2019年7月22日

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

                          
昨日の続きで、「掻くことが正義」という意味合いについてみていきましょう。

交流会に参加された方からは、なぜ「掻くことが正義」という発言が出たのでしょうか?
それは、「痒みを我慢しろ、と言われても我慢できないこともある」「痒みを我慢し続けることで、逆に痒みが増える」など、強い痒みに対しては、必ずしも「掻かない」ことが正しいのではないのではないか、という疑問からです。
おそらく、長年、アトピー性皮膚炎で悩んでこられた方は、この「掻かないことが必ずしも正しくない」という思いは、多少なりとも抱いているのではないでしょうか?

確かに、皮膚のバリア機能の観点からみれば、「掻くこと」は、マイナスの要因が多くなります。
しかし「掻くこと」が皮膚にとって、プラスの要因がないのか、というとそうではありません。

基本的に、生体にとって「症状」は必ず意味を持っています。「痒み」も例外ではありません。
「掻き始め」が気持ちよく感じることがあるのも、「掻き続ける」ことで痛みを生じるようになることも、そして掻くことで皮膚に付着した異物を取り去る、という働きも、それがプラスとマイナス(掻き壊しによるバリア機能の低下)でみた場合、マイナスの影響の方が強くても、プラスの効果を求めて体が「要求している」部分があるのです。

もちろん、だからといって、アトピー性皮膚炎の方に無作為にどんどん「掻きましょう」ということではありません。掻くことで生じるバリア機能の低下は避けることができない以上、「掻かない」ことは大切なことです。

ただ、アトピー性皮膚炎の方が、周囲の無理解を感じる言葉の一つに、「掻いちゃダメ」という言葉があります。
「掻く」という行為は一律の行為ではありません。
長く掻く、掻きむしる、深く掻く、など肌にダメージを強く与えるような掻き方もあれば、なるべく「優しく掻く」「短くサッと掻く」という方法もあるはずです。
繰り返し襲う痒みの場合、「優しく掻く」「短く掻く」というのは、どうしても無理なことがありますが、「掻くことで得られる満足感」は、掻くことによるバリア機能の低下、という代償の大きさと比較して、決して「無駄」と言いきれることはありません。

難しい問題ですが、「掻くことへの理解」そして、「掻くことが正義」のシーンもあることを、周囲の方にはぜひ知って欲しいと思います。
掻き壊しを望んで掻いているアトピー性皮膚炎の方はいません。
でも、掻き壊しで涙したとしても、それでも掻かざるを得ない痒み、というのもあるのです。

そして少なくとも掻くことは「絶対悪」ではありません。
掻くことが「辛い」と感じているのであれば、掻くことに対して「罪悪感」を感じることはありません。

今回、交流会に参加いただいた方から出た「掻くことが正義」という考え方に触れた時、それを医者の前、そして家族の前では「言えない」もどかしさのようなものを感じました。
社会全体が、アトピー性皮膚炎の「痒み」に対して、正しい理解をしてくれることを望みたいと思います。
また、アトピー性皮膚炎の方にも、「掻くこと」に対して常に後ろ向きになる必要はないことを知っておいて欲しいと思います。

                             
おまけ★★★★博士のつぶやき

「掻くことが正義」という言葉だけをとると、「掻いた方が良い」と考える方もおるかもしれんが、掻くこと自体は、肌にとって「負荷」になる。
したがって「掻いた方が良いこともある」というように捉えた方が良いじゃろう。
アトピー性皮膚炎に対して、もっと理解のある社会環境を望みたいところじゃ。

2019年7月21日

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                             
あとぴナビのメルマガで、先週公募した、よしもとのお笑い芸人、麒麟の田村裕さんとあとぴナビの読者の方との交流会が、7/17(水)に、東京駅近くの会議室(フクラシア八重洲)にて行われました。
交流会の模様は、現在、動画やWebの記事をご覧いただけるように準備しております。
8/1(木)より、編集が終わった記事から順次、アップする予定です。

今回の交流会では、読者の方、田村さんともに、さまざまな「アトピー性皮膚炎でお悩みの方の本音」をお聞きすることができました。
その中で、一つ、興味深い「テーマ」がありました。
それは「痒み」に関するテーマです。

アトピー性皮膚炎の方なら、誰しもが分かっていることですが、繰り返し襲ってくる痒みは、健常な方では想像ができない「辛い」ものです。

「掻いても掻いても、痒みが次から次へと生まれてくる」
「皮膚を掻いても、骨が痒い感じで、掻いた気がしない」
「掻きすぎて、傷だらけになって痛みを伴っても、まだ掻きむしってしまう」
「両手を使って届く範囲を掻いて、背中は柱の角に擦りつけて掻いてしまう」

