2021年3月3日

東です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                             
今日は、順天堂大学からお送りいただいた最新のアレルギーの研究記事を紹介しましょう。
         
          
●アレルギー炎症を増悪・遷延化させ、その炎症を全身に拡げるメカニズムの解明
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000264.000021495.html
          
順天堂大学医学研究科眼科学の松田彰 准教授および日本大学医学部アレルギーセンター免疫アレルギー学プロジェクトチーム 岡山吉道アレルギーセンター副センター長、 豊島翔太ポストドクトラルフェロー、 呼吸器内科の權寧博教授、 皮膚科の葉山惟大助教らの共同研究グループは、 ヒトのマスト細胞 (注1)が遊離する細胞外小胞 (注2)中のマイクロRNA 103a-3p (miRNA,注3)が、 アレルギー炎症を増悪化し、 長引かせている因子であることを発見し、 その作用機序を明らかにしました。 今後、 細胞外小胞中のmiRNA103a-3pを特異的にブロックする方法を開発することができれば、 それを応用した新規治療薬の開発が期待されます。
本研究は、 日本大学、 国立成育医療研究センターおよび順天堂大学の共同研究の成果であり、 この研究結果を報告した論文は、 2021年1月16日 (米国時間)に米国アレルギー学会誌「The Journal of Allergy and Clinical Immunology」に掲載されました。
         
▼本研究成果のポイント
         
・ヒトのマスト細胞が遊離する細胞外小胞中のマイクロRNAが、 アレルギー炎症を増悪化し、 長引かせている因子であることを発見

・miRNA103a-3pを特異的にブロックするアレルギー疾患の新規治療薬の開発に期待
         
▼研究内容
         
マスト細胞は、IgEとアレルゲンによって活性化し、ヒスタミンやサイトカイン (注4)など生理活性物質を遊離します。 これらの生理活性物質はマスト細胞の近傍に存在している免疫細胞などに作用し、かゆみの誘発、気管支平滑筋の収縮など、アトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー症状に深く関わります (図1)。
          
近年、細胞間の相互作用には、細胞が遊離する細胞外小胞と呼ばれる顆粒状の物質が重要であることがわかっていました。細胞外小胞には、タンパク質や核酸などが内包され、 受け取った細胞の機能を制御します。がんの発症や転移などに関わることから盛んに研究が行われています。この癌の転移のようにこの細胞外小胞は、遠隔の細胞に情報を伝えることができます。しかし、アレルギー炎症の増悪や遷延化に関わるマスト細胞の細胞外小胞の役割は、これまでに明らかにされていませんでした。
本研究グループは、ヒトマスト細胞を用いて、マスト細胞がアレルゲンで活性化する時に遊離する細胞外小胞中のmiRNAを網羅的に調べたところ、miRNA103a-3pというmiRNAを特異的に遊離していることを見出しました。さらに、そのmiRNA103a-3pがどのようにしてアレルギーに関与するかを調べたところ、2型自然リンパ球 (注5)からのIL-5産生を増強・持続化させることを突き止めました (図2)。
               
重症および慢性的なアトピー性皮膚炎や喘息患者では、好酸球が増加する好酸球増多症と呼ばれる現象が観察されます。IL-5は、その好酸球増多を惹起するために必須のタンパク質であり、実際に重症喘息患者では、IL-5をブロックする抗体療法を用いると好酸球増多は抑制され、臨床症状の改善が見られます。さらにアトピー性皮膚炎患者の血清中の細胞外小胞内miRNA103a-3pは健常人に比較して有意に増加していることを発見しました。
したがって、ヒトマスト細胞がアレルゲンによって活性化した時に遊離する細胞外小胞に内包されるmiRNA103a-3pは、血中を循環し遠隔に存在する2型自然リンパ球をも活性化しIL-5産生の増強・持続化をもたらし、例えばアトピー性皮膚炎患者の全身の皮膚で好酸球増多が長引くことで、アレルギー炎症を増悪・遷延化させている因子の一つであることを明らかにしました。
        
▼今後の展開
         
本研究成果により、アレルギーを増悪・遷延化させている細胞外小胞中のmiRNA103a-3pを見出すことができました。今後、細胞外小胞中のmiRNA103a-3pを特異的にブロックする方法を開発することができれば、それを応用した新規治療薬の開発が期待されます。
          
        
記事は以上となります。
アトピー性皮膚炎も、発症と症状の悪化は、異なる原因が関係することが多く、発症後の悪化防止には、こうした研究が役立つことになると思います。
今後の研究結果に期待したいと思います。

                         
おまけ★★★★博士のつぶやき

最近のアレルギーに関する研究は、免疫そのものの働きの他に、サイトカインのような免疫に働きかける仕組みの部分に注目するものが多くなってきたように思うの。
炎症に関わる免疫はいろいろとあるから、こうした多方面からの研究が進むのは良いことじゃの。

2021年3月2日

ショウゴです。

 

 

 

 

 

 

 

 

                      
今日は、健康に関する記事を紹介するね。
         
          
●医師が薦める免疫力アップにつながるビタミンAの摂取方法と簡単レシピ4選
https://dime.jp/genre/1088067/
            
新型コロナウイルス感染症に対して、できることといえば感染対策と体調管理。その体調管理において、免疫力を落とさないよう、さまざまなことに取り組んでいる人も多いだろう。そのような中、ヒントになる知見と栄養素、その栄養素が豊富な食材のレシピを紹介する。
          
