腸内環境について

久しぶりです。東です。


今日は、以前、ある腸内環境に関する研究を行っておられる先生にお伺いしたお話を紹介したいと思います。

アトピー性皮膚炎の人が抱える体の異常状態の中で、よく見受けられる症状の一つに「便秘」があります。
中には、「下痢」という方もいますが、いずれにしろ、腸内環境に関する症状を訴える方は、結構おられます。

アトピー性皮膚炎という観点から考えると、腸内環境で最も関わるのが、「腸管免疫」でしょう。
これは、ヒトの体の免疫活動の約70%が、腸内にて行われているからです。
食べ物が胃を通り、消化されて、小腸内で吸収される場合には、直接、血管に取り込まれます。
つまり、免疫活動は血液が直接触れる場所が、最も多く行われますが、外部から非自己(体を構成する以外の物質のこと)を、直接血液内に最も取り込む器官が腸管からです。

この体全体の70%を占める免疫活動が、正しい方向で働いているか否かは、免疫活動全体のバランスにも大きく関わるため、腸管免疫が大切だといわれています。
便秘や下痢など、腸管内が「健康」でなければ、それに伴う免疫活動も、何らかの異常を抱えるため、それが、アレルギーに関わっているという研究報告もあります。

では、腸内環境として、何が大切なのかというと、大きな要素の一つにビフィズス菌などの乳酸菌があります。
実際、ある乳酸菌を含んだヨーグルトが、乳幼児のアトピー性皮膚炎に良いという研究報告もあるようです。

しかし、ここで一つ知っておいた方が良いことがあります。
それは、腸内の乳酸菌が占める割合です。

健康な乳幼児の場合、腸内おけるビフィズス菌の量は約90%ですが、アトピー性皮膚炎の乳幼児の場合、これが低下している傾向があります。
そこで、腸内のビフィズス菌の量を90%まで増やすことで、アトピー性皮膚炎の症状も軽快したという臨床報告があるのですが、これは、腸内環境を本来の乳幼児の状況に戻すことで、腸管免疫に良い影響を与えることができたと考えられます。

この事実から、では、乳幼児のアトピー性皮膚炎には、ビフィズス菌を与えることが良いのかと言うと、必ずしもそうではありません。
もし、ビフィズス菌の量が90%に近いアトピー性皮膚炎の乳幼児の場合は、あまり大きな意味をもたないからです。

同時に、健康な成人の場合だと、ビフィズス菌の量は30~50%ぐらいと言われていますが(年齢などにより異なる)、いくらビフィズス菌の量を増やしても、最大で50%程度までしか増えませんから、本当は、ビフィズス菌以外、残りの腸内を占める菌群の方も考える必要があります。

このように、腸内環境はアトピー性皮膚炎に関わる、乳酸菌のバランスが大事、ということはいずれも事実でしょうし、大切な要因の一つですが、これはあくまで、腸内環境のバランスが崩れている人に、影響が見られやすいわけであり、腸内環境のバランスが乱れていないアトピー性皮膚炎の人の場合には、もっと、他の要因に目を向ける必要があります。

○○を飲むとアトピーに良い、○○がアトピーに効いた、という話は良くありますが、あくまでその○○は、その○○によって影響を受けられる体内の機能が低下していることでアトピー性皮膚炎が現れれている人に限りますので、その○○によって影響を受ける体内の機能が正常な人にはあまり意味がありません。

腸内環境を整えることは、アトピー性皮膚炎だけではなく、健康な体を維持していく上でも大切なことですが、腸内環境を整える=アトピー性皮膚炎が治る、ということではないことを理解した上で、必要な人が上手に取り入れることが大切でしょう。

 

おまけ★★★★博士のつぶやき

今日の東のブログの内容じゃが、少し補足しておきたい。
ビフィズス菌を増やすために、ビフィズス菌を大量に摂取する人がいるが、菌も生き物じゃ。
いくら大量に入れても、腸内において菌自体が生きていく環境が整っていなければ、意味がないのじゃ。
そういった意味において、ビフィズス菌よりも、ビフィズス菌が腸内で増殖するための「餌」の方が大切だ、という考え方もある。
プロバイオティクスに対するプレバイオティクスという考え方じゃな。
興味のある人は、ぜひ調べてみるとよいじゃろ。
あとぴナビの「医療ナビ」の中にも、いくつかそれに関わるコンテンツがあるはずしゃ。