こうした激しい痒みは、実際に経験したことがないと、想像はできても、その「本当の辛さ」は分かりません。
本来、痒みとはヒトの「感覚」です。
皮膚が痒くても、実際に「痒い」と感じているのは「脳」で判断しています。
そして、そういた肌から伝わる情報は、優先順位があることが分かっています。
ヒトの体が得る感覚で、もっとも重要なのは生体維持の判断にも関わることがある「痛み」です。
そのため、「痛み」と他の感覚、例えば「痒み」が同時に生じると、痒みの感覚に痛みの感覚を上書き、「痛み」を優先して脳に伝えようとすることが分かっています。

アトピー性皮膚炎の方でも、痒いときに、その部分を叩くことによる痛み、あるいは頭皮が痒いとき髪の毛を抜く痛みで、痒みを紛らわそうとした経験をお持ちの方もおられると思います。
実際、こうした痛みを皮膚に与えることで、痒み自体の感覚が薄れることがあります。

しかし、アトピー性皮膚炎の状態が悪くなってくると、こうした「痛み」の感覚で上書きができないほど、強い痒みに襲われることもあります。
その猛烈な痒みは、体全体に震えが生じて動くことができなくなり、うずくまって両手で「ゴリゴリ」と肌を削るように掻きむしるしかなかった、と表現された方もおられました。

このように、アトピー性皮膚炎の痒みとは、「耐えがたい痒み」であり、その痒みは経験したことがない人が正しく理解できないのも無理はありません。
ところが、アトピー性皮膚炎患者の痒みに対する医師の「アドバイス」は「掻くな」というケースが多いのが現状です。
もちろん、皮膚のバリア機能を考えた場合、掻くことで角質層がダメージを受け、水分保持能力が低下、さらにバリア機能を低下させて、アトピー性皮膚炎の症状を「悪化」させていることは確かです。
そのため、医師の治療自体も「掻かない」ためにどうすればよいのか、という主眼において選択されることが多く、必然的に「痒みを抑える」ためのステロイド剤やプロトピックなどの薬剤による治療が中心となります。

つまり、アトピー性皮膚炎治療において、「掻く」という行為は「悪」であると考えられているわけです。
お子さまのアトピー性皮膚炎に対して、「掻いちゃダメ」と反射的に口に出てしまう経験をお持ちの方もおられるでしょう。これも「掻く」ことが肌の状態を悪くさせてしまう、との思いからです。

ところが、このアトピー性皮膚炎の痒み対して、今回の交流会に参加された皆様からは、「掻くことが正義」という発言が出ました。
なぜ「掻くことが正義」となる面があるのか、続きは明日にしたいと思います。

                     
おまけ★★★★大田のつぶやき

アトピー性皮膚炎の痒みの辛さは、アトピー性皮膚炎でない方には理解できない、ということは述べましたが、その逆も然りです。
アトピー性皮膚炎の家族が抱く辛さを、アトピー性皮膚炎の患者自身が正しく分かっていない、というケースもあります。
支えあう環境にある家族は、できるだけ相互の状況を把握できるように努力してほしいですね。

2019年7月20日

ショウゴです。

 

 

 

 

 

 

                    
今日は、このブログでも、ときどき取り上げている「衛生仮説」の記事がWebに出ていたので紹介するね。
          
         
●清潔だとアレルギーになりやすい?「インハンド」に登場の「衛生仮説」とは
https://news.yahoo.co.jp/byline/horimukaikenta/20190712-00133843/
          
「インハンド」というドラマでは、「衛生仮説」をテーマに話が展開されていました。
山下智久さんが主演された「インハンド」というドラマをみていて、微生物学のエキスパートの役柄である山下さんが「衛生仮説を知っておられるんですね」と発言している場面がありました。
そしてその後、このドラマの主軸に「衛生仮説」が据えられ、重要なテーマのひとつとして展開されていきました。
この『衛生仮説』ってなんだろう?
という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

「衛生仮説」は、もともとは1989年に英国の疫学者ストラカンが提唱した概念です。
ストラカンは、1958年のある週に出生した英国の小児17414人を23年間観察していった結果を報告し、生まれたときの上のきょうだいの数が多いほど花粉症や湿疹が少ないことを示しました。
そしてその理由として、「きょうだいからの感染症が多くなる環境だとアレルギーが少ないのではないか」と推測したのです(※1)。
この元論文は、表も含めても1ページ足らずの極めて短いものでしたが、「衛生的な環境になるほどアレルギーが増えるかもしれない」という「衛生仮説」の最初の報告となったのです。

これまで「衛生仮説」は、感染症がへることでTh2(アレルギーに関与する細胞群)に傾きやすくなるという、『Th1/Th2バランス説』で説明されていました。
Th1/Th2バランス説はやや古典的な考え方ではありますが、現在でもある程度通用する概念です。
しかしその後、Th1(感染症を繰り返すと上がると考えられている細胞群)に関連する疾患であるクローン病なども増加していることを説明できないため、矛盾もあることがわかっています(※2)。
しかし、この衛生仮説に関しては誤解が多く、一般向けの記事などでも「え?ほんと?」と言いたくなるような言説を耳にします。
衛生仮説をそのまま現実的な医療に適応することは難しいのです。