▼医師400名に対する「免疫力に関する調査」
        
医師の多くは免疫力アップに、ビタミンA摂取を推している。
カゴメ株式会社が2020年10月に実施した全国の医師400名に対する「免疫力に関する調査」の結果によると、「今年の秋以降は、免疫力の維持を、これまで以上に意識するべきだと思いますか。」という質問に対し、84.3%が「そう思う」と回答した。
その免疫力を維持することにおいて、「粘膜免疫」が特に重要であると回答した医師は90.3%いた。粘膜免疫とは、呼吸器や腸管などの粘膜で働く免疫システムで、細菌やウイルスが体内に侵入し、増殖するのを防ぐ機能だ。その粘膜免疫を維持する栄養素として「ビタミンA」が効果的であると回答した医師は75.3%となった。
         
▼粘膜免疫とビタミンAの関係
        
ここで改めて粘膜免疫について知っておこう。
粘膜免疫とは、呼吸器や腸管などの粘膜で働く免疫システムのこと。細菌やウイルスが体内に侵入し、増殖するのを防ぐ役割を持つ。ウイルスは、粘膜免疫の壁を乗り越えることで、発熱等の症状を引き起こすため、体の中にいれないことが重要となる。
カゴメによると、調査において医師の7割が推すビタミンAは、粘膜を正常に保つ機能を持つことが報告されているという。
ビタミンAが十分にあるときには、粘膜においては細胞同士が強固に接着しており、新陳代謝も正常で新しい細胞となっている。こうした状態であれば、粘液や柔毛の働きで外部からウイルスや細菌が入ってきても排出される。
一方、ビタミンAが不足しているときには、細胞間接着が弱まり、新陳代謝が滞ることで古い細胞が残っている状態となる。こうした状態では、ウイルスや細胞が細胞間を通過して侵入してしまう。
このことから、ビタミンAが含まれる食品を摂取することで、粘膜免疫の機能を維持し感染症の予防に効果を発揮することが期待できる。
          
▼ビタミンAの医師おすすめの摂取法
       
では、ビタミンAを摂取するにはどのような方法がおすすめだろうか?
先のアンケート調査結果によれば、医師おすすめの方法として「にんじんをジュースにして飲むと良い」「にんじんやかぼちゃをスープにすると良い」「脂肪分と一緒に摂取すると良い」などが挙がった。
ビタミンAは油に溶けやすい脂溶性のビタミンであることから、油を使った料理で吸収率が良くなることが知られている。
カゴメが厚生労働省「平成29年国民健康・栄養調査」をもとに各栄養素をどの食品群からとっているかをランキングにしたところ、ビタミンAの摂取源1位は「野菜」だったという。特に緑黄色野菜の「にんじん」「ほうれん草」「かぼちゃ」はビタミンAが豊富であることから、医師たちは特に推奨していたようだ。
ちなみに、野菜のビタミンAはカロテンとして含まれており、体内で必要な量だけがビタミンAに変換される。
          
(以下、省略)
        
       
具体的なレシピが見たい人は、リンク先で確認してね。
ヒトの体は結局のところ、外から取り入れた「栄養素」を組み合わせて作られているわけだから、体をつくる「素材」と考えると、その素材の量と質は大切ってことは言えるよね。
バランス良い食事を考えようね。

                      
おまけ★★★★大田のつぶやき

アトピー性皮膚炎の掻き壊しによりできた肌のダメージを修復するには、ビタミンAは重要な役割を持っています。
同時に、ビタミンとは体にとっていわゆる潤滑油としての働きを持っていますから、たんぱく質や脂質、糖質といった必須栄養素とバランス良く摂取すること、そして記事にもあるように、その栄養素が吸収されやすい調理方法、というのも大切です。
体にとって「効果的」な食を考えるようにしましょう。

2021年3月1日

ショウゴです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                
今日は、Webで見つけたお肌に関する記事を紹介するね。
            
            
●かかとのガサガサを確実に治す方法!ストッキングの伝線から卒業しよう!
https://bybirth.jp/press/archives/244013
            
かかとのガサガサは、水分を失った古い角質が蓄積された状態を指します。原因は、ターンオーバーの乱れ、肌の乾燥、過剰な刺激によるものです。
かかとのガサガサを治すには「負担の少ない角質ケア」「クリームによる保湿」「足のマッサージ」の3つが有効です。
多くの女性を悩ませる「かかとのガサガサ」。ストッキングをはくときにかかとが引っ掛かり、伝線や穴を開けてしまった…なんて経験をした人も多いのではないでしょうか。
かかとのガサガサは、自宅できちんとケアすれば確実に治せます。しかし、自分なりにケアしてみたけれど、なかなか改善しなくて諦めたという人も中にはいます。
そこで本記事では、かかとのガサガサの治し方について説明します。かかとのガサガサは「負担の少ない角質ケア」「クリームによる保湿」「足のマッサージ」の3つで改善しましょう。
       
▼かかとのガサガサについて
        
かかとのガサガサとは、一体皮ふに何が起こっている状態なのでしょうか。ここでは、かかとのガサガサの「正体」と「起こる原因」について説明します。
        
▼かかとのガサガサの正体
         
かかとのガサガサの正体は、古い角質の蓄積です。
かかとは、体の中でも末端にある部位で血流が滞りやすいため、肌の生まれ変わりであるターンオーバーが遅れがちです。すると、古い角質が剥がれ落ちず長期間蓄積していき、皮ふは分厚くなって硬くなります。
また、長く蓄積された古い角質は水分が抜けて弾力がないため、かかとの皮ふはますます硬くなってガサガサになり、ひび割れなどを引き起こしてしまうのです。
         
