進化?退化?

この前、TVで「猿の惑星」のリメイク版が放映されておった。


子どもの頃に、リメイクされる元の映画を見たんじゃが、当時は、ラストシーンで驚愕したのを覚えとる。

宇宙船が放浪の末にたどり着いた、猿に支配されている星から地球に戻ろうと幾多の冒険を経て、最後に現れたのが砂に埋もれた自由の女神像。
つまり、猿に支配された星が、実は地球の未来だった、という内容じゃった。

そして、最近、あるアトピー性皮膚炎に関わる研究をされている医学博士と話をする機会があったんじゃが、その先生が興味深い話をしてくれたんじゃ。

アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患は、側面から見ると、実は体の「警告信号」の役割を持っておる。
例えば、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるように我慢強い臓器のため、何らかの疾患に罹っても自覚症状が現れにくい。
そこで、肝臓が悪くなると発疹などの皮膚症状が現れることがあるんじゃが、これは、肝臓が悪くなっていることを知らせるためのアレルギー症状の一つじゃ。

アトピー性皮膚炎も同じで、簡単に言うと、このまま悪い生活習慣を続けていると、内臓などの諸器官に異常が現れることを警告している側面を持っておる。
つまり、今のような化学物質が溢れ、生活習慣が体(健康)にとっては悪い状況となりつつある時代、ある意味、アトピー性皮膚炎を持っている人の方が、「警告信号」が出せる「正常」な人とともいえるんじゃ。
もちろん、アトピー性皮膚炎自体は、痒みという不快な症状をもたらすのじゃから、本人にとっては「正常」でも何でもないが、体の機能から考えると「正常」と言える側面がある。

現代は、アトピー性皮膚炎が増加しておるが、これはもっともの話で、免疫機能を中心とする体の機能が「進化」しとるからこそ、今の時代の生活環境、生活習慣を警告しておるんじゃ。
実際、その先生の話では、アトピー性皮膚炎の人は、そうでない人と比べると、ガンや糖尿病、高血圧などの生活習慣病に罹る割合が少ないということじゃった。
これは、アトピー性皮膚炎の人は体質的に深刻な生活習慣病に罹りにくい、ということではなく、アトピー性皮膚炎という疾患に罹っているため、いろいろな生活面に気をつけることが、生活習慣病に罹らない生活につながることになるから、ということじゃった。

ところが、その先生の話では、実はあと二世代あとぐらいの時代には、アトピー性皮膚炎という疾患は減少する傾向になるじゃろう、ということじゃった。
これは、数十年後の日本が、アトピー性皮膚炎が必要ない生活環境や生活習慣になるからではない。
逆に、生活環境や生活習慣は、二世代あとにはもっと悪化しとる状況になると予測されておる。
しかし、体自体は、その環境に「慣れる」ことで、アトピー性皮膚炎が「出ない」体になるんではないか、ということじゃった。

アトピー性皮膚炎で悩む人から見れば、もしそうなれば喜ばしいことじゃとは思うが、実は、これは非常に危険な状況らしい。
つまり、生活環境や生活習慣は悪いまま、警告信号が出せない状況を迎えることになるわけじゃから、今、問題となっておるガンや糖尿病、高血圧などの「生活習慣病」と言われる疾患が低年齢化し、さらに増加するだろうということじゃった。
生活習慣を変える治療よりも、痒みという症状を抑えることに力を入れている今の治療がもし続くならば、環境が悪化したままアトピー性皮膚炎が少なくなった社会は、ある意味、危機的な状況を生んでいるかも知れないことを、その先生は心配しておった。

免疫が進化するからアトピー性皮膚炎が「出なく」なるのか、退化するからなのか・・・
アトピー性皮膚炎が「出なく」なることは良いことなのか、悪いことなのか・・・
考えさせられる話じゃった。

 

おまけ★★★★西のつぶやき

よく西洋医学は「症状」を診て、東洋医学は「体と環境の関わり」を診る、と言われるが、西洋医学で使われる「薬」も、元をたどれば東洋医学でいうところの「生薬」から発展して作られたものだ。
治療法として使われる「モノ」の出発点は、西洋医学も東洋医学も変わらないといえる。
同じ出発点から違う「進化」を遂げたともいえる両医学だが、違うのは、その「モノ」の使い方ということだろう。