例えば、「動物園にいったほうが、アレルギーになりにくいんですよね?」という質問を受けることがあります。
しかし、たまに動物園に行った程度では有効性はまずないと考えられます。
そしてまた、「不衛生な環境ではアレルギーの発症を減らすなら、”掃除をしない”ほうがアレルギーにはいいですか?」という質問をうけることもあります。
しかし「掃除をしない」はアレルギーを減らすとは言えないと考えられます。
こんがらがってきますよね。
そう、「きれいにしたらアレルギーが増える」という一文で衛生仮説を理解しようとすると、うまくいかないのです。

最近のいくつかの報告を御紹介しましょう。

米国国民健康栄養調査調査(National Health and Nutrition Examination Survey)に参加した数千万人のデータを確認すると、イヌにアレルギーのある喘息患者において喘息発作の44.2%がイヌアレルゲンへ強くさらされて起こり、ネコにアレルギーのある患者の喘息発作の30.3%は、ネコアレルゲンへ強くさらされて起こっていると推定されています(※3)。
一方で、酪農家で育った子どもは、喘息を発症するリスクが減ることが報告されています。
たとえば、スウェーデンの前向きコホート試験に参加した4777人に対する検討では、4歳時に家畜と農場で生活するとアレルギー性鼻炎の発症するリスクがおよそ半分になっていました。
そして特に、4歳から12歳まで継続的に農場で生活すると、その関連はさらに強くなったのです(※4)。
農場の近くで長く生活することが喘息やアレルギー性鼻炎をへらすかもしれないとまとめられるでしょう。
これは、ペットがだめで家畜がいいという意味ではなく、農村部で育てられた子どもは家畜の周辺に増える微生物にさらされたためではないかと考えられるようになってきています(※5)。
すなわち「動物そのものに強くさらされるからではなく、動物が多い環境には微生物が多く存在するため」、喘息やアレルギー性鼻炎が減るということです。

では、微生物のなにが、アレルギー予防に働いたのでしょうか?

酪農業そのものだけではなく、その周辺の微生物が多い環境で、しかもその細菌から放出される「エンドトキシン」という毒素の量が、喘息を予防するということが明らかになってきています(※6)。
では、エンドトキシンが多い環境だと、なぜ喘息の発症リスクが減るのでしょうか?
その理由として、最近、ユビキチン修飾酵素A20という特殊な酵素の報告がなされています。
そこでは「少量」のエンドトキシンをマウスの気道上皮に「慢性的に」作用させると、ユビキチン修飾酵素A20が出てきて、アレルギー体質になることをブロックし、喘息発症を抑制したという結果になっています(※7)。
ここで重要なのが、エンドトキシンへさらされた方法が「慢性的に」「少量」だったということです。
ですので、「たまに(慢性的にではない)」農場にいくでは有効とはいえないでしょう。
しかし、エンドトキシン量が高いということは細菌も多い環境ということです。
すなわち感染症も多くなり、乳児死亡も間違いなく増えるでしょう。

衛生仮説がそのまま日常診療に応用しにくいのはそういった理由です。

そして、掃除をしない不衛生な環境と、衛生仮説でいう不衛生な環境が異なることはもうおわかりでしょう。
掃除をしないというホコリやダニが多い環境と、エンドトキシンが多い環境は「まったく別の不衛生さ」なのです。
と言うことで、「動物園にいったほうが、アレルギーになりにくいんですよね?」という質問への答えはこんなふうになります。

「エンドトキシンへさらされて喘息を予防する場合、“慢性的に”“少量”で行う必要なので、“たまに”動物園に行った程度では有効性はまずないでしょう」になるでしょう。

では、「不衛生な環境ではアレルギーの発症を減らすなら、アレルギーを予防する目的で“掃除をしない”ほうがいいですか?」という質問への答えはどうなるでしょう。
その質問には「不衛生な環境とはエンドトキシンが多い環境をいいます。ですので、ホコリやダニが多い環境と同じ意味ではありません。ですので“掃除をしない”がアレルギーを減らすとは言えません」というお答えになるでしょう。
衛生仮説はとても興味深い仮説で、さまざまな研究結果があるのですが、実生活に応用するのはなかなか難しい面があります。
ドラマ「インハンド」は、その難しい衛生仮説を(ちょっと無理な部分も含め)、面白く料理してドラマに仕立てているのが印象的でした。山下智久さんも役柄にあっていましたし、シーズン2が制作されないかなあと私も思っています。

                          