▼かかとのガサガサが起こる原因
       
かかとのガサガサが起こる原因は次の3つが考えられます。
        
・ターンオーバーの乱れ
前述の通り、かかとはターンオーバーが乱れやすい部位です。ターンオーバーが乱れると、古い角質が溜まりかかとが硬くなります。
ターンオーバーが乱れる理由は、体の末端で血流が悪くなりやすいからだけでなく、加齢や活性酸素の発生などによっても起こります。
      
・肌の乾燥
かかとには皮脂腺がないため、肌表面に油膜を張れず水分が蒸発します。すると、角質のうるおいが不足して、硬くなりガサガサの原因となります。
        
・過剰な刺激
皮ふには、外から刺激を受けると身を守るために角質を硬く分厚くする働きがあります。とくに、かかとは、歩行時に負荷がかかるため、角質が厚くなりやすいといえます。
ヒールや足に合わない靴を履くと、さらにかかとに負荷がかかり、ガサつきがひどくなる原因となるため注意が必要です。
          
▼かかとのガサガサの治し方
        
かかとのガサガサは適切にケアすることで、確実に改善できます。しかし、ケアの仕方を誤るとかえって状態をひどくしてしまうことも。
ここでは、正しいケアの仕方を紹介します。
         
・負担の少ない角質ケアをする
古い角質を除去するには、ピーリングによる角質ケアが有効です。しかし、刺激が強すぎると肌の防衛反応が働き、かえって角質が厚くなるため、負担をかけない角質ケアが必要です。
ピーリング剤は、植物性のものなど肌に優しいものを選びましょう。例えば、りんご酸、クエン酸、乳酸などの天然由来の成分が配合されたAHAは、安全性が高く低刺激です。
また、ピーリングを行う頻度にも配慮しましょう。頻繁に行うと、かかとに必要な角質まで取り除いてしまい、負担になります。メーカーが推奨する頻度を守って行うことが大切です。
        
・クリームで保湿をする
かかとには、皮脂腺がないため自ら油分を作り出すことができません。そのため、油分を多く含むクリームを使って、しっかりと保湿することが大切です。
クリームには、油分の他に、有効成分が多く配合されていることがあります。かかとのガサガサに効く有効成分が入っているものを選んで、効率よく改善をしましょう。
例えば、セラミドやヒアルロン酸など高保湿成分が配合されているクリームは、かかとにうるおいを与えて皮ふを柔らかくし、ガサガサを抑えます。ビタミンC誘導体やビタミンEが配合されているものであれば、血行を促進してターンオーバーを促すため、古い角質の除去をサポートします。
クリームを選ぶときは、成分表をみて、かかとのガサガサに効く有効成分が入っているかチェックすることをおすすめします。
         
・足のマッサージをする
足のマッサージをすることは、かかとに血流を送り届けてターンオーバーを促します。とくに、血の巡りがよくなる入浴後に行うと効果が高まります。
マッサージの仕方は次のとおりです。
        
1.ボディオイルやクリームを手に取り、両手で足の甲全体をもみほぐす。
2.足の指の付け根から先まで上下にさする。
3.足の指の間を円を描くようにもみほぐす。
        
片足1分ほどで終わる簡単な方法なので、毎日の習慣にしましょう。血流がよくなると、老廃物も排出されるため、足のだるさや疲れに悩んでいる人にもおすすめです。
      
▼まとめ
       
かかとのガサガサは、水分を失った古い角質が蓄積された状態を指します。原因は、ターンオーバーの乱れ、肌の乾燥、過剰な刺激によるものです。
かかとのガサガサを治すには「負担の少ない角質ケア」「クリームによる保湿」「足のマッサージ」の3つが有効です。
ツルスベかかとを取り戻し、ストッキングの伝線から卒業しましょう!
        
       
女性は特に、かかとのガサガサを気にする人が多いみたいだけど、適切なケアを行おうね。

                      
おまけ★★★★大田のつぶやき

かかとも、皮膚の一部であることに違いはありませんが、「歩く」という行為の関係上、常に刺激を受けます。
宇宙飛行士が長期間の宇宙滞在から帰還すると、かかとが赤ちゃんの肌のようにふにゃふにゃになる、という話もあります。
肌の回復力はそれだけ高いものがある、ということでしょう。

2021年2月28日

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                     
今日は昨日の続きで、もう一つの誤ったケア方法について見ていきましょう。

・油分のケアに頼る

もう一つ、誤ったスキンケアで多いのが「油分のケアに頼る」といったケアです。
ご相談の中で、どのようなスキンケアを行っているのか、とお尋ねすると「液状のオイルケアを行っている」という方がおられます。
そういった方のお肌の状態をお聞きすると、掻き壊しが多かったり、長年のステロイド剤の使用により肥厚したりひび割れした肌状態のことが多い傾向があります。
角質層そのものにダメージがあると、水分のケアアイテムを使用すると、含有する水分が浸透していく際に、浸みる刺激を与えやすくなります。
そして、そのアトピー性皮膚炎の方のダメージが大きい肌状態で「浸みる」とかなりの痛みを伴います。
一方、オイル系のケアアイテムは、分子量が大きいので表皮内に浸透しづらく、浸みないため、ダメージが強いアトピー性皮膚炎の方ほど、オイル系のケアアイテムに頼る傾向が見られます。
また、オイル系アイテムは肌に浸透せずに表面に残るため、多少のべたつき感はあっても、肌が「柔らかくなった」という感覚になります。

