ということじゃ。