ドラマは見たことがないけど、一般の方にも、衛生仮説の考え方が広まるのは良いことかもね。
最近は「抗菌」することが正しい、というCMも見かけるけど、人は菌との共生で生活出来ている面も多いことを忘れてはならないだろうね。

                    
おまけ★★★★南のつぶやき

記事にも書かれていますが、不衛生な環境が望ましい、ということではないこと、反復継続して暴露されることが必要なことは大きなポイントになるでしょう。
健康な生活は、衛生的な環境の上に成り立ちますが、その「衛生的」とは「不潔」を指すのではない、ということですね。

2019年7月19日

ジョシュアです。


 

 

 

                 

 
少し夏に近づいてきたようですが、まだまだ天候は安定しませんね。
梅雨の時期の、痒みの要因には、しっかり対策するようにしましょう。
今日は、あとぴナビで人気のスキンケアアイテム、プルルジェル+Dを3名様にプレゼントします。
       
            
                   
           
  
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また、従来のプルルジェルはチューブタイプでしたが、プルルジェル+Dは、スパチュラ付のジャータイプ。最後まで残さず取り出せます。必要な量だけスパチュラで取り分けられるので、より清潔に、お使いいただけます。

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◆必要事項
メールの件名に「プレゼント応募」と記入して、本文には、ご応募者の方の郵便番号、住所、氏名、年齢、電話番号を明記して送信してください。
当選者発表の際は、県名、お名前(フルネーム)、年齢で発表しますので、気になる人はペンネームも書いて下さい。
 

◆締め切り
7月28日(日)を締め切りとさせていただきます。
 
 
◆抽選&発表
7月30日に抽選します。
当選者の発表は、8月1日のブログにて!

 

◆注意事項
応募のメールはお一人様、一通のみとさせていただきます。
また、お名前、ご住所などの必須事項は忘れずに!

   
じゃあ、またね!

                       
                     
おまけ★★★★ジョシュアのつぶやき

プルルジェル+Dは、重ね塗りに最適な保水のアイテムです。
お気軽にご応募くださいね。

2019年7月18日

ジョシュアです。
 
  
  
  
  
  
 
 
 
                    
 
 
 
 
 

今日は、7月5日のプレゼントの当選者の発表です!
いつもの通り、県名、お名前(ペンネーム)、年齢を表記しますので、チェックしてね!!
         
       
         
◆プレゼント
緑茶シャンプー(詰替用)を、詰替容器をセットで抽選で3名様に
            
          
 
              
           

発表です!
当選者の方は、次の方々です!
          
     
宮城県 平野有希さん(33)
埼玉県 あとぴっこさん(47)
香川県 キクチカズミさん(54)
    
         
        
         
            
           
        
        
以上、3名の方が当選しました!
おめでとうございました!
        
         
商品の発送は、来週中の予定です。
お楽しみに!!

                        
おまけ★★★★ジョシュアのつぶやき

明日も僕が登場です。
お楽しみに。

2019年7月17日

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

                      
今日は今回のテーマの最後です。

昨日は、医学や薬の研究とは、「利益」につながるかどうかが、大きな基準となっていると述べました。
医学の研究は、それを実証するための臨床試験など、膨大な時間と、そして膨大なコストを必要とします。
一つの効果が認められた薬剤があったとしても、その薬剤が同時に生命に影響を与えるような強い副作用を持っていたのでは使用することはできません。
そして、そうした副作用を持たないこと、つまり安全性の検証には、相当な時間を要します。

世界中には数多くの薬剤を研究する機関が存在しています。
製薬メーカーだけでなく、製薬メーカーの依頼を受けた大学機関なども該当します。
そして、毎日数多くの発見がなされ、その中で生き残るのは「利益を生む研究」が優先されることになります。
もちろん、利益を度外視した研究もありますが、それは、その研究を支える費用を「誰かが負担してくれる」ことが絶対条件となります。
シャーレで菌の培養を行うのでも、シャーレ代、寒天代、培養するための装置、そしてその装置を動かす電気代など、数多くの備品と費用が発生します。

以前、あとぴナビで神戸大学と、アトピー性皮膚炎の方のバリア機能に対する「育菌」をテーマにした共同研究を行ったことがあります。
その研究では、黄色ブドウ球菌を死滅させ、同時に表皮ブドウ球菌を増やす、スキンケアの物質がないのかを調べました。
1回で約300枚のシャーレを使って、さまざまなスキンケアの原料を菌を植えた培地に塗布、繁殖状況を調べたのです。
おおよそ、2年ほどかけた研究の間に使用したシャーレは1万枚を超えました。

私たちは、こうした「医療の開発の現実」にはあまり目を向けず、医療とは「善」の中だけで進んでいると考えます。
少し悲しい話ですが、医療の進展には「人為的な選択要素」が働く、ということです。