しかし、バリア機能を高めるために必要なのは、「角質層内」の水分です。
いくら表面をオイル系アイテムで覆っても、角質層内の水分が急激に増えることはありません。乾燥した肌は、中からではなく外から水分を与える必要があるのです。

確かに、浸みるケアを続けることは苦痛かもしれません。しかし、オイル系のアイテムだけで乾燥状態の肌をケアしても、見た目や触り心地は改善したように見えるかもしれませんが、アトピー性皮膚炎の改善に必要なバリア機能の改善にはつながりません。
まずは、できるだけ浸みづらい状態で水分ケアをどのように行っていくのかを考えて欲しいと思います。

具体的には、オイル系アイテムでプレケアを行ってから保水ケアを行う、チュビファーストを使ってじっくりと保水を行うなどの方法があります。
ご自身の肌状態に合わせて、どのように無理のない保水ケアを行えばよいのかは、お気軽にアトピー相談室までご相談ください。

●アトピー相談室 フリーダイヤル 0120-866-933(受付 10時~19時)

                      
おまけ★★★★大田のつぶやき

誤ったスキンケアは、アトピー性皮膚炎の改善につながらないばかりか、逆に肌状態を悪化させることもあります。
健常な方とアトピー性皮膚炎の方では、求められるケアの「レベル」が違うこと、そしてバリア機能を高めるため、どういったケアが適切なのかをしっかり見極めて実践するようにしましょう。

2021年2月27日

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                    

アトピー性皮膚炎の方の誤った入浴方法で最も多いのは、入浴温度です。
自分でスキンケアができる力を育てるためには、40度以上の入浴温度は高すぎますが、寒い時期、どうしても高めの温度で入浴を行い、症状を悪化させる方がおられます。
そして、同様にアトピー性皮膚炎の方の「誤ったスキンケア」として多いのが「保水が足りないケア」「油分のケアに頼る」の二つです。

・保水が足りないケアとは?

これまで何度も述べてきたように、アトピー性皮膚炎の主たる原因とも言える「皮膚のバリア機能」を維持するために大切になるのは「角質層内の水分保持」です。
そこで、「保水」ケアを中心に、保湿ケア、保護ケア、その他の機能ケアをプラスしていくのがアトピー性皮膚炎の方のケアの基本となりますが、ご相談いただく方の多くは「保水」ケアを行っています。
しかし、誤ったケアと考えられるご相談者の方は、「健常な方の保水ケア」を行っています。

アトピー性皮膚炎の方の角質層の状態は、健常な方の角質層と比べて、角質層内で水分を保持するための因子(フィラグリンやセラミドなど)が少ない状態です。
もちろん、健常な方でもそうした傾向はあります。しかし、水分保持機能全体を見ると、アトピー性皮膚炎の方はそうでない方と比べて大きく劣る状態です。

健常な方の乾燥肌は、わずかでも「水分」を与えることで保水ができますが、アトピー性皮膚炎の方の乾燥肌は「大量の水分」を与えないとバリア機能を高めるための保水ケアにつながりません。
実際のご相談の中でも、これまで行ってきた保水ケアの回数を数倍に増やすことで(重ね塗り、塗り直しなど)、短期間で炎症や痒みの状態が改善するケースは多くあります。

アトピー性皮膚炎の症状を悪化させる要因は、お肌の乾燥だけではありませんから、保水ケアを多めに行うことだけが大切なのではありませんが、どのような状態のアトピー性皮膚炎であっても、皮膚のバリア機能が低下した状態は悪化要因にはなっても改善要因にはなりえません。
したがって、保水ケアを多めに行うことで「バリア機能を高める」ことは、アトピー性皮膚炎の方のスキンケアの基本と言えるでしょう。

しっかり保水ケアを行っているのに、乾燥状態がなかなか改善しないという方は、保水の量を増やしてみることを試してみましょう。

明日は、「油分のケアに頼る」です。

                             
おまけ★★★★南のつぶやき

アトピー性皮膚炎の方の肌と、そうでない方の肌は、「角質層のバリア機能の保持状態」が大きく異なります。
ただ、アトピー性皮膚炎の方が症状が良くなれば、それは健常な方の肌と同等なります。
まずは、バリア機能をどのように保持すれば良いのかを考えてスキンケアを実践するようにしましょう。

2021年2月26日

東です。

 

 

 

 

 

 

 

                         
今日は、昨日の続きです。
         
        
●化粧水のもっとも効果的な使い方とは? 潤い度が格段にアップする塗り方おさらい
http://healthpress.jp/2021/02/post-4039.html
            
▼大人肌の乾燥対策の究極のプロセスとは?
       