仮に耐性菌の問題があったとしても、製薬メーカーは「耐性菌を生まない薬の研究」よりも、「耐性菌に効果がある薬の研究」を優先するでしょう。なぜなら、耐性菌の問題からは、もう逃れることができない状態にきているからです。
つまり、「患者」という「市場」から求められるのは、耐性菌に効く薬剤ですので、「将来への研究」ではなく、「今、必要な研究」を優先することなります。
これは、決して間違いではありませんが、耐性菌に効く薬剤の研究は、次の耐性菌を生む土壌とも言えます。少し極端な言い方をすれば、「マッチポンプ」のような状況です。

いったん、耐性菌の問題がリセットされたなら、「耐性菌を生まない薬の研究」も加速がつくのでしょうが、今は、直近の利益を生むであろう研究がどうしても優先されてしまう、という現状があります。

アトピー性皮膚炎も、ステロイド剤の問題、プロトピックの問題など、薬剤が抱える問題はいくつもありました。そして、これからもその問題は、なくなることはないでしょう。
「今だけを見た治療」で考えるならば正しい治療であっても、それが将来を見渡した上で考えると、必ずしも正しくなかった、という治療は存在します。
しかし、そうした治療は、時間がたってはじめてわかることです。
その治療が標準的に行われている段階では、気が付いていなかった、というのは過去の事例でいとまがないでしょう。

今回は、耐性菌の話題があったので取り上げましたが、病気の治療を「薬剤」で行う、今の体制は、将来に向けた問題を抱えている場合があることを忘れてはならないでしょう。

                       
おまけ★★★★博士のつぶやき

病を治すのは、自分の体自身しかない。
薬や手術、ケアもそうじゃが、あくまで自分自身で治していくための「手助け」に過ぎん。
そうした「手助け」を、どのような視点で選択していくのかは、見極める「目」を持ちたいものじゃの。

2019年7月16日

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                      
今日は、抗生物質の開発上の問題を考えたいと思います。
            
          
●抗生物質が効く時代はあとわずか……医療を追い詰める耐性菌に反撃せよ
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190705-00010000-newsweek-int&p=1
             
▼「製薬の経済モデルは破綻している」
              
ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(ボストン)は耐性菌の感染者に緊急措置として抗体と抗生物質を混ぜて注射したと報告したが、結果は明らかにしていない。これ以外には、抗体を用いた実験的治療の報告はないに等しい。また耐性ブドウ球菌などに効くワクチンを開発する動きもあるが、実用化には遠い。
「抗生物質によらない治療は研究が始まったばかり。気長に取り組んでいかなければならない」と、コネティカット大学医療センター感染症予防科のデービッド・バナクは言う。
事態は切迫しているのに、なぜ有望な対策をもっと速やかに試験し、実用化しようとしないのか。
資金がないからだ、とタフツ医療センターのバウチャーは言う。政府は研究に巨額を投じているが、研究を医薬品の製造につなげる民間投資が足りていない。何百万回も処方されるとも1錠当たり何万ドルという値段が付くとも思えない新薬の製造に、製薬会社は消極的だ。バウチャーに言わせれば「製薬の経済モデルが破綻している」。
耐性菌が相手でなければ、抗生物質には文字どおり奇跡的な効き目がある。しかし、それに頼り過ぎたことに問題の一端はある。何十年も前から、中耳炎や咽頭炎にも抗生物質が使われてきた。手術後の感染予防にも使われている。その間に細菌は突然変異を起こし、薬剤耐性を獲得してしまった。そうした細菌の拡散と感染を防ぐには、抗生物質だけに頼らない全体的なアプローチが求められる。
複数の方面からのアプローチが必要だと、専門家も強調する。迅速に細菌を特定して隔離などの予防策を取り、特定の細菌をターゲットにした薬物を投与できれば、感染症の集団発生を防ぎ、遅らせることもできよう。そこで求められるのが、患者とその周辺にいる細菌の遺伝子を速やかに、低価格で特定する検査手法の開発だ。
「病院に来る人を片っ端から遺伝子レベルでスクリーニングするわけにはいかない。干し草の中で針を探すような無駄骨だ」とシェノイは言う。「ハイリスクな患者を早めに選別できれば、適切な処置ができる」
病院で耐性菌をより効果的に封じ込める方法も研究されている。アメリカの病院では、患者のおよそ5%が院内感染の被害に遭う。病院は免疫力の低下した病人が集まる場所なのだから、驚くには当たらない。医師や看護師はさまざまな傷に指や器具で触れ、その器具は院内で使い回されている。
院内感染が増えた背景には、高齢者の増加と医療の進歩がある。ジョンズ・ホプキンズのゼニルマンが独自に調査したところ、患者の半数以上がペースメーカーや人工歯根など何らかの医療器具を体に埋め込んでいた。こうした「インプラント」は感染症の温床になりやすい。
         
(以下、省略)
          
            
全文は長いので、興味のある方は、リンク先でご覧ください。
一般の人は、医学や薬の研究は、ヒトに対して有益であるかが開発の絶対条件と考えています。
もちろん、理念からいえば、それは正しいのですが、開発の現場が優先しているのは「利益を生むのか」です。少し表現を悪くすれば、「金にならない研究は進まない」と言えます。

少し話が長くなるので、続きは明日にしたいと思います。

                      
おまけ★★★★東のつぶやき

私たちの「常識」は、私たちから見た「常識」でしかないことが多々あります。
医学の現場も同様です。
願わくば、ヒトに対して全般的に利益が享受できる「常識」が一般化することを望みたいところです。

2019年7月15日

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                     
今日も昨日の続きです。
            
          
●抗生物質が効く時代はあとわずか……医療を追い詰める耐性菌に反撃せよ
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190705-00010000-newsweek-int&p=1
          
▼「抗生物質は核爆弾投下と同じ」
                 
細菌を殺すウイルスはファージ(正式にはバクテリオファージ)と呼ばれる。ファージはタンパク質に包まれた遺伝情報物質で、細菌の細胞膜を突き破って侵入し、相手の遺伝系を乗っ取り、自らを複製・増殖させる。ライリーはまた細菌が抗菌活性のあるタンパク質(バクテリオシン)を産生して仲間をやっつける仕組みも研究している。
ライリーの目標は危険な細菌を殺すことだけではない。有益な細菌を守ることも視野に入れている。人体の内部や表面に常在する細菌はおよそ400兆個。その大半が有益・無害で、ライリーによると、有害なものは1万分の1%くらいだという。
しかしペニシリンやテトラサイクリンのような在来の抗生物質は、細菌の種類を区別せず、全てを殺そうとする。だからこそ細菌は、生き残りを懸けて耐性を獲得するわけだ。
「感染症で抗生物質を使うのは戦争で核爆弾を使うのと同じ」だとライリーは言う。「それは人体の常在菌を半分以上も死滅させる。有益な細菌が不足すると、肥満や気分の落ち込み、アレルギー体質になりやすい」
一方、ファージやバクテリオシンは(少なくとも理論上は)有害な細菌だけを攻撃できる。無害な細菌まで殺すことはなく、耐性菌が生まれやすい環境をつくり出すこともない。
バイオテクノロジー企業のイミュセル(メーン州ポートランド)は、乳牛の乳腺炎治療に使えるバクテリオシンを開発した。この病気によってアメリカの酪農業界は年間約20億ドルの損失を被っている。ライリーによれば、実験室レベルでは今でも、ファージやバクテリオシンを操作すれば、ほとんどの病原菌に対抗できる。しかも「いずれも20億年前に出現した殺しのメカニズムだから、化学的に安定している」。
ファージを用いた治療法の臨床試験はジョージア(グルジア)やバングラデシュでも行われている。欧米では足の潰瘍の治験で良い結果が出ている。より深刻な病気はまだ治験対象になっていないが、17年に米食品医薬品局(FDA)が特別に認めた多剤耐性菌による感染者のファージ治療が成功し、全米の研究者への刺激になった。
今後は多剤耐性菌による結核や嚢胞性線維症に伴う肺感染の治験が行われる可能性があるという。一方でバクテリオシンの研究はファージほど進んでいない。米政府はこうした研究に20億ドルの支援を約束しているが、「全く足りない」とライリーは言う。
癌の治療では患者の免疫力を高める方法が注目されているが、この免疫療法も耐性菌との戦いに応用できる可能性がある。既に牛などの動物の体内で人間の抗体を作り出す手法が確立されていて、これを患者に注射する治療も考えられる。
            
             
記事では、「感染症で抗生物質を使うのは戦争で核爆弾を使うのと同じ」と書かれていますが、あながち大げさな表現とは言えないでしょう。
菌は必ずしも有害なものばかりではありません。
皮膚も、本来は無害な菌が細菌叢を形成、バリア機能の一部として機能しています。
抗生物質は、有害、無害を問わずに菌に影響を与えますので、無害な菌がどのように「成長」するのかは、誰も検証したことがない「未来の鎖」のようなものと言えるでしょう。

明日は、菌に立ち向かう「抗生物質」の開発上の問題を見ていきましょう。

                      
おまけ★★★★西のつぶやき

昨日のおまけでも書いた通り、皮膚の「健康」には皮膚に共生している「菌」が重要な役割を果たしている。
有害な菌を死滅させるために、皮膚の健康に関する「守り」を失うことは、ある意味、大きな「賭け」のような側面もあるのだろう。
「核爆弾」、つまり良い菌も悪い菌も、すべてを駆逐するのは、考えさせられる。

2019年7月14日

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                     
今日は、昨日の続きです。
            
          
●抗生物質が効く時代はあとわずか……医療を追い詰める耐性菌に反撃せよ
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190705-00010000-newsweek-int&p=1
          