化粧水が持つ保湿力を最大限に生かすには、その使い方がカギ。そのポイントをまとめました。
       
①洗顔後、すぐに化粧水をつける習慣を 
         
洗顔後は、肌の潤いがどんどん逃げます。タオルで水分をふき取ったら、すぐに化粧水を塗布します。パウダールームなど、すぐに手の届くところに化粧水を用意しましょう。
       
②最初にブースターを使い“潤いの通り道”を作りましょう 
          
最初に使用するのは、スキンケアの浸透を高めるブースタータイプ。お風呂上りや洗顔後に、すぐに塗布しましょう。適量を手のひらにのせたら、手のひら同士で包んで人肌程度に温めてから使うと、より浸透力が高まります。肌のザラつきが気になるときは、この段階で拭き取り化粧水を使用するのも効果的です。
      
③肌に合う化粧水を重ねる 
         
保湿化粧水や美白化粧水、エイジング化粧水など、自分の肌目的に合ったタイプの化粧水を用意しましょう。いつも以上に乾燥に気を配りたい冬の季節は、ドライスキン対策の効果が高いセラミドやアミノ酸を多く含むタイプを選ぶとよいでしょう。
       
④化粧水はケチらず、手のひらで押し入れる 
         
化粧水は、手でつけたほうが細かい部分にも届きやすくお勧め。左右の小鼻から輪郭に向かって優しくなじませます。さらに化粧水を足して額、顎にもなじませましょう。また、鼻筋、小鼻、口角や目頭、目尻など、細部にも行き渡らせます。最後に、肌の奥に押し入れる感覚で手のひらを使い、優しくハンドプレスを。量はケチらず、たっぷり使うのが美肌への近道です。
         
⑤もっと潤いが欲しいときは即席パック 
       
いつもより乾燥を感じたら、ローションパックがお勧めです。化粧水をなじませた後、再度、コットンにたっぷりの化粧水をなじませます。コットン1枚を2~3枚に割き、気になる乾燥部分、もしくは顔全体を包むようにペタペタと貼りつけましょう。なお、専用シートを使うと細かい部分まで均等になじみます。コットンやシートは、乾いてしまうと逆に水分がどんどん逃げてしまう原因になるので注意。パック時間は5分~10分が目安です。
        
⑥潤いを閉じ込める 
         
最後に美容液やクリームで肌に栄養を与えつつ、油膜のヴェールをかけて蓋をします。せっかく溜めた潤いが逃げないよう、時間を置かずにここまで一連の流れとして行いましょう。
       
化粧水のケアで大事なことは、肌にきちんと潤いを届けること。そのため、高価だからといって化粧水をケチって使っても、あまり効果的とはいえません。自分にとってコスパのよい化粧水を探し、たっぷりと丁寧に使って、冬の乾燥肌を上手に乗り切りましょう。
 (文=小澤佐知子)
            
          
記事は以上です。
使い方としてみた場合、アトピー性皮膚炎の方に必要なケア方法と考えてもよいでしょう。
人肌程度に温めて塗布する。重ね塗り、即席パック、保水の後に油分で保湿を、などは、いずれもアトピー性皮膚炎の方にも役立つ方法です。
まだまだ乾燥時期が続きます。
しっかりと保水を行う参考にしてみてください。

                                
おまけ★★★★大田のつぶやき

一般的な「化粧」で考えると、「栄養成分を届ける」という考え方をベースに、さまざまな機能性を持たせていることが多いものです。
アトピー性皮膚炎でみると、角質層の潤いに、そうした栄養成分は必ずしも必要ではありませんが、皮膚に「届ける」方法、つまり塗り方は共通している部分は多いと言えるのではないでしょうか。

2021年2月25日

東です。

 

 

 

 

 

 

 

                    
今日は、スキンケアに関係する記事を一つ紹介しましょう。
         
        
●化粧水のもっとも効果的な使い方とは? 潤い度が格段にアップする塗り方おさらい
http://healthpress.jp/2021/02/post-4039.html
            
日本では一般的な化粧水ケア。しかし以前、フランスの某化粧品メーカーを取材した際、「フランスではほとんどの女性が化粧水を使わない。乳液やクリームだけ」と教えてくれました。さらに、「日本人女性の肌が美しいのは、しっかりとした保湿ケアのおかげだと思う。化粧水でキメの整ったふっくら肌がキープできている」と褒められたのが印象的でした。
ところが、高価な美容液やクリームは丁寧に塗るのに、化粧水の使い方がザツになっている人もいるのではないでしょうか? もし、肌の乾燥やキメの粗さ、シワ、ゴワつきなどを感じているなら、化粧水の使い方を見直してみましょう。ふだん何気なく使う化粧水も、パシャパシャつけるだけでなく、効果的な使い方を意識すれば潤い度は格段にアップします。
年齢を重ねて肌の悩みが増えている人も、アンチエイジング効果をグッと高める化粧水の使い方をおさらいしてみましょう。
          
▼化粧水は目的に合ったタイプを使う
         
化粧水できちんと肌に潤いを届けると、キメが整って肌そのものが柔らかく変化します。水分と皮脂のバランスも良くなり、くすみが払拭されて透明感が生まれます。土台を整えることで、その後の乳液や美容液、クリームなども肌の奥まで浸透しやすくなるのです。
ただし、肌にあった化粧水を正しく使用することがポイント。化粧水には、大きく分けて、保湿・収れん・拭き取り・美白・エイジング用・ブースターがあります。最もポピュラーなのは「保湿化粧水」。それぞれの効果は、以下の通りです。
      
〇保湿化粧水 
角質層に水分や保湿成分を届けることで肌に潤いを与えます。洗顔後のつっぱりを解消し、乾燥からくる小ジワやカサカサを予防するので、一般的に広く使われています。
        