▼耐性菌の驚くべき進化スピード
           
現時点で耐性菌の犠牲になりやすいのは高齢者や体力の弱った患者だが、リスクは広がっている。「膀胱炎や皮膚炎を患う若い患者でも、今は抗生物質を出せない場合がある」と、タフツ医療センター(ボストン)の感染症専門家ヘレン・バウチャーは言う。「このままだと臓器移植も、人工関節置換術などの一般的な手術もできなくなる。みんなが心配するべきだ」
専門家が期待を寄せるのは、感染症対策の全く新しい戦略だ。抗生物質を使わずに細菌を殺す方法はどこにあるのか。ウイルスや魚類の分泌する粘液に注目する人もいる。地球外の物質に期待する人もいる。
病院など、細菌の拡散しやすい場所での除菌・殺菌法の再検討も進んでいる。私たちの体内や病院の院内にいる細菌をコントロールするには、もっと全体的なアプローチが必要だ。
時間は限られている。脅威の耐性菌がゾンビの軍団のように押し寄せてくる前に、私たちは新しい武器を用意できるだろうか。「今までとは違うアプローチに巨額の投資をすべきだ」。マサチューセッツ大学で薬剤耐性を研究するマーガレット・ライリーはそう言い、こう続けた。「本当は15年前に始めるべきだったが」
耐性菌の問題の1つは、その進化の速さだ。人間は生後15年ほどでようやく繁殖能力を持つが、大腸菌は20分で2倍に増殖する。人類には何百万年もかかる進化をわずか数年で成し遂げ、薬剤への耐性を獲得してしまう。
抗生物質を投与された人体は、それらが進化するための完璧な舞台というわけだ。マサチューセッツ総合病院のシェノイは「新しい抗生物質が使われると、約1年後にはそれに耐性を持つ細菌が現れる」と言う。
もっと新しい抗生物質を見つけるのは大変だ。そうした新薬の開発には約20億ドルの費用と少なくとも10年の歳月が必要になる。完成しても爆発的に売れるものではない。「新しい抗生物質は使う量も回数も抑えなければいけない」と、ジョンズ・ホプキンズ・ベイビュー医療センター感染症科(ボルティモア)のジョナサン・ゼニルマンは言う。つまり、製薬会社が元を取れる保証はない。
だから専門家は別のアプローチに期待を寄せる。例えば、生物進化のプロセスに詳しい生物学者との協力だ。マサチューセッツ大学のライリーは1990年代にハーバード大学とエール大学で、ウイルスが細菌を殺したり、細菌同士が殺し合ったりするメカニズムを研究していた。2000年に同僚から、それを医療に応用できないかと質問された。
「考えたこともなかったが、そう言われて初めてひらめくものがあった」とライリーは言う。以来、彼女は今日まで、ウイルスの殺菌戦略を耐性菌対策に応用する方法を模索してきた。
             
              
抗生物質と耐性菌の問題は、昔からありました。
それは「いたちごっこ」で、どちらかが「リード」すると、わずかな期間でもう片方が追いつき、そして追い越す、それを繰り返してきたと言えるでしょう。
菌も一つの生命体です。
自己を「守るため」、薬剤などから「身を守ろう」とするのは自然の働きによるものといえるでしょう。
その身を守ろうとする働きは、菌そのものが存在をあきらめない限り続きます。
一方、対抗する薬剤の方は、常に「新しい」何かを発見するしかありません。
もし、「新しい何か」がつきれば、あとは「強力化したした菌」に蹂躙されることになります。
ヒトの生命を飛躍的に伸ばしたのは、ペニシリンから始まる抗生物質の開発によるものであることは確かですが、いずれ訪れる「デメリット」にはしっかり目を向けておくことも大切なのでしょう。

明日も記事の続きを紹介します。

                         
おまけ★★★★西のつぶやき

ヒトは自己の生存には敏感だが、微生物の存在には、目に見えないこともあり、無頓着な側面があるようだ。
ヒトの皮膚に「共生」している細菌が皮膚のバリア機能になっていることが分かっていても、その細菌の姿が見えない分、共生している有益な菌を「大事にする」ことをあまり考えない。
ヒトの健康の大部分を、こうした微生物が支えていることは忘れてはならないだろう。

2019年7月13日

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                   
今日は、アトピー性皮膚炎とは直接的な関係がないのですが、気になる記事を見つけましたので紹介します。
記事の全文は長いので、何回かに分けて解説したいと思います。
            
          
●抗生物質が効く時代はあとわずか……医療を追い詰める耐性菌に反撃せよ
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190705-00010000-newsweek-int&p=1
          
▼<猛烈な勢いで耐性を付けた病原体には打つ手がない—-安易過ぎる抗生物質の多用が人類の危機を招いている>
               
大腸菌の特異な変異体のせいで体調を崩した患者が4人いる──米コロンビア大学(ニューヨーク)のアービング医療センターがそう発表したのは今年1月のこと。世間では話題にもならなかったが、感染症の専門家の間には衝撃が走った。
大腸菌は誰の体内にもたくさんいるありふれた細菌で、私たちの腸内にいる限りは無害だが、食物や指などを経由して血中に入れば私たちの命を冷酷に奪う変異体になることもある。抗生物質が効かなければ、感染した人の半数が2週間以内に死亡する。
だからこそ、コロンビア大学で見つかった大腸菌には慎重に対処しなければならない。ここ10年、20年で、大腸菌は次から次とさまざまな抗生物質への耐性を獲得してきたからだ。
残された唯一の希望はコリスチンという抗生物質だが、あいにく強い副作用があり、腎臓や脳にダメージを与える恐れがあるため、誰にでも投与できるものではない。しかもコロンビア大学で見つかった大腸菌ではmcr-1遺伝子に突然変異があり、なんとコリスチンへの耐性も獲得していた。
「こうなると、もう有効な抗生物質は残っていない」。そう言ったのはマサチューセッツ総合病院感染症科感染管理部門のエリカ・シェノイ。「これに感染した患者には打つ手がない」
奇跡の薬と呼ばれたペニシリンが第二次大戦で多くの兵士の命を救って以来、既に100以上の抗生物質が発見され、そのどれもが臨床現場で使われてきた。しかし、もう新しい抗生物質を探すだけでは足りない。
大腸菌だけでなく、ブドウ球菌などでも次々と抗生物質の効かない耐性株が登場している。ある研究によれば、07~15年で耐性菌の感染による死亡者数は5倍になったと言われる。最近もニューヨークとシカゴの病院で、薬剤耐性を持つ真菌カンジダ・アウリスが確認された。これに感染した患者の半数は90日以内に死亡するという。
米疾病対策センター(CDC)の推計によれば、主要な抗生物質に対する耐性を持つ細菌または真菌に感染する患者は全米で年間約200万人。うち2万3000人が死亡している。
「実数はもっと多いだろう」と言うのは、感染管理疫学専門家協会(APIC)を率いるカレン・ホフマン。「多剤耐性菌に関するまともな報告制度」がないので「感染の実態は把握できていない」そうだ。
耐性菌の脅威は今後も増す一方だろう。WHO(世界保健機関)の予測では、耐性菌による死亡者数は世界全体で今は年間70万人程度だが、50年までには1000万人に達するという。そうなれば耐性菌は癌や心臓疾患、糖尿病などを凌駕して、人類にとって最大の死亡原因となる。
抗生物質の登場前は、小さな切り傷や虫歯、些細な手術でも、感染症による死につながるリスクがあった。ペニシリンに代表される抗生物質のおかげで、そんな状況は一変したのだが、もはや抗生物質が奇跡の特効薬である時代は終わったようだ。
          
            
抗生物質と耐性菌の話題は、このブログ内でも何度か取り上げてきましたが、事態は改善せず、悪化に向かっているように思えます。
この耐性菌の問題は、アトピー性皮膚炎の方も、決して無縁ではありません。
特に、今の時期、アトピー性皮膚炎の方は、感染症にかかりやすい状況にありますが、黄色ブドウ球菌に対しては抗生物質が投与されます。
皮膚の状態によりますが、効果的なのは服用による使用です。
もともと黄色ブドウ球菌は、耐性菌であるMRSAが「院内感染」の問題として取り上げられていました。
今回の記事のように、耐性菌がどんどん現れた場合、より強い黄色ブドウ球菌が出現すると、アトピー性皮膚炎の症状悪化につながるだけでなく、掻き壊してダメージを受けた肌に定着した黄色ブドウ球菌の影響は、皮膚だけにとどまるとは限らなくなります。
基本的に、今のアトピー性皮膚炎では、こうした黄色ブドウ球菌の感染症に対しても、ステロイド剤など免疫を抑制することで抗炎症を目的とした治療が行われます。
しかし、皮膚表面における炎症は、ステロイド剤で一時的に抑えることができますが、感染症そのものは免疫を抑制することで逆に悪化しやすくなります。

まだ、そういった事例の報告はありませんが、一般的に耐性菌が増加してきた場合、アトピー性皮膚炎の方が黄色ブドウ球菌の影響を受けて、深刻な状況に陥ることも、リスクの一つとしては考えておく必要があるのでしょう。

明日も記事の続きです。

                       
おまけ★★★★東のつぶやき

この耐性菌の問題は、医療に携わる当事者の間では、相当、真剣に議論されている問題ですが、あまりマスコミに取り上げられることはありません。
耐性菌次第では、パンデミックを引き起こすことも十分あり得ます。
目をそむけていられる時間が、まだ十分にあること、そしてこの問題に対する希望の光が見つかることを望みたいところです。