〇収れん化粧水 
肌の引き締めを高める化粧水。皮脂が多く、それにより吹き出物が出やすい肌やオイリー肌によるテカリを抑えます。
        
〇拭き取り化粧水 
ふだんのお手入れでは取れにくい、肌に残った油分や不要な角質を取り除く化粧水。鈍くなった肌の代謝を高め、ザラつきやくすみなど厚くなった余分な角質をはがしやすい状態にします。
         
〇美白化粧水 
美白成分を角質層に届けて、日焼けによるシミやそばかすを予防します。
        
〇エイジング用化粧水 
加齢による肌変化に対応する化粧水。シミ、シワ、たるみをケアし、肌にハリや弾力を与える手助けをします。
      
〇ブースター 
導入化粧水、プレ化粧水とも呼ばれ、化粧水前に使用することで、後に使うスキンケアをスムーズに角質層まで届けます。拭き取り化粧水として角質ケアもできます。
        
収れんタイプや拭き取りタイプは、使い方を間違えたり、肌に合わなかったりすると乾燥を招き、かえってトラブルを起こします。「化粧水はなんでもいい」と考えている人は、目的に合ったタイプを選ぶこと。自分の肌に心地よい使用感を選びましょう。
         
          
今日は記事の前半部分を紹介しました。
明日は後半部分です。

                         
おまけ★★★★東のつぶやき

目的別の化粧水とは、アトピー性皮膚炎の方に必要な「保水」の考え方とは少し異なる役割を持っていますが、機能性を持つ化粧水の選別方法として覚えておいて良いでしょう。

2021年2月24日

編集の北です。

 

 

 

 

 

 

                         
今日は、今回のテーマの最後です。
         
         
●あとぴナビ・サイエンス(2021年春号より)
        
アトピー・ストレス・心の状態 その関係を明らかにする
            
▼脳内に生じたプライミング現象
            
そこで研究チームは、人為的にアトピーマウスの炎症反応を高めて免疫の変化をみることにしました。具体的には、LPS(リポポリサッカライド)という内毒素を全身に投与し、炎症をさらに誘発しました。
すると、アトピーマウスの脳(扁(へん)桃体(とうたい)や海馬(かいば))では、Iba-1陽性の活性化ミクログリアが顕著に増えました。Iba-1とはミクログリアの活性化に関与する脳内タンパク質で、脳内に炎症が起こっていることを示します。さらに、LPS投与後4時間後のアトピーマウスの海馬では、IL6(インターロイキン6)が顕著に増えていることもわかりました。IL6は炎症性サイトカイン(炎症を起こすように合図を送るタンパク質)であり、炎症の慢性化に大きく関与することがわかっています。
以上の結果から、「生後40日目のアトピーマウスの脳内では、炎症反応に対するプライミング状態が誘導されていた」と研究チームは断定しました。プライミング状態とは、先に受けた刺激により、後になって追加の刺激があった場合に反応がより大きくなることをいいます。
今回の実験に当てはめると次のような感じになります。乳幼児期にアトピーマウスたちは、皮膚炎によるストレスを感じていました。しかし最初はそのストレスに対する症状は特にみられませんでした。ところが思春期になって同じ皮膚炎ストレスを受けると、その刺激は増幅されて脳内に炎症を起こすようになりました。
          
▼思春期のアトピーマウスに“鬱”が生じた根拠
              
さて、アトピーマウスの脳内炎症は具体的にどんな症状として現れたのでしょうか? 最初に答えをいうと、その症状は「鬱」ということになります。なぜ、鬱なのかわかるのかというと、次の3つの根拠があらげれています。
            
<根拠1> 好物の砂糖水をあまり飲まなくなった
マウスのストレスをはかる試験のひとつに「ショ糖嗜好性試験」があります。健康なマウスはショ糖水(砂糖水)が好物なのでよく飲むのですが、過度のストレスを受けたマウスはショ糖水をあまり飲まなくなります。また、このようなマウスの行動変化は、抗うつ剤の投与により改善されることがわかっています。
    
<根拠2> 動かない時間が多くなった
マウスをシッポから逆さ吊りにして、どれだけ動く時間が長いかをはかる試験を尾懸垂試験といいます。逆さ吊りとはかわいそうですが、鬱状態のマウスほど体を動かさない「無動時間」が長くなります。この試験を行う際にあらかじめ抗うつ剤を投与すると、無動時間が短くなることがわかっています。
          
<根拠3> 精神疾患に関与するキヌレニン代謝の異常
必須アミノ酸のひとつであるトリプトファンは、神経活動の情報を伝えて精神状態を落ち着かせるなどの重要な役割を持ちます。私たちが摂取したトリプトファンが体内で代謝される際、様々な代謝産物や酵素などがつくられますが、そのひとつにキヌレニンという物質があります。最近の研究では、キヌレニンが中枢神経系に作用して鬱病や統合失調症のような精神疾患に関係していることがわかってきました。
今回の実験では、LPSによってアトピーマウスの炎症を増強したところプライミング現象が起こりましたが、このときアトピーマウスの脳(海馬、前頭前皮質、扁桃体)では、キヌレニン代謝の速度を決める酵素(IDOやKMO)が有意に増加していました。この結果は、キヌレニン代謝異常による代謝産物の影響で鬱様症状が起こっている可能性を示しています。

▼アトピーで落ち込まない人生を送るために
今回ご紹介した研究からは、次のようなメッセージを受け取ることができます。
アトピー性皮膚炎の治療は皮膚とアレルギーの問題だけでなく、将来の精神・神経発達も含めた予防・治療を視野に含めることが重要。
脳神経の基礎研究を進めながら、小児科の臨床医でもある橋本興人先生は、乳幼児期にアトピーなどの慢性疾患によるストレスを蓄積しないことが大事であるといいます。そのためには、早い時期に小児科に相談して痒みのストレスから一刻も早く解放されるための治療が必要だと訴えます。
また、アトピー性皮膚炎など慢性疾患がもたらすストレスが脳にもたらす影響のメカニズムが分子レベルで明らかにされたことは、新たな予防法や治療法の開発につながってきます。現段階では詳細をお知らせするまでには至っていませんが、橋本先生も、新薬につながる様々なアイデアを試行錯誤している最中でした。
また今回の研究成果は、ストレスを減らすことがアトピー性皮膚炎を改善することの科学的根拠も示しているといえるでしょう。そうであれば、日常的な心持ちや生きる姿勢が症状に影響することは明白です。前向きにポジティブに生活することは、アトピーの症状改善に大きく影響するのです。
         
        
記事は以上となります。
アトピー性皮膚炎、というよりも、痒みによってストレスを感じることが、精神的な影響を与えることは興味深いところです。
適切なケアを心がけるようにして欲しいと思います。

                        
おまけ★★★★博士のつぶやき

最後に書かれておる「アトピー性皮膚炎など慢性疾患がもたらすストレスが脳にもたらす影響のメカニズムが分子レベルで明らかにされたことは、新たな予防法や治療法の開発につながってきます。」というところは、今後のアトピー性皮膚炎の治療の分野でもぜひ、役立てて欲しいところじゃの。

2021年2月23日

編集の北です。

 

 

 

 

 

 

 

                         
今日も、昨日の続きです。
         
         
●あとぴナビ・サイエンス(2021年春号より)
        
アトピー・ストレス・心の状態 その関係を明らかにする
                  
▼アトピーマウスはストレスを感じている?
            
この実験では、生後2日目から何回かに分けて皮膚炎を起こす薬品を塗ることで、生後30日頃にはアレルギー反応も伴う皮膚炎のあるマウスを育てました。マウスの寿命は大体2年ほどで、老化速度は人間の約30倍と言われています。したがって、生後30日のマウスは乳幼児と考えてよいでしょう。
生後30日のアトピー性皮膚炎モデルマウス(以下、アトピーマウス)にストレスが生じているかは、ふたつの指標によって判断しました。
          
<指標1> コルチコステロンの上昇
コルチコステロンとはマウスの副腎皮質から分泌されるホルモンで、人間の副腎皮質から分泌されるコルチゾールと同じものです。すでに説明した通り、コルチゾールはストレスに対抗するために分泌されるホルモンです。
人がストレスを受けると、脳の指令によりコルチゾールが分泌され、体は臨戦体勢をとることができます。たとえば、人前でスピーチをするとき、コルチゾール値は2~3倍に上昇するそうです。
次のグラフAをご覧ください。生後30日のアトピーマウスの血中ストレスホルモン量(血中コルチコステロン)を示しているのは、右の黒い棒グラフです。左(白)と中央(グレー)は皮膚炎ストレスのないマウスで、ストレスホルモン量の比較対象となるものです。このグラフが示すように、アトピーマウスの血液中において、ストレスホルモン量は明らかに上昇していることがわかります。
       
<指標2> 体重の減少
            
ストレスを感じると、脳は神経系に対して「交感神経を優位にしろ」と指令を出します。自律神経が交感神経と副交感神経のバランスによって機能していることは、ご存知の方も多いでしょう。交感神経は活動時や緊張時などに優位となりますから、ストレスに対抗する場合にも交感神経が興奮した状態が続きます。
 過剰なストレスでこの状態が長期化すると、リラックス状態をもたらし、消化吸収の促進にもつながる副交感神経が抑え込まれて、食欲不振や消化吸収能力が低下しやすくなり、体重減少につながります。
グラフBは、生後30日のアトピーマウス体重増加量(右側の黒い棒グラフ)を示したものです。左(白)と中央(グレー)の皮膚炎ストレスのないマウスと比べると体重の増加不良が認められ、アトピーマウスがストレス環境下にあることがわかります。
            
【実験の流れ③、④】
       
▼アトピーマウスに生じた脳内の炎症
        
ここまで、実験の流れ①、②についてお話してきました。これから流れ③、④について説明していきますが、ここからが本研究による新たな知見を示すものです。
マウスは生後50~60日くらいで繁殖を開始しますから、生後40日前後は思春期と考えられます。したがって、乳幼児期におけるアトピー性皮膚炎による思春期での影響を検証するために、生後40日のアトピーマウスの行動を解析したところ、健康なマウスと比べて特に違いはみられませんでした。
ところが、アトピーマウスの脳内の状態を調べてみると、健康なマウスの脳に比べて明らかな違いが認められたのです。脳ではミクログリアと呼ばれる免疫細胞が、脳内環境の監視を行っています。免疫反応とは、外部から侵入する異物を排除する働きです。侵入してきたウイルスや細菌などを攻撃する際に、免疫細胞は敵を食べたり攻撃しますが、その際には炎症反応などが起こります。
 また、免疫系では免疫細胞たちが暴走しないようにバランスをとる仕組みも多く備わっています。免疫が働きすぎると自己を攻撃してしまうことがあるからです(アレルギー性疾患や自己免疫疾患など)。免疫応答にブレーキをかける役割を持つ制御性T細胞は、免疫系のバランスを保つのに重要ですし、がん免疫療法でノーベル医学・生理学賞を受賞した本庶博士の研究も、PD-1という免疫を抑制する分子に着眼したものでした。
 CD200R1と呼ばれるタンパク質も、同様に免疫を抑制する機能を担っています。製品記号のような覚えにくい名称ですが、生後40日のアトピーマウスの脳を調べたところ、扁桃体でCD200R1が減少していることがわかりました(グラフC)。これはどういうことかというと、アトピーマウスの脳内でミクログリアが炎症作用を起こした場合、炎症が鎮まりにくい状態になっているということです。
          
         
今日は、ここまでにしたいと思います。
続きは明日です。

                       
おまけ★★★★東のつぶやき

ストレスが内分泌や自律神経に影響を与える以上、脳内への影響があっても不思議ではありませんが、その影響が炎症であることは、興味深いところです。
炎症は、サイトカインなどのたんぱく質にも関わりますし、記事にあるように制御性T細胞の働きにも関わってきます。
器質的にどのような影響があるのか、今後の研究に期待したいと思います。

2021年2月22日

編集の北です。

 

 

 

 

 

 

 

                    
今日は、昨日の続きです。
         
         
●あとぴナビ・サイエンス(2021年春号より)
        
アトピー・ストレス・心の状態 その関係を明らかにする
        
▼ストレスに対抗する体の仕組み
         
私たちの身体とストレスの関係も、ゴムボールのたとえ話と同様に考えることができます。ボールが適度な外部刺激(ストレス)を受けて、ゴムの柔軟性を維持しながら飛び跳ねている状態は健康な状態です。私たちも、自分にとって許容範囲のストレス(たとえば、やりがいのある仕事への挑戦も適度なストレスを受けていることになります)に対応することで、達成感や新たなモチベーションを得ることもできます。このようなストレスは、むしろ心身の健康に必要なものであり、一概にストレスを悪物と決めつけることはできません。
それでも、過度なストレスがかかり続けると、ゴムボールが凹んだままになったり破裂してしまったりするように、私たちの心身も耐えきれず病的な状態に陥ってしまいます。
当然ながら、私たちの体はゴムボールのように単純ではありません。神経系、内分泌(ホルモン)系、免疫系という生体維持のためのシステムが相互作用することによって人体はコントロールされています。このシステムをホメオスタシス(生体の恒常性=体に起こった変化を元に戻そうとする働き)と言いますが、その仕組みは非常に複雑です。
人がストレスを感じたとき、体ではどんな反応が起こっているのでしょう? まず、ストレスによる刺激(ストレッサー)は脳の中枢部にある視(し)床下部(しょうかぶ)に伝わります。すると視床下部は、ストレスに対抗するための指令を内分泌系と自律神経系に送ります。この指令によって様々なホルモンが情報を伝え、神経系が刺激されてストレスへの対抗処置がとられます。専門用語を使った難しい話は抜きにして、ポイントは脳から次のふたつの指令が出されることです。とりあえず、ここではこれだけを覚えておけばよいでしょう。
            
<内分泌系への指令> 
ストレスに対抗するために「副腎皮質ホルモン(コルチゾール)」を出せ
         
<神経系への指令>
ストレスに抵抗するために、交感神経を優位にしろ
          
▼アトピーと精神疾患の関係を解明する
          
アトピー性皮膚炎は、乳幼児期の代表的な皮膚疾患のひとつです。強い痒みが続くことが不快感や苦痛をもたらし、患者さんに過剰なストレスを与え続けてしまうことは疑いありません。さらに最近の大規模なコホート研究では、アトピー性皮膚炎が長引くことで、不安症、鬱、自閉症、ADHD(注意欠損多動性障害)といった精神性の障害が生じやすくなるという報告もあります。
コホート研究とは特定の集団を追跡観察することで、その集団がかかりやすい病気を統計的に明らかにする方法です。たとえば、喫煙習慣のあるグループと喫煙習慣のないグループにわけて何年にもわたって追跡調査を行い、肺がんになる確率がどちらのグループで高くなるのかがわかります。この研究手法によって事実(たとえば喫煙すると肺がんになりやすいという事実)を示すことはできますが、その因果関係やメカニズムを解明するまでには至りません。
そこで、国立精神・神経医療センターの橋本先生らは、アトピー性皮膚炎と精神疾患の因果関係を解明する実験研究に着手しました。最初に、実験の大まかな流れを把握しておきましょう。
         
<実験の流れ>
①アトピー性皮膚炎のモデルマウス(乳幼児)を用意する
②モデルマウス(乳幼児)にストレスが生じているかを確認する
③成長したモデルマウス(思春期)の脳の状態を調べる
④脳内で起こった変化と鬱症状の関係、精神・神経発達への影響を調べる
         
乳幼児期のマウスに人為的に皮膚炎を発症(アトピー性皮膚炎に近い状態)させて、成長後の脳の状態を調べたのは、脳内の神経や細胞が精神疾患に大きく関与しているからです。詳細については順を追って説明していくことにしましょう。
       
   
実験の結果を含めた続きは明日に続きます。

                      
おまけ★★★★南のつぶやき

ストレスは、内分泌系や自律神経に対して影響を与えることが分かります。
アトピー性皮膚炎にとって、この内分泌や自律神経は症状にも影響を与えますので、注意が必要でしょう。